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374話 命を握られる感覚




 全てを失うかもしれない恐怖でスッと肝が冷え、指先が震えるのを感じながら、なんとかメグミ先輩のコメントにヘルプコールをぶら下げる。


 もちろん冷笑&スルーされる可能性の方が高いけど、自力でベテラン魔王の襲撃をはね除ける力のない僕が、生き残れる道はコレしかない。



「掲示板で大騒ぎして先輩方に迷惑をかけている他の79期も、こんな気持ちだったんだろうなぁ〜」


 理解しているつもりだったけど……頭で分かるのと同じ立場に立たされて体感するのとでは、感情に対する解像度が全然違うよ。



「オートマタ。配下達に命じて、ダンジョン周辺のモンスター狩りを強化してくれ。ポイントを稼ぎつつ、リポップでSランクを引けるまでチャレンジだ」


「かしこまりました」



「戦闘力が低いモンスターには、山菜&薬草採りをやらせろ! 時給効率は悪いけど、換金すれば飯代くらいにはなる」


「お任せください!」



 もちろん、宝クジのように「メグミ先輩が助けてくれる可能性」に賭けて、自分自身で何もしないのは論外なので……


 本格的に攻め込まれないうちに、できる限りの対策をやっていく。



 周囲一帯のモンスターを狩りまくると、一定確率でSランク以上のモンスターがリポップして脅威となり、人間もモンスター退治のために出張ってきて……


 「敵が地上に拠点を作り、ダンジョン攻略を目指す展開」を抑止できるから、何もしないよりは襲撃の緩和できるかもしれない。


 また僅かでも手持ちのポイントを増やし、ダンジョンの育成を進めることで、先輩魔王が「費用対効果が悪い」と判断して帰ってくれれば万々歳だ!






「あっ、メグミ先輩から返信がきた!」


 これは……



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


369 名前:メグミ(78期)

条件次第。何を差し出せる?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 全否定とか無視じゃなくて、きちんと条件を聞いてくれたって事は……コチラの対応次第で、助けてもらえる可能性もある!


 79期の僕が差し出せる対価なんて、メグミ先輩にとってはカスみたいなモノだという事くらい、アチラも理解しているだろうし……


 ここは後輩らしく「出せる限界ギリギリ」を提示して、誠意を示そう!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


370 名前:スティーブ(79期)

正式に傘下入りして、今後収益の50%を上納……という形でいかがでしょうか?

あとミッションで、メグミ先輩が有利になるよう立ち回ります!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そうして僕は、ダンジョンを運営できるギリギリのラインである、「収益の50%上納」を提案したわけだが……


 返ってきたリプを見て、自分がかなり大きな墓穴を掘ったことに気づく。



「収入じゃなくて収益からの上納じゃ、幾らだってチョロまかせるじゃん! ダメじゃん!!」


 79期にはあの"ユアン"がいたため……メグミ先輩をはじめとする良識ある先輩魔王からも、巻き込み事故で警戒されているんだった!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


371 名前:メグミ(78期)

収益の20%上納でいい。

その代わり収入の10%を下限として、仮に経費で儲けが飛んでも、最低10%は支払ってもらう。


372 名前:スティーブ(79期)

分かりました!

メグミ先輩に楯突く気なんて最初からないですし、20%上納で済むならコチラとしてもありがたいです。

今後の連絡は、どういう形でとればいいですか?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 大事な場面でやらかした自己嫌悪で泣きたくなったが、ここでメンヘラ化しても事態は解決しないし……


 メグミ先輩の提案は僕にとっても嬉しいものだったので、すぐに返信して「叛意がない事」を示し、画面の前で正座待機した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


373 名前:メグミ(78期)

コチラから連絡を入れるから、君は慌てず騒がずダンジョンの防衛に専念してくれ。

ダンジョン攻防戦は基本的に防衛側が有利で、3倍くらいの戦力差がないと落とせないから、徹底して守りを堅めれば暫くは大丈夫だ。


374 名前:スティーブ(79期)

ありがとうございます!

未熟者ですが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「よしっ、メチャクチャ頼りになる先輩の後ろ盾ゲット! これで皆、助かるかもしれない!」


 もちろん魔王は"独立した存在"であり、上納金を払うからといって手取り足取り面倒を見てもらえるわけじゃないけど、言質を引き出せただけで感謝だ!



 79期狩りに参加している先輩魔王より、メグミ先輩の方が魔王としての序列は高いし、この前のバチバチもメグミ先輩側が制したので……


 その彼がバックにいると分かれば、少なくとも"今すぐ軽い気持ちで攻め滅ぼされる"パターンはなくなるだろう。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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