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369話 後輩の嘆き


〜トキナside〜




 贋金を掴まされた損失を取り返すべく、ダンジョンの防衛体制を極限まで手薄にして、外部のモンスターを狩り素材を集める日々。


 二度とふざけたマネをされぬよう、闇金の周りにも「見張り兼調査役のモンスター」を置いたため、ダンジョンの中はガラ空きだ。


 もし今、名のある魔王に襲撃されたり、ロルカナ先輩・ガルガロク先輩に裏切られたら……俺はなす術もなく滅びるだろう。



 不用心な采配をとっている事など重々承知だが、それでも起きている問題に対処しようとすると、防御を捨てざるを得ないんだ!


 仮に、不足分のモンスターをポイントで買ってダンジョンで養おうものなら、収支バランスが大きく崩れて破産一直線だし……


 メグミ・サーシャ・元勇者を殺し切るまで、持ち堪えるだけの貯金もないのだから。



「ハァ〜。ユアンとの取引が露見したとき、処理に使った金があればなぁ〜。"悪貨バラ撒きの件"も当然のごとくニュースになり、一般人に知られちまったし」


 コチラも、ギャンブルで脳内麻薬を噴出させたアホ共を、<恵のダンジョン><集金箱のダンジョン>へ送り込んで反撃しているが……


 優勢とは言い難いし、せめてロルカナ先輩・ガルガロク先輩に、「俺の成果」と自信をもって言えるだけのナニカが欲しい。






<--- ウィーーン --->


「ん! ロルカナ先輩、おはようございます!」



「挨拶はいいわ。それより、80期の懐柔に使う予算を出しなさい。まだ今週の分が支払われてないわよ」


「…………。スミマセン」



 本音を言えば、ロルカナ先輩にも事情を説明して、手心を加えて欲しいところだが……


 どうせこの先輩に言ったところで、「そりゃあアンタが悪いでしょう。私には関係ないわよ」とスルーされるだけだし、マケてもらえる訳がない。



 そもそもロルカナ先輩は、美容品に目がなく糸目を付けずに買ってしまうタイプゆえ、金銭面での信用がおけず……


 ガルガロク先輩も「悪貨バラ撒きプロジェクト」の話をしなかったくらいなので、正直に話していい事などないはずだ。



「はい、今週分っス。あの……ロルカナ先輩。ちょい現金化のタイミングにてこずっていて、来週の予算も期日までに間に合わないかもなんですけど……」


「はぁ? アンタも金欠なわけ? 別に無いなら、適当なモンスターを物納でもらっていくからいいわよ。ウチのダンジョンで殺せば、ポイント化できるし」



「え〜っと……なんとか間に合わせるんで、それだけは勘弁してください」


「はいはい。80期の懐柔については、予算が入る前提で動いているんだから、アンタがコケたら私も困る。サボるんじゃないわよ」






 挨拶もなく他人のダンジョンに入ってきて、俺の執務室でタバコをふかしながら暴言を吐いた、ロルカナ先輩は……


 びた一文マケずに金を回収したあと、80期魔王の懐柔について、現在の状況を教えてくれた。



「メグミを恨みそうな血筋の80期魔王に話を持っていって、12名の懐柔に成功したわ。たぶん、合流までには79期より強くなれると思う」


「なるほど。それで合流と同時に79期を食わせて、さらに一回り成長させてから、集団でメグミ達にぶつける……と」


「えぇ。今程度の実力だと"ただの餌"にしかならないけど、79期を食って力を付けた暁には、"獲物を食い尽くす殺人アリ"くらいにはなるでしょう」



 ロルカナ先輩は、俺が渡した予算で80期魔王のダンジョン育成を手伝い、水面下で着々とプロジェクトを進めている。


 こういう養殖ブーストは、成長率が半端ない初期だからこそかけられるものであり、今さら俺達が同じ金額を使っても殆ど成長は見込めない。


 ゆえに先輩は、金を出し優しくアドバイスして育ててやる事で、従順かつ適度に強い手駒を育てて、メグミ達の足を引っ張ろうとしているのだ。



 先輩の言うとおり、このプロジェクトは期限が決まっているうえ莫大な予算が必要であり、俺が支払いを滞らせると詰むことくらい分かっている。


 だが「打倒メグミ達の足がかりとするため」と分かっていても……金銭的余裕がないなか、俺自身じゃない他人に資金を使われるのは、正直ムカつくよ。






「そういえば、アンタ……色々と闇金でミスったらしいけど、それで金欠なの?」


「ゲェッ!!!?」



 ちょっと待て、俺はロルカナ先輩に"その件"の話などしていないぞ!


 あのガルガロク先輩が、口を滑らすとも思えないし……一体、どうして分かったんだ!?



「カマをかけただけよ。ゴシップ誌で色々書かれていた悪貨バラ撒きの件と、アンタの闇金が関係してそうだったからねぇ〜。当たっていて良かったわ♪」


「アハハハハハハ。そりゃあ何よりです……。(ババァの勘って怖い!)」



 不可抗力とはいえ、バレた事がガルガロク先輩に伝われば……今度は鉄拳制裁だけじゃ済まないかも。


 メグミ達を殺して同盟を解除するまでの間だけでいいから、この厄介な爺婆、"翌日まで記憶がもたないくらい"ボケてくれねぇかなぁ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
びた一文というのは、古代日本、安土桃山・戦国時代に使われた銭の中で、使用され過ぎてすり減り、半分の価値、つまり0.5文以下の悪銭、"鐚銭"から来ているので、異世界で鐚一文は違和感があるかと…
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