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360話 異変




 教会本部襲撃に関わったモンスター達を、安全なダンジョン内に戻して休ませつつ、教会やトキナ先輩達からの報復に備えていると……


 入れ替わりで、スパイとして大都市に潜伏したモンスター達から、「水面下で何かが起こっている」と報告があった。



 まず教会サイドだが……幹部連中が軒並み殺されたうえ、スキャンダル砲と私財略奪で一族諸共没落したため……


 後任を務めたがる者がおらず、誰が後釜に座るかでモメているため、新体制が発足するまで暫くかかるし報復も心配しなくていい。



 「厳しい状況だろうと昇格できるなら喜んで!」という、野心剥き出しの教会関係者もいたはずなんだけど、マサルが軒並み手足をぶった斬っちゃってね〜。


 そのうえ奴等は、表沙汰にはなっていないものの不正に関与しており、不定期ミッションのターゲットとしてウチが狩ったため、もう誰も残っていないのだ。



 現在、都市<ガロパ>にいる教会関係者は、これまで冷遇されていた左遷組や、現役引退した老人・幼い見習いばかりなので……


 "命をかけてまで"幹部のイスになど座りたがらないし、遠方からそれなりに野心のある実力者を呼び戻してポジションに就けるまで、半年はかかるだろう。



 やられっぱなしだと教会の威厳が台無しだからか、僕・マサル・サーシャの悪評が書かれた新聞は、毎日のようにバラ撒かれており……


 信者の一部は再び洗脳されて、朝から「魔王憎し! 裏切り者の勇者は滅びろ!」と叫んでいるらしいが、救いようのないバカは放っておいていいだろう。



 教会のプロパガンダはある程度成功したものの、結果としてマサルにボロ負けしたうえ、新しい勇者を喚び出すことすら出来ていないので……


 その求心力は以前より格段に落ち、僕達の放った矢によって打撃を受けたのも事実、と評価している。






 そして都市<ガロパ>の襲撃終わりに、疲弊したマサルを暗殺しようとして、ウチと<農民>同盟にボコられた勇者排除派は……


 表立って動く事こそないものの、トキナ先輩の経営する闇金に不審な動きがあり、着々と報復の準備を整えているみたい。



 試しに高額バイトに食いついた<鉱山フロア>の住民を、何名か「スラム街で暮らす薄汚れたギャンブル狂」に変装させて、そこで借金させたところ……


 返済できなかったときの落とし前が、「砂漠のオアシスで奉仕活動」となっていたらしく、破産者を<恵のダンジョン>へ送り込もうとしている事が伺えた。



 さすがに滞納→強制執行までくらうと、暴力をふるわれる可能性が高く、バイト代を渡しているとはいえ可哀想なので……


 住民達には、(丁半賭博で勝ったことにして)その日のうちに借金を返させ街を脱出させたが、もう少し詳しく調べたほうがいい気がする。



「とりあえず、健全な一般人と一緒に暮らさせると、周りが迷惑してクレームが続出するタイプの厄介者が、もうすぐウチへ送り込まれてくるのは確定!」


 幸いなことに彼等に後ろ盾はなく、酷い扱いをされて死んでも自業自得な連中なので、やや過酷な生活フロアを作ってそこにブチ込もう。



 最初は普通に生活させて、トラブルを起こした者から"扱い"を下げ、ルールに沿って社畜化して一生こき使う!


 以前ロミオット達が悲鳴をあげた、<アルバイトフロア>をもう少し"長期向け"にしたタイプの、搾取システムが理想かな?



 もし何か言われても、闇金の「貸し付け契約書」を証拠として提示し、「トキナ先輩に嫌がらせをされたんで〜」と彼のせいにすればいいだけなので……


 (魔王界でも"下品"とされる)人間牧場ではなく、ある程度自由に暮らせる労働施設にブチ込んでおけば、僕が完全に悪者扱いされる事はない。






「マスター、報告があるのですが宜しいでしょうか?」


「ん、どうした?」



「ダンジョンとは直接関係ないのですが……最近巷で、"悪貨"が出回っているようで……。何枚か入手してしまい、検閲に引っかかりました」


「…………。へぇ〜」



 <恵のダンジョン>では扱う硬貨の枚数が多く、機械を組みこむ方がコスパが良かったため、中級カタログで<硬貨の自動カウント機>をもらい導入した。


 このカウント機は性能が良すぎて、贋金ではない「ボロくなりすぎた硬貨」も弾くので、一概に「弾かれたからダメ」とは言えないが……


 トキナ先輩が暗躍しているタイミングでコレは、ちょっと怪しいニオイがする。



「執事君。弾かれちゃったお金を、全部入念にチェックしてくれない? 目視と密度測定、あと鑑定もヨロシク」


「かしこまりました」



 悪貨が出ただけでトキナ先輩と結びつけるというのも、おかしな話に聞こえるかもしれないけど、この世界で贋金作りをする奴なんてほぼいない。


 それも……ウチのドッペルゲンガー達が、取引中に気付かずそのまま受け取ってしまい、機械を通して初めて分かるレベルの悪貨なんて……


 造幣局の連中・特殊なギフト持ち・上級魔王等、作れる人は限られるんだよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ある意味相性が悪すぎたな、偽金作戦。 メグミからリークされてトキナの闇金業者とかが軒並み潰されるパターンだわ。 [気になる点] これから作る素行不良者の労働フロア。 カイジの地下強制労働…
[良い点] やっぱり勇者排除派の魔王達の悪巧み早速メグミに嗅ぎつけられてる・・・。
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