395話 能力を利用されるリスク
ヤバイ情報が出た状況で、いつまでも手中にある後輩魔王と遊んでいる暇などないので……
重要情報の収集漏れがないか確認したあと、男優としてスナッフビデオ撮影に勤しんでいた魔王<ミズチ>は、僕がトドメを刺して殺した。
残念ながら、今は80期ばかりが得をするミッションしか出ていないので、ミズチを殺しても大した得はなかったけど……
<ルーキーの居場所を突き止めよう><成長率を競い合おう><直接合って握手を交わそう>ミッションは達成できたし、とりあえずはOKだろう。
また職業<勇者>の恩恵で、ミズチが持っていた<MPサブスク型>というギフトも手に入った。
Eランクだと支払うMPの割合が多いうえ、ギフトにも色々と制限が加わってしまうので、まだ実戦使いできるレベルじゃないけど……
他の連中からこれまでに奪ったギフトのように、そのうちランクアップして"チートの花"を咲かせるはずなので、それまで大事に持っておく。
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メグミ(18)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター・勇者
HP:49952/49952
MP:77365/77365
スキル:剣術C・狙撃F・噛みつきE・火魔法S・水魔法S・風魔法S・土魔法A・氷魔法D・回復魔法S・聖魔法SS・闇魔法B・遠視F・物理耐性B・精神耐性S・呪縛耐性C・過労耐性D・お笑い耐性E・アイテムボックスA・速記E
ギフト:自販機作製S・統率A・聖者の祈りA・看破B・火魔法の才A・水魔法の才SS・土魔法の才B・風魔法の才B・ゴーレムマスターB・透明化E・魅惑の蝶D・龍の涙C・若返りC・変身E・鑑定C・偽装C・水分身D・改造阻害E・遠隔商談B・MPサブスク型E
その他:称号(蟻マスター・異端児・超新星・ゲス鬼畜・ドラゴンキラー・水龍殺し・モンスターの天敵・ジジィ狩り・魔王を狩る魔王・クズキラー・報復ソムリエ・教会の天敵・対の勇者・稼ぐ引きこもり・爺婆ホイホイ・媚び売りの天才・ゴマ擦り魔王)
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〜MPサブスク型〜
魔法を使用するたびに対価として支払うMPを、常に一定割合取られ続ける代わりに、魔法を使い放題できるようになる能力。
「自分がマスターした魔法に限り」という制限はあるが、実力的に発動可能な範囲なら何発でも連射できるので、圧倒的な魔法砲台力を持つ。
その代わりオプションを盛り過ぎると、常時MP枯渇気味になりクオリティー・オブ・ライフが低下するため、ワーク・ライフ・バランスを考える必要がある。
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ステータスの成長は順調すぎる僕だけど、ロルカナのギフト<ハニー・カード>の存在を知って、自分自身の能力を相手に利用される可能性に気づき……
もしそうなったら取られるものが多すぎるため、心底「怖い」と思った。
可能性の話として、もし僕が今後ステータスを丸コピされるような事態になったら、普通の魔王であるサーシャの身は一気に危うくなるし……
若手の域を出ないスティーブなんか、一発で殺されてしまうだろう。
あくまでも可能性の話であって、<恵のダンジョン>から出なければ、そうそう"シャレにならない事態"は起こらない筈だけど……
他者を利用したり寄生するようなギフトを、魔王転生時から選択するクズもいるので、警戒し過ぎるくらいが丁度いいのだ。
「という事で、戻ってきたよ〜。スティーブ君、<流れる汚泥プール>で足掻いていた連中はどうなった?」
「諦めて次の階層へ降り、<天国と地獄フロア>で絶叫しています」
「あ〜。元々鬼畜なフロアだし、<水城のダンジョン>には汚泥要素も加わっているから、エリート育ちの坊ちゃん魔王にはキツかったかな?」
外で治水工事をしていた魔王<ミズチ>に比べて、ダンジョン内にいる魔王<ガロン>は、脳筋バカ感が溢れていたけど……
それでも魔王転生前は、"教会関係者のエリート"として高等学舎へ通う富裕層だった訳で、生粋の根性野郎ではないのだ。
「彼はルーレットで地獄を引き当て、メグミ先輩が考案なさった<カビのデコレーションケーキ>を食わされて、ギャン泣きしているところですよ」
そう言ってスティーブが見せてくれたモニターの画面には、ゴーレムに力尽くで口を開けさせられ、ケーキ(という名のカビの集合体)を食わされる……
暴れて殴られ前歯と鼻がボロボロになった、ガロン君がいた。
ちなみに……食えない物を出すと魔王規約に触れかねないので、<カビのデコレーションケーキ>は拷問した際、"お試し"でミズチにも食わせてある。
白・緑・赤・黒とカラフルなカビが、ケーキの栄養でスクスクと育ちコロニーをつくって繁殖競争しているさまは、(ある意味)芸術的だ。
「この状態なら、今すぐにでも倒せそうですが……魔王<ガロン>も、メグミ先輩の方で情報を抜き取る感じですよね?」
「うん。魔王<ミズチ>の情報を抜いたとき、シャレにならない話が出たんで、それについてもう少し深く調べようと思っているの」
「なるほど。了解です!」
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






