399話 女の戦い
ガロンを殺している間に、また80期の魔王が<水城のダンジョン>へ押し寄せてしまい、再びダンジョンは「改造が阻害された状態」となった。
ロルカナが何度ハイドンと枕営業したのか知らないが……魔王転生時からある種の覚悟を決めて、<ハニー・カード>などという寄生系ギフトを得た魔王だ。
きっと擦り切れるまで致しており、<改造阻害>のカードも大箱にゴソッと束で保管されているに違いない。
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〜改造阻害〜
他の魔王が管理するダンジョンへ侵入している間、そのダンジョンの改造を阻害できる。元々設置されていたもの・ギフト絡みのオブジェクトには、効果が及ばない。
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それに加えて、僕とモンティート先輩達の良好な関係を壊すような、鬼畜極まりない手を打ってくるのだから、ロルカナという老婆の強かさよ。
以前モンティート先輩に聞いた話だと、若い頃からルックスは"中の上"止まりだったらしいが……
それでも女の武器をフル活用して成り上がり、歳をとっても若手相手に能力搾取(&性的搾取)を行うのだから、ある意味"すごい奴"だと思う。
アイツのような生き方をしたいか問われたら、僕は絶対「No!!」と答えるし、サーシャもつい「一緒にすんな」と本音を漏らすくらいには嫌悪していたけど。
<−−− ヴゥーーーーン♪ −−−>
「メグミ君、話ってなに? <水城のダンジョン>の方は、一段落ついた感じなの?」
そしてこれから、ロルカナの読みどおり「僕にとって一番大事な存在であるサーシャ」へ、情報を共有して今後の方針を決める。
サーシャは責任感が強く僕思いの娘だから、自分が"人質"にされたと知ったら、(彼女のせいじゃないのに)凹むだろうなぁ。
と思ったけど……僕がロルカナの狙いやギフトの件を伝えても、サーシャは眉を顰めるだけで、露骨に落ち込んだりはしなかった。
精神的に辛くないか確認したところ、程度の差はあれ"女同士の蹴落とし合い"はドロドロしたものであり、慣れている……とのこと。
よく考えると、サーシャは上級貴族の妾となり実家を繁栄させるために、男爵家に養子として買われた元孤児であり……
そういう立場の男を狙わされた以上、当然「上級貴族家のお嬢様」にウザがられ、嫌がらせ紛いのこともされてきたはずだ。
しかも高等学舎時代、"No.1"と言われるほどのルックスで男子生徒の目を釘付けにしたのだから、女子生徒の嫉妬の怨嗟もエグかったんだろうなぁ。
サーシャは元同級生や後輩にあたる79期のことを、僕みたいに「アイツ等、没落したんだ〜。ざまぁ!」とか、あまり言わないけど……
もしかすると、お下品だから僕の前では貶さないだけで、<集金箱のダンジョン>で自滅記念パーティーを開催するほど、嫌いな奴とかもいたかもしれない。
「ねぇメグミ君。害される危険があるからって、<農民>同盟との付き合いを止めちゃダメだよ。それじゃ、ロルカナの思い通りになっちゃう!」
「うん。それは分かっている。でも、サーシャが命を狙われるかも……」
「ふふふっ、たぶんロルカナがホラを吹いただけだから大丈夫だよ。あくまでも勘で確証はないけど、命を賭けられるくらい自信ある」
えっ!?
僕もデマの確率の方が高いとは思ったけど、なぜ"確信を持つ"レベルでその結論に至ったの?
「う〜ん。<農民>同盟ってトップ集団じゃん? だから、これまでにも下剋上を狙う魔王から散々やられてきただろうし、今さら引っかからないでしょう」
「まぁそれは、確かに……」
「モンティート先輩達は、のほほ〜んとしていて喰らっちゃうだろうけど、眷属さん達が協力して弾いてくれているはず。アチラは、SSランクの宝庫だから」
「ふむ。そりゃあそうだね」
「その過程で、今回"<ハニー・カード>で増やした〜"と言われている能力があったら、すでに眷属さん達が気付いて対処しているよ。ロルカナがコピる前に」
「あぁ〜。オリジナルの方が、ステータス情報を丸裸にされちゃっているのか」
「うん。それにもし仮に、ロルカナが本当にそのギフトをパクっていたとすると、まず私達に使うと思うんだ。だって、アイツ等は"勇者排除派"でしょ?」
「…………! そうか。もしそんな能力があったら、ロルカナはそれを使って僕とマサルの仲を険悪にしたはず! でも実際には、そんなこと起きていない」
つまりロルカナの話は偽情報……もしくは、類似する能力は本当にあるけど、制限が厳しくて中々使えないパターンであり……
口先だけで、僕等とモンティート先輩達の仲を壊そうと、話を盛った可能性が高いんだ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






