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405話 ゼリーマスター


〜とある80期魔王side〜




 ロルカナ様の命令を受けた俺たちが、ターゲットである<水城のダンジョン>に到着すると、辺りは見るも無残な沼地になっていた。


 入った報告によると、ミズチの野郎が「川の軌道を変えるプロジェクト」に取り組んでいる途中で殺されて、そのさい川が氾濫したかららしいが……


 これじゃあ<水城のダンジョン>の入り口付近に、テントを張って拠点にすることすらできないし、迷惑な話だ。



「まぁアイツは、出世レースの優勝候補で邪魔だったから、ここで消えてくれたのはありがたいけど」


 俺は、現在のところロルカナ様の配下に収まっているが、「将来的には彼女よりもランキング上位となり、彼女を娶る」という高い志をもっている。



 その為には、出世レースに勝つのは勿論のこと、より多くの魔王を屠って名前を売り、「頼りになる男」と思われるようなブランディングしなければならない。


 今回の攻略ターゲットであるスティーブは、俺よりランキング下位の雑魚だが、79期ではトップだったらしいし……


 背後に付いているメグミの存在も大きいので、滅ぼせば一気に名が上がるだろう。



「それにメグミは、勇者の血筋って話だからなぁ。教会を裏切った元勇者<マサル>と仲良くしているのもあって、なんか気にくわねぇ」


 別に、同い年なのに俺より成功していたり、魔王歴が長く先輩扱いしなきゃいけないのが、ウザいって訳じゃなく……


 純粋に「"穢れの象徴"みたいな男がデカい顔をしている」のが、不快なだけだ。



「サーシャって女もいるが、アレはまぁ……"穴"だからな。メグミを滅ぼすついでに遊んで、飽きたらミッションの餌にすればいいだけ」


 ロルカナ先輩はやけにサーシャを嫌っているから、遊ぶときは「拷問まがいの尊厳破壊」になるかもなぁ〜。






「ご主人様。ロルカナ様より"ギフト使用"の要請がきました。<水城のダンジョン>攻略は、貴方をリーダーにするゆえ"好きにやれ"……との事です」


「そうか。まぁ俺のギフト以上に、この沼地と相性がいい80期はいねぇし、当然だよな。クッ、クッ、クッ……!!」



 出世のための実績、一つゲット!


 俺のギフト<ゼリー化>で、沼地全体を歩けるくらいカチカチにして、<水城のダンジョン>攻略の足掛かりにするぜ!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜ゼリー化〜


液体および固体を、ゼリー状にする事ができる能力。


ゼリーの固さは、「すぐ崩れる〜人が乗っても崩れない」まで任意で選べるが、素材と質感が離れるほど、対価として消費するマナの量も増える。


またゼリー化しても元の素材の特性は残るので、汚水をゼリー化したところで食用に適さないのは変わらないし、刃物ゼリーに不用意に触れるとケガをする。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「元になる素材が<水>なら、多少扱いをミスったところで精々"転けて尻餅をうつ"だけだし、パパッと全部ゼリーにしてしまおう」


 出世競争のライバルが、俺の成果物であるゼリーの上を我が物顔で通ると思うと、ムカつくが……チームプレイも組織人の仕事。


 魔王ランキングでロルカナ先輩を上回り、完全に独立して好き勝手できるようになるまでは、臥薪嘗胆で上手く立ち回ってやる。






 そしてゼリー化の能力を遺憾なく使い、後から合流した80期連中をフォローしつつ、<水城のダンジョン>に侵入した俺は……


 外にあった"美しい噴水"からは想像もつかない、迎え入れる気皆無の"汚物プール"を見て気絶しかけるも、倒れたら汚物漬けになってしまうので根性で復活。


 吐き気を堪えて汚物プールもゼリー化し、汚物の上を歩けるようにしたうえで、「快適な環境でオブジェクト破壊できるフロア」を求めて先へと進んだ。



 そしたらまさかの、<恵のダンジョン>で有名な<天国と地獄フロア>が待ち構えており、入る前から心折れかけたよ。


 幸いなことに、僕は「教会と繋がりがある者」ゆえ幸運系アイテムも多数持っており、<豪運のネックレス>を装着したため災厄は免れたけど……


 配下のモンスターが軒並み鬼畜ルーレットの餌食となり、「もしかしたら自分にも……」と思うと、冷や汗が止まらなかった。



 これだけ目立ってもなお規約違反をとられていない以上、アレも一応合法なんだろうけど、モラル的には完全にアウトだ!


 ロルカナ先輩が、メグミとサーシャのことを「根性ひん曲がったゴミ」呼ばわりするのも頷ける。



「で、<天国と地獄フロア>から逃げた先がコレか……。臭くないのは救いだけど、こんなところでオブジェクト破壊するのは無理じゃね? ケガするぞ」


 階段を降りた先には、水属性のダンジョンとは思えない"ガラスの山"がそびえ立っており、手の届く範囲にダンジョンのオブジェクトなど存在しない。



 いや……このガラス片を砕いたり奪い去れば、"オブジェクト破壊"判定されるのかもしれないけど……割れた破片ばかりだし、絶対にケガするだろう!


 そんなリスクは、俺たち"魔王"が背負うべきじゃないが、モンスターに任せようにも適切な指示方法が浮かばない。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 天国と地獄発案は、サーシャなんだよね〜♪ スティーブもサーシャも、邪神版地獄ルーレット回避のためにも、一匹でもモンスターを奪わないといけないけど ‥握手もしないとね
[一言] ある意味ミズチを先に討ち取れたのデカいな。 能力はともかく性格がアレですんげーやりやすいわ、このゼリー化能力者。 こいつ功名心が強すぎるから目先のニンジンに釣られて罠にハメられるタイプだわ。…
[一言] むしろ今の所唯一メグミの思考をトレースできる上に違った視点も持ってるやべーやつなんだけどなサーシャ……w
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