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361話 悪貨には悪貨を




 執事君に頼んで念入りに調査してもらったところ、検査に引っかかった悪銭は全て銀貨であり、「トキナ先輩の闇金がある街」で流通している事が判明した。


 先輩が作ったかどうかは定かじゃないけど、銀の含有率が通常の3割以下しかないうえ、見事なメッキ加工が施されていたので……


 ほぼ確実に、トキナ先輩か彼と仲の良い魔王が悪貨を作り、銀を抜くことで悪どく儲けていると思われる。



「もし数週間気付くのが遅れていたら、世界中に贋金が出回ってしまい、流出元がボヤけて特定が困難になっていたかも。よく気付いてくれた。ありがとう!」


「自動カウント機様様ですね。大事な取引でこんな物を使って、我々が贋金作りに関与していると疑われたら、金じゃ賄いきれない損失が出るところでした」


「くくくっ。確かに!」



「それでマスター、どうします? トキナ魔王の闇金を、匿名で公的機関に通報しますか?」


「それもいいけど……一発入れてからチクって、敵さんをゴタつかせてやろう」



 コチラでも、トキナ先輩が貸し付けている以上に質の悪い銀貨を作り、それを彼の闇金への返済にあてさせることで、アチラの銀を削ってやる!


「執事君。それなりに質の高い、含有率1%の銀メッキ貨幣を作ってくれ!」


「はい。承知いたしました!」



 敵は、自分達の行いが返ってくるなんてカケラも思わず油断している筈だから、パッと見でバレなきゃOK。


 信用してくれている取引先に、こんな物をバラ撒いたら大問題だけど……トキナ先輩の闇金を利用しているギャンブル狂を、ちょっと洗脳して……


 返済予定の金を全てこの悪銭に換えるだけなら、損するのは贋金に関わった連中だけだ!



「それに、トキナ先輩以外がこの件に関わっていたら……トキナ先輩が、金欲しさでより"悪質な銭"を作った云々でモメて、亀裂が入るかもしれない」


 もし上手くいかなくても、僕は「トキナ先輩の顧客」に交換させた「良質な銀貨」で大儲けだし、美味しい仕事になると思う。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜トキナside〜




「ご主人様、大変です! ガルガロク様が大層怒っているらしく、今にも殴りかからんばかりの勢いで暴れていると」


「なんだと? 冷静沈着なベテラン魔王の先輩が怒り狂うなんて、一体なにがあったんだ?」


「それが……」



<−−− ヒューーン −−−>


「トキナ、貴様がやったんかぁ!!!!!!!!」


「えっ!?」



<−−− バキッ! ドコッ! ドガドガッ!! −−−>


 オートマタからの報告を聞き終える前に、転移陣で先輩が飛んできたと思ったら、いきなり怒鳴られ殴られてしまった。



「痛ぅっ! 誤解っス! なぜ怒っているのか分かりませんけど、俺、変なことしてないっスよ!!」


「フゥー、フゥー、フゥー……」


 なんとかそう言うと暴力は止んだが、露骨にコチラを疑い怒りの表情を向けてくる格上の先輩を見て、思わず萎縮してしまう。



「まず、何があったかから教えてください! 俺は本当に何も知らないんですって!」


「…………。チッ! 貴様から送られてきた銀貨が、ことごとく銀含有率1桁%の贋金だったのだ」


「はぁっ!?」



 ちょっと待て、俺は一切中抜きしていないし……借金中毒者共から回収した金を、ただただ先輩の所へ送っただけだぜ!


「先輩、冷静になって考えてください。もし俺が中抜きするなら、闇金で貸す前にその贋金にすり替えます。溶かすと分かっていて、そんな物送りません!」



 ガルガロク先輩の元へ送られた銀貨は、溶かされて色んな混ぜものをされ、再び「銀含有率3割程度の贋金」になって、俺に戻され闇金から方々へ流れる。


 なのに「溶かされる」と分かっている所へ、わざわざカスッカスの贋金を送りつける、命知らずのバカ魔王はいない!






「うむ。言われてみればそうだな。お主ならやりかねんと思ったが、そこまでバカな奴じゃないか」


「はい。信じていただけて何よりです。(というか、"やりそうな奴"って評価されてんのか……俺)」



 たしかに魔王になる前は、チンピラとして悪事に明け暮れ……捕まって裁かれる直前、偶々魔王転生した人間だから……疑われても言い返せねぇけど……


 せめて殴る前に、事実確認くらいはしましょうよ!


 俺の数少ない自慢である"整った顔"に、ボカボカと鉄みたいな拳を振り下ろすのは、酷いと思うんスよね。



「とりあえず、こんな事をしたクソ野郎を探し出します!」


「うむ。よろしく頼む。あと今回のはお前の失態だから、きちんと納品分の贋金を"本物"と換えるように」


「…………うっス。(鬼だ! 数日分の儲けとはいえ、この量の銀貨を失うと財政が火の車になる。というか先輩、絶対にコレ目的で押しかけてきただろう!)」



 いくら俺が格下&後輩の魔王だからって、一方的に責任を押し付けるのは、やり過ぎだと思うんだけど……。


 ハァ〜、どうして俺ばっかりこんな目に遭うんだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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