376話 <恵のダンジョン>と言ったら
〜メグミside〜
「〜〜〜と、こんな感じで一通り強化してきました。予算は、頂いた分の96%程を使った感じです」
「そうか。ありがとう! 相変わらず執事君は頼りになるね〜」
「マスターにそう言って頂けると嬉しいです」
スティーブが治める<水城のダンジョン>についてだが、基本的には「既存ステージの殺傷力を上げる方針」をとった。
「流れるプール」や「トラップ併設のため池」には、触れるだけで肉が切れるオリハルコンの鋼線を張り、一度落ちたら何処か捥がれる鬼畜仕様に。
そしてさり気なく「<恵のダンジョン>産:発酵ウ○コ」も、侵入者が飲みそうな清水の中にポイしてやり……
見た目はキレイだからと、水質調査せず油断して飲むと、感染症で動けなくなり詰むカタチにした。
また一般的な"水属性ダンジョン対策"は、「水の中でも呼吸できるアイテム」を身につけたり、風魔法で膜を張って移動する事なので……
その程度の対策じゃ通過できないフロアを用意して、「対策済みだから」と油断した侵入者を、地獄へ叩き落す仕様に変更。
水ではなく"お酢"が流れるプールを、天井に頭をぶつけながら這って登らなきゃ、攻略できないフロアのような、「鼻と目にくる仕掛け」盛りだくさんだ!
逆に、<水城のダンジョン>を護るモンスターは増員せず、生活費も抑えめにして、少しでもポイントを貯めるよう指示した。
基本的に攻防戦は守りの方が有利で、攻め手は"3倍以上の勢力"で乗り込まないと、壊滅させられるのがデフォだから……
「丁度いい塩梅でモンスターを従えているスティーブは、目先の脅威に備えるためだけに収支バランスを崩して、赤字転落すべきじゃない」と判断したのだ。
もし彼のダンジョンが勇者排除派に攻められたとしても、鬼畜度をアップしたフロアが奴等の進行を防いでくれるため、対策する時間はあるし……
同時に<恵のダンジョン><集金箱のダンジョン>が落とされない限り、僕等がモンスターを購入して、スティーブに安値で売ってあげればいいだけ。
同盟を組まないボッチ魔王の場合、誰にも頼れないから選択肢も変わってくるけど、僕等二人が味方に付いた状態で彼が無理する必要はない。
「メグミ君〜。スティーブ君から、お礼のメールが届いたよ。ちょい堅苦しいけど、丁寧で育ちの良さが分かるねぇ〜」
「ふふふっ。子爵家とはいえ、代々優秀な執事を輩出する一族の出身だからね。そりゃあ、マナーは洗練されているだろうよ」
ユアンのように裏切られても困るので、助けを求められた段階で、再度スティーブについては調査を入れ……
家庭環境から学舎での人間関係、成績・授業出席率・女性の好みまで、事細かに調べた。
彼は、長男として生まれた人間なので……もし魔王転生していなければ、「子爵家を継ぐ者」として高等学舎を卒業し、適当な官僚コースに乗ったあと……
公爵家・侯爵家等で働きつつ、父親の引退に合わせて家を継いで子孫を残し、優秀な執事一族の長として生きただろう。
「他人に仕える人生から、モンスターに仕えられる人生に、180°変わるのも珍しいよね」
ユアンと違ってバックグラウンドに問題はなかったけど、スティーブの家は"超厳格"なので、魔王となった彼を認める事は今後もなさそうだ。
「あと、<天国と地獄フロア>の設置ありがとうございます! だってさ〜」
「クククッ! そりゃあ"ウチの代名詞"だし、傘下入りするなら設置しないとね〜♪」
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〜天国と地獄フロア〜
現金を投入することでルーレットに参加でき、「扉解放」を引いた者だけ先へ進める。
侵入者が10名集まらないとチャレンジできず、「扉解放」を引けるのはその内の一人だけ。
当たった一人が先へ進むと、人数が9名に減るので……新たな挑戦者が来ない限り、ルーレットは動かない。
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<水城のダンジョン>の<天国と地獄フロア>には、ケツバット地獄とウ○コ砲を置かない代わりに、時間経過と共に汚水が嵩を増すシステムを採用!
当たりを引きまくりストレートで抜けられれば、足元がちょっと汚れる程度で済むけど、もし何日も留まってしまったら、髪の毛まで汚水に浸かり……
感染症に怯えながら、ルーレットへ参加するハメになる。
勇者排除派が従えているモンスターの中には、ゴーレムのように「汚水攻めが効かないタイプ」もいたので、硫酸や腐食効果のある液体も用意したよ。
やや原価が高いので、予算的にあまり使いたくはないけど……場合によっては天井から流して、敵勢力の体を(物理的に)溶かすのもアリだと思う。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






