382話 ハニー・カード
〜ロルカナside〜
方針を固めた私は、<改造阻害>のギフトカードをアイテムボックスから取り出して、眷属達へ"80期に配る"よう指示を出した。
このギフトカードの元となった魔王<ハイドン>は、もう死んでしまったので、同ギフト持ちを見つけるまで"オリジナル"カードは補充できない。
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〜改造阻害〜
他の魔王が管理するダンジョンへ侵入している間、そのダンジョンの改造を阻害できる。元々設置されていたもの・ギフト絡みのオブジェクトには、効果が及ばない。
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だが勇者排除派で、<改造阻害>や<聖者の祈り>のような、「ダンジョンの改造を妨げるギフト」を持つ者がいない以上……
私が持つ<ハニー・カード>ギフトの中から、それに類似するカードを使い、代役を果たすしかないのだ。
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〜ハニー・カード〜
蜜月の交わりをもった魔王のギフトを10日間トレースする、特殊なカードを作れる能力。
1回の交わりにつき1枚しか作れないため、カードを量産するには下半身を酷使せざるをえない。
また自らを慰めたときに自然と生まれる<ドンマイポイント>を貯めると、コピーカード等、汎用性が高い低ランクカードを作ることができる。
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あの粗チン爺のことは、思い出すだけで吐き気がするけど……アイツが持つギフトだけは素晴らしかったし、もう少し交わって枚数を貯めたかった。
だけど何故か途中から、あの爺がパパ活に応じなくなってしまい、補充できなくなっちゃったのよね〜。
その際、私の"見た目年齢"について文句を言っていた気がするけど……自分の方が遥かに年上のくせして、本当に嫌になっちゃうわ〜。
「ご主人様。このカードで、<水城のダンジョン>をメグミ仕様に変えられるのを防ぐのですよね? その後は、どう攻めるおつもりですか?」
「"攻める"というより、ポイントを消耗させる形でいきましょう。<水城のダンジョン>のオブジェクトを壊して、自動修復でポイントを削るのよ」
「なるほど!」
基本的にダンジョンは、「魔王が管理しやすい」という理由で自動修復設定がONになっており……
多少、侵入者に壁やオブジェクトを壊されても、ポイントを消費して勝手に修理される。
だがコレを悪用して、意図的にオブジェクトを破壊すると、みるみるうちに修理費用としてポイントが減ってしまい、魔王にダメージを与えられるのだ。
なぜ他の魔王が、この方法で敵のダンジョンを攻めないのかって?
それは簡単。
攻撃側に「ダンジョン設定機能に干渉できる能力者」がいなければ、すぐに自動修復機能をOFFにされて終わるし……
オブジェクトを破壊している間は隙だらけになるため、そこを敵に突かれて殺される可能性も高い。
それに加えて、敵のダンジョンに侵入している間は、もれなく敵魔王に「侵入ポイント」をくれてやっている状態なので……
それ以上の修理費用を削れるよう、盛大にやらないと効果が見込めず、それでいて監視と特殊能力持ちが必要等、難易度が高すぎるのだ。
だけど私の<ハニー・カード>ギフトで作った、<改造阻害>カードを切れば、誰でもその場で"特殊能力持ち"になれるし……
傘下の80期全員で攻めさせる今回の作戦なら、質を伴った大勢の兵隊がいるので、地上部や浅い階層でオブジェクト破壊させれば効果があるだろう。
「そういえば、80期のナイルが"僕と一晩いかがですか?"ってアプローチしてきたんだっけ? カードの枚数も減っちゃったし、補充しておこうかな♪」
ガルガロク先輩もトキナも、こんな魅力的な女性に声をかけないなんて、マナーってものを知らないのよ!
まぁ若造に抱かせてやるほど私の身体は安くないんだけど、今回だけは"仕方なく"応じてやるわ。
そういえば……ナイルが、「僕もっと強くなりたくて……。モンスターの渦が欲しいんです」とか言っていたわね。
女からプレゼントするなんて癪だけど、この前"お菓子の詰め合わせセット"も貰ったことだし、ちょっとくらいサービスしちゃいますか♪
「自販機」っていう箱を作ることで有名なメグミはともかく、サーシャって女のギフトは未だ知られていない。
きっと「股を利用した節操ないギフト」なんだろうけど、若さと容姿に驕って努力を怠っていると、そのうち枯れて痛い目を見るわよ!
私なんて日夜美容品の研究に勤しみ、"女である事"を極めているんだから。
もし便利なギフトだったら、殺す前に数枚ほどカード化させてもらうけど……アンタと私じゃ、女としての"根本的価値"が違うの!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






