375話 後輩のアシスト開始!
〜メグミside〜
スティーブの成功を見てワラワラと擦り寄ってきた、乞食精神丸出しの79期をスルーしつつ、淡々と彼への支援準備を始める。
奴等も放っておけば勇者排除派の連中にボコられて、80期の餌にされるか、"アンチメグミ派"として虚しい余生を歩むハメになるだろうけど……
僕が守れる人数なんて精々数人だし、乞食精神丸出しの奴を助けても貧乏神に化けるだけだから、ここは「見捨てる」一択だ。
「え〜っと、同盟申請はココからだったよね〜」
まずはスティーブを僕等の同盟に誘って、同盟メンバーしか使えない転移陣を、彼のダンジョンに設置する。
ぶっちゃけ、上級カタログギフトに載っている「無制限転移陣」を使えば、同盟外の魔王のダンジョンも行き来自由になるんだけど……
代替が利くモノのために上級カタログギフトを無駄にしたくないし、普通の「同盟メンバー用転移陣」なら、ユアンのお下がりを使ってもらえるから楽だ。
そして後は、何らかの理由で同盟が途切れた時用の"子供電話"と、ダンジョンを守り切れるだけの援軍を用意すれば、コチラの準備は終わり!
直接見たわけじゃないので、資料越しでしかスティーブのダンジョンの様子は知らないけど、良くも悪くもオーソドックスな水ダンジョンらしい。
つまり水没しているフロアが多く……最悪の場合は、地の利を活かして近くの川から水を引き、ダンジョン自体を完全水没させる……
的なパターンだから、一般人には攻略されにくい反面、水属性ダンジョン対策をした連中には、容易く攻め込まれる傾向もあるのだ。
「とりあえず、アドバイザーとして執事君を一体派遣するから、彼に"殺意増し増しの水没フロア"を増築してもらえ」
ウチの執事君は、僕の側で育った甲斐あって"イイ性格"しているし、増築に必要な予算(=ポイント化する現金)も十分持たせたから!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜スティーブside〜
メグミ先輩からの連絡を待ちながら、自分でもできる襲撃対策をおこなっていると、彼とサーシャ先輩の<小鬼>同盟から加盟のお誘いが届いた。
「勿論、入らせていただきます! ありがとうございます!!」
そして加盟ボタンをポチるとすぐ、転移陣の設置希望場所を尋ねる連絡があり、コアルームに設置を依頼したところ、数秒で魔法陣が浮かびあがる。
もし相手に悪意があった場合……コアルームに侵入されたら一巻の終わりなので、安全マージンを取るのが普通なんだろうけど……
メグミ先輩達がその気なら、多少対策したところで押し入られて壊滅するのがオチなので、最初からそういう"無駄な警戒"はしない。
メグミ先輩にとって一番便利な場所に転移陣を設置してもらい、少しでも彼に気分よく動いていただくことの方が大事だ。
<−−− ウィーーン −−−>
それでも……同盟を組んだことがなく、転移陣も初体験だった僕にとって、配下以外の勢力がコアルーム(=心臓部)に入ってくるのは初めてだったため……
ガチガチに緊張してしまい、執事服を着たオートマタさんが現れたときは、挨拶をしなきゃいけない場面なのに、引きつった顔で固まっていたと思う。
「貴方が、マスターの支援対象となった魔王<スティーブ>殿ですね?」
「はっ、ハイィ!!」
自分の小心者っぷりには呆れるばかりだが、騙す気満々で握手するよりはマシな第一印象だと思うし、「ユアンよりは良い評価」だと信じたい。
「私は、マスターに"貴方が治める<水城のダンジョン>をサポートする"よう仰せつかった、次席オートマタの<ティア>です。以後お見知り置きを」
「あっ、ありがとうございます! 貴方のご主人には迷惑をかけてしまい、申し訳なく思いますが、全て従うつもりですのでアドバイスよろしくお願いします」
絡まる舌を必死に動かして、ティアさんの逆鱗に触れぬよう何とか言葉を返すと、彼はアイテムボックスから袋を取り出し……
「では、早速始めましょう!」と、ダンジョンの改造作業に乗りだした。
「ふむふむ。<水城のダンジョン>は、調査資料に載っていたとおり"オーソドックスな水ダンジョン"ですね。特筆して、嫌らしい仕掛けもナシ」
そうかな?
毒の沼地があったり、全面水張りでテントを設置できない構造だったりと、かなり鬼畜なダンジョンだと思うが……。
でも上位魔王の次席オートマタがそう言っているんだから、たぶんメグミ先輩視点だと「鬼畜さが足りない」のだろう。
「とりあえず、"高速で流される仕掛け"や"池の中"に鋼線を組み合わせましょう。オリハルコンの細〜くて、スパンスパン切れるやつを!」
「えっ!? はっ、ハイ!」
ティアさん曰く、限りなく細くすればオリハルコン製でも"致命的な費用"はかからないし、殺傷力も上がって万々歳なんだとか。
たしかに……罠にハマって勢いよく流された先に、触れただけでもスパンと切れるオリハルコンの鋼線があったら……ダンジョンの脅威は上がるな。
初期費用を奮発して設置してしまえば、モンスターみたく維持費をかけずとも、敵を殺す要素としてあり続けるし……。
自分の所と"属性"も"構造"も違うダンジョンで、眷属に初っ端からコレを組みこませるメグミ先輩は、僕とは賢さの次元が違うのだろう。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






