400話 女の敵は女
〜サーシャside〜
「後ろ盾がどうこう」みたいな、クソ女達がよくやる嫌がらせをメグミ君が受けてしまい、私は初めて「加害者をこの手で殺したい」と思った。
メグミ君だって昔から色々やられてきたから、多少のことじゃ傷付かないメンタルを持っているけど、見るからに"弱っている"んだよ。
たぶん彼にとって、モンティート先輩とか私とか……「手放しに信頼している相手が敵に回る」展開を、想定するのがストレスなのだと思う。
私もそうだけど、メグミ君もそこまで社交的じゃないから、信頼できる相手の数だって少ないし、だからこそ一人一人に対する思い入れが大きい。
そんな中でその"大事な人"同士が敵対する……なんて言われたら、たとえ嘘である確率の方が高くても傷つくよね。
露骨に表情に出ちゃったメグミ君を見て、改めて「大切にされている」と実感すると共に、そんな彼に苦痛を与えたババァをこの手で刻みたくなった。
ロルカナというアバズレ婆は、下半身の緩さでは他の追随を許さない年増魔王だし、捕らえた後は死ぬまで金属ヤスリとハッスルさせればいいと思う。
こういう事を言うとメグミ君に「下品な女」だと思われちゃうから、自重して全部彼に任せるけど、女だってこういうゴミ婆は嫌いなんだよ。
「ねぇメグミ君。害される危険があるからって、<農民>同盟との付き合いを止めちゃダメだよ。それじゃ、ロルカナの思い通りになっちゃう!」
「うん。それは分かっている。でも、サーシャが命を狙われるかも……」
「ふふふっ、たぶんロルカナがホラを吹いただけだから大丈夫だよ。あくまでも勘で確証はないけど、命を賭けられるくらい自信ある」
とりあえず私の命をリスクに晒されて、見るからにメンタルを削られているメグミ君を、最悪の事態にならぬよう導く。
この手の嫌がらせを受けたとき最もやっちゃダメなのは、周りに相談せず自分一人で思い悩み、殻に閉じこもることなんだよ。
だってそれは敵が一番望んでいる展開だし、落ち込んでいるときって視野が狭くなり思考力も落ちちゃうから、一人で考えてもマトモな答えが出ないもの。
学生時代の私達みたいに、ボッチで相談できるような相手が周りにいない状況なら、自分しか頼れないから一人で足掻くしかなくなるけど……
私に話してくれたように今のメグミ君は一人じゃないし、私の身を守りながら先輩達にも事情を伝えることくらい、二人で知恵を絞ればできるはず!
だからこの件によって対人関係を狭めたり、変に疑って今までと違う態度をとっちゃダメ!
<農民>同盟の先輩方はベテランだから、理由を知れば許してくれると思うけど、疑われて喜ぶ人なんていないもの。
もし疑惑の目を向けたら、先輩方もメグミ君の評価を下げるし……有事の際の優先順位も今までより低くなってしまい、ロルカナの思い通りになると思う。
それにさぁ、冷静に考えれば……この話が嘘だって分かるよね?
私も真偽を確かめる能力者じゃないから、「100%ウソ」とまでは言えないけど、クソ女の生態を考えたら「99%ウソ」と見抜けるよ。
「<農民>同盟ってトップ集団じゃん? だから、これまでにも下剋上を狙う魔王から散々やられてきただろうし、今さら引っかからないでしょう」
「まぁそれは、確かに……」
「モンティート先輩達は、のほほ〜んとしていて喰らっちゃうだろうけど、眷属さん達が協力して弾いてくれているはず。アチラは、SSランクの宝庫だから」
「ふむ。そりゃあそうだね」
「その過程で、今回"<ハニー・カード>で増やした〜"と言われている能力があったら、すでに眷属さん達が気付いて対処しているよ。ロルカナがコピる前に」
「あぁ〜。オリジナルの方が、ステータス情報を丸裸にされちゃっているのか」
「うん。それにもし仮に、ロルカナが本当にそのギフトをパクっていたとすると、まず私達に使うと思うんだ。だって、アイツ等は"勇者排除派"でしょ?」
「…………! そうか。もしそんな能力があったら、ロルカナはそれを使って僕とマサルの仲を険悪にしたはず! でも実際には、そんなこと起きていない」
オッケー、オッケー……「ロルカナが80期に偽情報を仕込んだだけ」と察したことで、メグミ君の表情も明るくなった。
心配しなくても、私と<農民>同盟の先輩方が敵対する可能性はないから、メグミ君はこれまで通り、彼等を慕っていればいいんだよ。
それにしても、あの公衆便所……あらやだ、お下品な表現が出ちゃったわ!
女の嫌な部分を煮詰めたような色欲婆が、この程度の"嫌がらせ"で終わらせるとは思えない。
きっとコレに絡めて他にも手を打ってくるし、<農民>同盟の先輩方とも話し合って、「偽情報に踊らされた設定」を演じるパターンもアリかも。
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