401話 浮気の正当化
〜メグミside〜
「女の考えは女の方がトレースしやすい」って事なのか……僕が不安で雁字搦めになっていたところを、サーシャはあっさり結論づけてみせた。
言われてみれば、"魔王界トップ"のモンティート先輩達を洗脳するよりも、所詮"若手エース"でしかない僕を誘導する方が、はるかに簡単。
それに僕とマサルが仲違いして、<恵のダンジョン>の中で戦う状況になれば、最低でも双方疲弊して勇者排除派の一人勝ち。
上手くいけば、僕等のどちらかが死んでしまい……
目をかけてくれた<農民>同盟含めて、勇者排除派の敵全員が地獄を見る、奴等にとって飯ウマな展開となる。
「メグミ君。動かないとまた悩みが出てくるから、その前に先輩方へメールしちゃおう! 大丈夫。文面は私も一緒に考えるし、返信もチェックするから!」
「うん。ありがとう」
ロルカナの罠を見破ったものの、奴のやり方がよほど気に入らなかったのか、サーシャは背後にゾワッとするオーラを纏っている。
サーシャの機嫌が良くなるなら、僕は全財産貢いでも構わないと思っているので、ロルカナを捕らえたら当然彼女に捧げるつもりだ。
「(あれ? でも、もしかして……職業<勇者>の利点を活かしたいからって、僕がトドメだけ譲ってもらったら……僕もヤリチンコース一直線になるの?)」
いや……ぶっちゃけ付き合ってからは、サーシャが毎度干からびるまで搾り取っていくので、ドンマイポイントを貯める機会もなさそうだし……
裏切り行為に走らなければ、サーシャだけでなく僕も持っている<ゴーレムマスター>ギフトを、<ハニー・カード>で量産するだけになる気がする。
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〜ハニー・カード〜
蜜月の交わりをもった魔王のギフトを10日間トレースする、特殊なカードを作れる能力。
1回の交わりにつき1枚しか作れないため、カードを量産するには下半身を酷使せざるをえない。
また自らを慰めたときに自然と生まれる<ドンマイポイント>を貯めると、コピーカード等、汎用性が高い低ランクカードを作ることができる。
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〜ゴーレムマスター〜
ゴーレムを愛し、ゴーレムと共に生きる者へ与えられるギフト。使役するゴーレムの攻撃力・防御力が2倍となる。
また日頃から側に置くことで、目をかけたゴーレムの成長速度が早くなり、自然にレベルアップする場合もある。
ゴーレムの成長率には劣るものの、側に置いたオートマタの能力も上がる。
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「(ん? もしかしてサーシャ、能力のために僕が浮気するんじゃ……って嫉妬して、不機嫌になっちゃったのかなぁ? だとしたら、鬼可愛くて萌える〜!)」
おっといけない、仕事中なのに頭が花畑になるところだった。
「ゴホン! サーシャ。もしロルカナを捕まえたら、ギフトの奪取とか気にせず君がトドメを刺していいからね。最初から最後まで全部任せるから」
「えっ!? いいの? 本当に?」
「もちろん! こんなギフトを持っていても使えないし、サーシャの方が的確にロルカナを詰められそうだもん。だから任せるよ」
「ふふふっ。メグミ君、ありがとう〜♪ 大好き!」
ロルカナの身柄を譲ると伝えた途端、サーシャの背後に見えていた修羅が消え、いつもの穏やかな彼女に戻った。
やはり僕が(ギフトカード目的で)浮気三昧しないか、心配してくれていたのだと思う。
「それでね〜、メグミ君。先輩達に送るメール、こんな感じにしたらいいと思うんだけど……」
「どれどれ……」
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モンティート先輩へ
お疲れさまです!
現在<水城のダンジョン>を襲撃中の80期を、裏でコソコソ操っている魔王<ロルカナ>についてですが、新たに卑怯な仕掛けをしてきました。
捕らえて拷問した2人の80期魔王が、どちらも「ロルカナ様は、<農民>同盟と<小鬼>同盟を内輪揉めさせるつもりだ」と白状したのです。
ロルカナは、<ハニー・カード>という下品極まりないギフトをもっており、それを使って得た上位魔王のギフトで、先輩方へ洗脳をかけたのだと……。
知らず知らずのうちに、私<サーシャ>が「メグミ君を利用する悪女」に見える洗脳らしいんですけど、そういう気配とかってありますかね?
また過去に、その類の洗脳をかけるのが得意な上位魔王っていましたか?
サーシャより
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「うん。これなら、僕がオブラートに包んで送るより先輩方も状況を把握しやすいし、いいと思う。この後の話は、先輩方の返信を見てからにしよう」
「了解!」
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






