表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

413/936

413話 <カビフロア>の真の恐ろしさ


〜メグミside〜




 いつまでも続く悪環境に疲弊した80期共は、ついに<カビフロア>で心折れたのか、見張りの責任者すら用意せず……


 配下のモンスターに「護衛しろ」と指示を残して、全員で爆睡し始めた。



「たしかに<水城のダンジョン>のフロアは、汚水まみれで床が汚いか足場が悪いかの2択だから、疲弊するのは分かるけどさぁ〜」


 せめてシフト制で寝るとか、マサルのように多重結界を張ってから休もうよ。



 鎧を脱ぐだけならまだしも、一部の坊ちゃんはパジャマに着替えやがったし……


 ダンジョンという「敵の腹の中」にいる現状を、きちんと理解できているのか疑わしくなってくる。



「メグミ先輩、さっそく取り囲んで全員狩りましょう!」


「ふふふっ。スティーブ君、ストップ! 30分待ってから始めるよ。疲れていて眠りも深そうだけど、目を閉じた直後だと覚醒までの時間が短いから」



「あっ、睡眠サイクルの存在を忘れていました。すみません。決行時刻まで、ミスが出ぬよう準備を徹底しておきます!」


「うん。執事君、こちらも失敗がないよう最終確認してくれ」


「かしこまりました」






 モンスター部隊の最終チェックを終えたスティーブは、つづいて<カビフロア>の一番ヤバイ仕掛けに不備がないか、調べ始める。


 実は、80期連中が爆睡中の<カビフロア>は……結構奥深くまで潜り込まれたとき、敵を確実に仕留める目的で配置されたデス・フロアなんだよ。



 このフロアに到達するまでの数階層を特に過酷にすることで、侵入者は<カビフロア>を見たとき、無意識的に「休憩ポイント」と思ってしまう。


 だって足元も平らだし……"汚水"とか"殺人トラップ"に比べれば、"カビ"って気持ち悪いけど「布でも敷いて直接触れなければ大丈夫」感が出ているもの。



 そのうえ、さり気なく催眠作用のある植物も栽培しているため眠気を誘うし、フロア全体が地味に暗く……


 周りを見渡せる明るさはある安心感と、心地よく眠りに入れる暗さを兼ね備えた、丁度いい塩梅なのだ。



 そしてココで寝た間抜け共には、典型的なんだけど食らうと詰むトラップが待ち構えている。


 実は<カビフロア>の床は、全体が落とし穴構造になっており……その気になれば、いつでも任意の場所を床抜けさせることができるのだ。



 普通は"落とし穴"なんて、斥候がいなくても足元を見れば分かるくらい、目立っちゃうものだけど……


 床部分にモッサリとカビを生やすことで、トラップの継ぎ目部分を隠しつつ、もし違和感に気づいても「栽培用の設備だろう」と勘違いするよう誘導。



 そしてカビじゃ防げない落下音も、落とし穴の底にスライムを敷き詰めて軽減することで、気付かれにくくはできる。


 まぁコレに関しては、誰かが落ちたところを見れば一発で分かるものだから、オマケ程度の効果でしかないけど。






「メグミ先輩、全ての確認が終わりました! いつでも行けます!」


「了解。こっちも大丈夫だし、そろそろ30分経つから突撃しようか」


「はい!」



 寝ている間に落とし穴に落ちた間抜けは、護衛のモンスター達が助け出す前に、スライムによって横穴へと捨てられ……


 そこから「汚水スライダー」で強制覚醒させられた後、Sランクモンスターが10体待機している処刑場に、たった一人で放り込まれる。



 今回は、ギフト強奪目的で全員僕が引き取るから、その場では殺さず、「餌としての分」を弁えさせるだけだけど……


 それでもオリハルコンハンマーで、体中の関節はクラッシュされるし、肌色の部分がほぼ無くなるくらいの躾は受けるので、敵地で油断するもんじゃないな。



「ヨシッ、80期共が続々と穴に吸い込まれていく! メグミ先輩、作戦大成功ですよ!」


「そうだね。護衛役のモンスター達も慌てているけど、彼等だって疲弊しているから反応が鈍いし、もう心折れる寸前だろうから裏切り交渉も仕掛けやすい」



「そうですね! テングンの野郎が、寝る前に<ブラッド・バフ>で再度<改造阻害>を強化しなくて、マジでよかった〜。これ以上潜られるとか怖過ぎるんで」


「アハハハハ。この落とし穴は、強化版<改造阻害>をくらうと、発動できなくなっちゃうもんね。ホント、<ブラッド・バフ>の影響が切れていて助かったよ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ブラッド・バフ〜


血を捧げることで、対象のスキルやギフト……果ては自然現象にも、バフをかけることができる能力。


バフの強さは、捧げた血の格およびバフをかける対象の状態・相性によって決まるため、猛者の血を使うほど効果もハッキリと表れる。


ただし己の血は使えないため、儀式を執りおこなう際は、必ず"他者の血"を準備しておかねばならない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 手と心臓(ギフト)を大量に献上してくれるとか80期とロルカナはいいやつだなぁ(棒)
[良い点] カモ(経験値)がネギ(新ギフト)しょって来たw [気になる点] 以前掲載していた何年後かに持っていた多くのギフトは80期が多かったのかな? [一言] 80期のカモ(的)に弩(クロスボウ)で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ