402話 強強な爺婆は
〜モンティートside〜
無理なく参加できるミッションをこなしつつ、いつも通りダンジョンを運営していたある日のこと……
同盟仲間のアスタリアが、サーシャちゃんからのメールを持って訪ねてきた。
それと同時に、僕の元にもメグミ君からほぼ同文のメールが届き、ロルカナと心理戦を繰り広げている様子がうかがえる。
「私は相変わらず、サーシャちゃんが実の孫に見えるくらい可愛いんだけど、先輩はどうです? まさか、あんな尻軽女の洗脳にかかっていませんよね?www」
「かかってないから草を生やすな。まったく……ロルカナといいアリスといい、お前は"そういう属性の女魔王"が大嫌いなんだな」
「そりゃあ嫌いですよ! だって奴等のせいで、私やサーシャちゃんみたいな一般女性まで同類扱いされるし、気持ちが分かるからこそキモいんです」
僕は"嫌い"というより"関わり合いたくない"と感じるけど、アスタリアは同性だし清廉潔白な人だから、直接対決した事がなくても嫌悪感を抱くのだろう。
さすが、魔王転生前から<聖者の祈り>を使えた元巫女だけある。
アスタリアが風紀委員の役割を果たし過ぎたせいで、<農民>同盟は全員が結婚どころか恋人すらできぬまま、オムツが必要な年齢になっちゃったのだが。
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〜聖者の祈り〜
純潔を守りとおし、"長い間"修行を積んだ聖職者だけが得られるギフト。
ダンジョンの改造阻害や、ダンジョン攻略時のステータスアップなど、熟練度によって叶う範囲が広がる。
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「ん? 先輩、どうかしたんですか?」
「いや、何でもないよ。僕もサーシャちゃんに対する敵意はないし、洗脳対策もしているから、ロルカナ如きの術中にははまらない」
というかアスタリア、お前だって知っているだろう?
僕が「土精霊の血を引くハーフ」で、その影響で"耐性の化け物"って呼ばれるほど、そういう攻撃に強いの。
一応ウチの眷属達が、ダンジョン内ならほぼ安全に過ごせるよう結界を張ってくれているけど、それがなくても"対価の重い呪詛"以外はかからないよ。
「デスヨネー。他のメンバーにも確認を入れましたが、全員洗脳にかかった様子はありませんでした。ロルカナが後輩にカッコつけたくて、嘘をついたのかな?」
「う〜ん。"離間の計"だと思うけど、メグミ君達は口八丁で自滅させられる相手じゃないから、もう少し信憑性がある証拠を捏造してくるかもね」
ぶっちゃけ勇者排除派以外にも、<農民>同盟のトップ陥落を望んでいる連中は沢山いて……
もれなくクソ野郎だから僕としても負けたくなく、彼方此方でモグラ叩きしている状態ゆえ、ロルカナに焦点を当てて調べてはいなかった。
だけど、こういう嫌らしい手を打ってくる魔王なら、僕も本格的に人員を投入して、調査した方が良さそうだな。
"調べ物"はアスタリアとナーティーの得意分野だから、同盟で役割分担しつつ進めよう。
「アスタリア。勇者排除派対策について、一度皆を集めて話し合いたい。急ぎじゃないから、起きたメンバーからウチの会議室へ招集してくれ」
「了解です!」
さて、メグミ君にはどう返信するかな。
一見「先輩を信用しています!」ってアピールしている、後輩のお手本みたいなメールだけど、内心ちょっと疑っているかもしれない。
露骨に身の潔白をアピールするとかえって怪しまれるから、「サーシャちゃんに敵意を持っていない」と、自然なカタチで伝えないと。
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〜メグミside〜
「あっ! サーシャ。モンティート先輩から返信がきたよ! へぇ〜、なるほど。これはまた、眷属さん達が慌てそうな話だな」
「どれどれ……」
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メグミ君へ
お疲れさまです!
性格の悪い魔王が敵にいて、メグミ君達も大変だね( ; ; )
僕が知っている限り、<農民>同盟のメンバーに洗脳をかけられるほど、強烈なギフトを持つ魔王はいなかったはず。
だけど魔王って、自分のギフトを秘匿する傾向があるから、僕が知らないだけかもしれないし、多少は警戒しておいて!
<水城のダンジョン>でもバチバチ始まったみたいだし、メグミ君とスティーブ君がよければ、僕も一度ソッチへ行っていいかい?
僕がSSランクの眷属を引き連れて行けば、スティーブ君も滞在ポイントでウハウハだし、顔合わせしたいなぁ〜と思ってね^^
もちろんサーシャちゃんは、今回の件もあるから安全をとって……で大丈夫です!
色々大変だけど楽しくいこうᕦ(ò_óˇ)ᕤ
モンティートより
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読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






