404話 青天の霹靂
〜スティーブside〜
メグミ先輩がサポートにと残してくれた、オートマタの指示を仰ぎつつ、<水城のダンジョン>を滅ぼそうと立ち回る80期と、格闘していた僕に……
戻ってきた先輩から、予想だにしないビッグニュースが降り注いだ。
「えっ!? あのっ、スミマセン。耳がおかしくなっちゃったみたいで、もう一度お聞かせ願えませんか?」
「ふふふっ。だ・か・ら〜、この<水城のダンジョン>にモンティート先輩達が遊びにくるから、接待役ヨ・ロ・シ・クね♪」
「(聞き間違いじゃなかった。えっ? 僕みたいな小童の……それも攻められていて危ないダンジョンへ、魔王界トップの<農民>同盟がいらっしゃる?)」
聞けば、<恵のダンジョン>にも眷属の方しかいらっしゃった事はなく、モンティート様が直々に訪問されるのは初めてとのこと。
ロルカナの"離間の計"で仲を引き裂かれそうになり、温和なモンティート様が配慮なさった結果らしいが……
「メグミ先輩。僕、口から内臓が出そうなほど緊張してきたんですけど」
「あははははっ! 震えすぎだって。熱々のお茶をぶっかけたりしたら、護衛の眷属さん達にシバかれるかもしれないけど、普通にしていたら大丈夫だから」
いや……緊張で手が震えて、普段なら絶対やらないようなミスをしちゃいそうだから、なおのこと怖いんですよ。
どうしよう?
今から、土下座の練習とかしておいた方がいいのかな?
「ところで、ダンジョン内をウロチョロしている80期の連中はどうだ?」
「そうですね。まず厄介なギフト持ちがいて、ダンジョン外側の"水浸しになった沼地"は、カチンコチンに固められました」
最初は氷かと思い、対抗しようと熱を加えたのだが……全然溶けないし、水属性の僕が火を取り扱うのはコスパが悪すぎるので、諦めた。
だけどそのギフト持ちも、噴水の水まで完璧に固めてオブジェクト破壊へ移るのは難しいのか、他のチームと共にダンジョン内へ侵入。
そして<流れる汚泥プール>も、そのギフトでカッチカチに固められ……
だけど固めたところで不潔さは健在だから、奴等もこの階層でのオブジェクト破壊は諦めて、下へ降りた。
「<天国と地獄フロア>では、手持ちの幸運系アイテムを活かして部下へ"地獄枠"を押し付け、自分達は最小限の被害で潜り抜けています」
「任意で発動可能な<大地獄ルーレット>は、回さなかったのか?」
「それが……」
ルーレットの名を借りたイジメである、<天国と地獄フロア>の幸運系アイテム対策だが、なぜか投入しようとしても画面を操作できなかったのだ。
もしコイツが決まれば、80期の奴等が何を引き当てても人生終了させられたのに!
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〜ルーレットのペナルティー一覧〜
<大地獄>
呪いの剣を用いて臓器摘出:肝臓
呪いの剣を用いて臓器摘出:腎臓
呪いの剣を用いて臓器摘出:小腸
呪いの剣を用いて臓器摘出:眼球
呪いの剣を用いて右腕切断
呪いの剣を用いて右足切断
呪いの剣を用いて局部切断
<地獄>
・お尻ペンペン100発
・極濃ウ◯コ砲
・無期限放映
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「ふ〜ん。僕がロミオット達に仕掛けたときは、ハイドンに<改造阻害>された状態でも動いたから、別のギフトが重ねがけされているのかもね」
「だと思います。ただ連中はそれなりに財布の残額を気にしていたので、<天国と地獄フロア>も最低限の仕事は果たしてくれたかと」
<恵のダンジョン>の代名詞であり、「熾烈な罰ゲームで侵入者の尊厳を破壊し尽くす」と名高い、<天国と地獄フロア>だが……
このフロアの真価は、ダンジョン内じゃなかなか入手できない現金を侵入者から搾り取り、途中で金欠にさせるところにある。
そうなれば、奴等は進むことも引くこともできなくなり、身体払いで廃人にされダンジョン外へ叩き出されるか……
現実を受け入れられずその場にとどまり、やがて餓死するという、究極の2択を迫られることに。
もっとも……80期の目的は、「ダンジョンのオブジェクトを破壊することで、<水城のダンジョン>を滅ぼす」ことであり……
金欠になるほど深い階層まで潜ってくれるかは疑問なので、「金さえ吸い取ればOK」って訳でもないが。
「今はその下にあるガラス山で、足を血まみれにしながら登山するのを避けるため、連れてきたスライムに"山のガラス片"全てを食わせるか、相談しております」
「なるほど。あそこに敷いたのは水じゃなくて油だし、ギフトで固めたところでガラス片は健在だから、攻略難しいもんなぁ〜」
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






