表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

422/935

422話 心を込めたオモテナシ


〜モンティートside〜




「モンティート様。最初の湯は、何にいたしますか?」


「そうだなぁ〜。せっかくだし<山吹の泉>を頼むよ」


「かしこまりました」



 スティーブ君が風呂場から退出した後、僕が眷属達に服を脱がせてもらっていると、オートマタ君が希望の湯を確認しにきてくれた。


 それゆえ普段からよく入っている、<山吹の泉>を沸かした湯を選び、湯の効能で旅の疲れを癒すことに。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜十色の泉〜

乳白色で美しい10の冷泉が、枯れる事なく湧き続ける泉。

色は付いているが飲むこともできる。


・桜の泉(思い人と一緒に飲むと恋が実る)

・紅の泉(精力増強作用がある)

・山吹の泉(肩こり・腰痛を回復させる)

・山梔子の泉(MPを微回復させる効果がある)

・白花の泉(HPを微回復させる効果がある)

・青竹の泉(フレッシュな気分になれる)

・若梅の泉(頭の回転がはやくなる)

・常盤緑の泉(目の病気に効く)

・露草の泉(リラックス効果がある)

・葡萄の泉(香り高く美味しい)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 僕のダンジョンでは、<十色の泉>より一段階仕入れにくい<百色の泉>を使い、自分とモンスター達用の水を賄っているけど……


 爺にとって<山吹の泉>は、100種類の泉の中でも好んで選ぶくらい使い勝手がいいのだ。



 ちなみに<十色の泉>に含まれていない、<百色の泉>で一番活用しているのは……


 撒くだけで農作物が大喜びする、<堆肥の泉>という農民向けの源泉だったりする。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜堆肥の泉〜


豊富な栄養を含んでおり、泉の水を取りこんだ植物の生態に合わせて、必要なエネルギーを提供する。


動物が飲むことも可能だが、味は堆肥ソックリなので愛飲できる代物ではない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 湯着は使わなくてもいいというので、そのままスッポンポンでかけ湯をして、用意された個人風呂に入ると……


 スライム達が丁度いい塩梅に僕の肉体を沈め、<山吹の泉>が肌に染みこむよう、プルプルと動き全身マッサージを施してくれる。



「フワァ〜。これ良いねぇ〜」


 いくら味方とはいえ、他所様のダンジョン……それも風呂場で、素っ裸のまま寝るなどという愚行はおかさないが……


 もしウチのダンジョンに同じ環境を用意したら、そのまま寝落ちして眷属達に「風呂で寝るな」と説教される、情けないけど幸せな一幕が増えるだろう。



「えっ? あぁ本当? うん。ありがとね〜」


 きちんと躾けられたマッサージスライムは、マッサージついでに肌に溜まった老廃物も吸い取ってくれ、次は髪を洗ってくれるという。



「あぁ〜。最高!」


 汚れた湯もすぐに捨てて新しい湯と交換してくれるから、メチャクチャ気持ちいいし、眷属達に介抱してもらわなくても風呂に入れて快適だ。



 あまりに快適すぎて何度か意識が飛びそうになったが、辛うじて持ち堪えて、大浴場でフィーバーした眷属達と合流し風呂場を出たところ……


 当然、先程まで着ていたカビと汚水で穢れた服は洗濯に出されており、シルクスパイダーの糸で編んだ部屋着が、全員分用意されていた。



「バスタオルも上質だし、使い終わったらすぐオートマタが片付けてくれるのもいいね。ふふふっ。メチャお偉いさんになった気分」


 <農民>同盟仲間のダンジョンに遊びに行っても、(当然のことだが)脱衣所でのもてなしなんて一切ないため、久しぶりの体験でちょい感動したよ。






 そして全員が着替え終わり、ホッと一息ついたタイミングで、<水城のダンジョン>の主人であるスティーブ君が入ってきた。


 先程までと同じ仕立てのジャケットだが、僕等が風呂に入っている最中に彼も着替えたのか、色味が少し淡い感じになっている。



「お待たせしてしまい、申し訳ございません。只今より食堂へご案内いたしますので、そちらでお待ちの魔王<メグミ先輩>とご会食ください」


 あっ、そういう事か!


 ジャケットも着替えたけど、スティーブ君の格好全体が「出迎え仕様→給仕仕様」に変わっていて、違う印象を抱いたんだ!



「(本当に、魔王より執事向きなタイプだよね〜。この子)うん。ありがとう! メグミ君とも会うの初めてだし、楽しみ〜♪」


 <水城のダンジョン>はお財布事情が厳しい若手ダンジョンゆえ、応接間や食堂といった富豪用設備に、ポイントを割く余裕はないだろうけど……


 果たしてこの子は、どうやってその辺りを解決したのだろう?



 イビったり先輩風を吹かせるつもりは毛頭ないけど、ガッツリ執事さんだったから、純粋に期待値が上がっていて気になるよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここだけ見るとメグミに頼らなくても割とマジで生き残れたかもしれないな、スティーブ。 案外、勇者排除派に取り入ってたら気に入られて、トキナみたいな便利な小間使いくらいにはなれてたかもしれない。…
[一言] 毒の泉とかあるなら、いろいろなシリーズに分けるために「十色の冷泉」に変更したら、どうでしょう?
[一言] これは…まさかの「人間お断り」タイプの魔王専用リゾートダンジョン(潰すと他の魔王と最強ランカーに袋叩き)の予感…?!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ