398話 離間の計
〜ロルカナside〜
「ミズチに続いて、ガロンの名前も保有ポイントランキングから消えた。メグミに消されたと考えるべきね」
私はミッション効率を考えて立ち回るタイプだから、負かした魔王もすぐには殺さず、都合のいいミッションが来るまで飼い殺すことが多いけど……
メグミは小心者の元イジメられっ子なので、確実に殺して自分の敵を排除しないと、気が休まらず眠れないのだろう。
ガロンはともかくミズチは優秀な奴だったけど、アイツが持っていた<MPサブスク型>ギフトは、もう100枚以上カード化したし……
長く飼いすぎると、私への執着でモラハラ化してキモくなるタイプの男だったから、「良いところで死んでくれた」感が強い。
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〜MPサブスク型〜
魔法を使用するたびに対価として支払うMPを、常に一定割合取られ続ける代わりに、魔法を使い放題できるようになる能力。
「自分がマスターした魔法に限り」という制限はあるが、実力的に発動可能な範囲なら何発でも連射できるので、圧倒的な魔法砲台力を持つ。
その代わりオプションを盛り過ぎると、常時MP枯渇気味になりクオリティー・オブ・ライフが低下するため、ワーク・ライフ・バランスを考える必要がある。
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奴等を養殖するのにかなりのポイントを使った訳だし、せめて「<水城のダンジョン>攻略の糸口」くらい掴んでから逝ってよ……とも思ったけど。
まぁいいわ。
まだ駒は残っているし、ガルガロクとトキナも動いているから、焦らずじっくり攻めましょう。
「そして、これまでのメグミの動向を考えると……ミズチとガロンは殺される前に、洗いざらい情報を抜かれたはず」
ゆえに私がしかけた"離間の計"も発動し、今頃メグミは<農民>同盟への疑念でうめいているに違いない!
今回私は突撃させる80期のガキ共に、不自然さが出ない感じで「<農民>同盟がサーシャを敵視するよう、コチラで洗脳した」というデマを伝えた。
残念ながら私の実力じゃ、あのウザい爺婆を洗脳することなんて出来ないけど……ミズチをはじめ、一部の80期には私の能力もバラしてあるからね。
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〜ハニー・カード〜
蜜月の交わりをもった魔王のギフトを10日間トレースする、特殊なカードを作れる能力。
1回の交わりにつき1枚しか作れないため、カードを量産するには下半身を酷使せざるをえない。
また自らを慰めたときに自然と生まれる<ドンマイポイント>を貯めると、コピーカード等、汎用性が高い低ランクカードを作ることができる。
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"恋多き女"として、長きに渡り数多くの魔王と浮き名を流した私が、こういう能力を持っていると知れば、メグミも「100%嘘」と断定できなくなるでしょう。
魔王の多くは自分のギフトを秘匿しているから、自己顕示欲の強いバカか超有名人でもない限り、調べたところでターゲットの能力なんて分からないもの。
そして「100%嘘」と言い切れない状況で、メグミが<農民>同盟から誘いを持ちかけられた場合……
非モテのアイツは、ようやくできた溺愛する彼女を守る為にも、その誘いを断るしかなくなり、せっかくの後ろ盾を有効活用できなくなる。
また正直に"断る理由"を伝えられないせいで、当たり障りのない嘘をつく事になるが、それで何度断られても不審に思わないほどあの爺婆は愚かじゃない。
3度目には「メグミに不信感を抱かれた」ことに気づき、<農民>同盟がアイツに目をかける度合いは薄くなるはずだ。
「誰だって、自分が疑われていると知っていい気はしないもの」
あの爺婆は長く生きているだけあってメンタルも強靭だから、それで傷付いたりはせず、私達の策略にメグミがハマった事にも気づきそうだけど……
たとえどういう経緯があっても、自分を慕わなくなった後輩に目をかける必要などないし、メグミがいなくなったところであの爺婆は困らない。
だから程度の差はあれ"離間の計"は成功するし、メグミは<農民>同盟からの支援を今までよりも受けづらくなり、苦戦を強いられるはずよ。
そして……そのメグミに股を開いて寄生しているサーシャも、宿主が勢いを失えば共に失墜するでしょう。
<−−− ガチャッ −−−>
「花よりも美しい我がマスター。本日の"お食事"が参りました。どのお部屋で召し上がられますか?」
「そうねぇ。今日は策をろうした悪女の気分だから、"黒薔薇の間"で逢瀬しましょう。魅惑の中に闇を感じる、魔性の香を焚いておいて」
「かしこまりました」
メグミがデマ情報に踊らされて後ろ盾からの信用を失い、自滅していく間に、私は<ハニー・カード>で手札を増やすわ。
今日の男は元気そうだから、ポーションと媚薬でブーストすれば、10回戦くらいいけるかしら?
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






