表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
416/944

416話 即答「主人替えます」


〜とあるモンスターside〜




<−−− ジジジィィ………………ブツッ! −−−>


『モンスターの皆さん、聞こえますか〜? 僕は、今君たちと戦っている魔王<メグミ>です』



 んんっ、あの「鬼畜の極み」と悪名高い魔王<メグミ>!!!?


 それにしては、随分とその……特徴のない声だな。


 テングン様と違って優しいイメージを受けるし、良くも悪くもモブっぽいというか、カリスマ性とは縁遠い男の声だ。



『貴方達の主人である80期魔王は、全員<水城のダンジョン>のトラップに引っかかり、コチラの手に落ちました。助け出すのはほぼ不可能だと思います』


 我等のザワつきが収まるのを待って、話し出した魔王<メグミ>は、理解していたが認めたくない事実を突きつけてきた。



『大切な主人を貶めるカタチになるので、申し訳ないですけど、彼等がこうなったのは彼等の自業自得です。あまりにも、組織の長として自覚が足りなかった』


「…………」



 魔王<メグミ>は「貶める」という表現を使ったが、主従関係があり発言できなかったとはいえ、私も同じことを思っていた。


 そう思っていたのは私だけではないようで……本能で動く低ランクモンスターはさておき、知能ある者は皆、反論せずため息をついたり俯いたりしている。



『僕も、自分や仲間の命を狙った魔王を許すことはできません。一通り尋問した後、捉えた貴方達の主人は皆殺しにします』


 あぁ、そうだろう。


 そして、ダンジョンコアと連動している魔王の命の灯火を消されれば、ダンジョン所属である私達の命も道連れで……






『だけど僕は、貴方達に対する恨みはないんですよ。主人の指示に従って無理な行軍をさせられ、戦わされただけの貴方達には……ね』


「…………!!」



『<水城のダンジョン>の長であるスティーブも同意見で、このまま道連れで滅びてしまうのは気の毒だ、と貴方達を憐んでいます。だから……』


「(だから?)」



『仕えている魔王への情を捨てて主人替えをおこない、僕・サーシャ・スティーブの配下につく者は、全てを水に流してコチラで受け入れるつもりです』


 つまり、命を質にとられ後がない私も……テングン様さえ裏切れば、助けてもらえる……と?



『もちろん今後同じような事があったとき、我先にと僕等を裏切って他所の魔王に与したり、組織のガンになられても困るので、最低限の契約は結びますよ』


 全然構わない、というか……身の潔白を証明するためにも、ぜひ契約で縛ってくれ!



 普通こういう状況でスカウトされたモンスターは、組織の最低辺というか……奴隷奉公で使い捨てられるのが常なので、マトモな生活など期待できない。


 だがコストがかかる契約魔法で縛ってくれるという事は、露骨に使い潰す気はなく、「裏切りのリスクを考えるレベルの自由」を与えてくれるということだ。



 つまり……一般的な「完敗目前での主人替え」とは違って、我々の待遇も人並みレベルのものが用意されており、苦しまずに済むかもしれないし……


 それどころか、新たな主人の元で実績を積み重ね、信頼を勝ち取ってより良い生活を手にいれるチャンスまであるかも。






『スカウトに応じる方は、さっき魔王達が吸い込まれた落とし穴に飛び込んで、底にいるスライムに身を任せ、契約会場まで来てください』


<−−− ドッ!! −−−>



 こんなもの、考えるまでもなく「一番乗りする」一択だろう。


 生きるのが嫌になった自殺志願者なら話は別だが、どうせ死んだところで邪神に魂を回収されてしまい、記憶を消されモンスターとして転生する。



 それなら、記憶が残ったままやり直せる今世をもう少し続けて、高ランクモンスターに生まれた強みを活かし、活躍した方がマシだ!


 もし契約後に魔王<メグミ>が噂の鬼畜っぷりを発揮して、私をイジメ倒したとしても、コチラには「自殺→転生」という最終手段があるからな。



 もっとも……(カリスマ性こそないものの、)落ち着いた話口調から見て、魔王<メグミ>はテングン様が言うほど鬼畜ではなく……


 どちらかと言うと、「理性の色が強い打算タイプ」と考えられる。



 ならば、裏切り防止の契約を交わして徹底的に誠意を見せれば、きっと私の未来はそこまで暗いものではないはずだ。


「どうせなら、メグミにおんぶ抱っこのスティーブより、実力者のメグミ……いや、メグミ様に仕えたいな。この希望も、言えば叶えてもらえるのだろうか?」



 分からない事ばかりだが、なぜかテングン様の下で働いていたときより心躍るし、ネガティブな考えが一つも出てこないよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ