357話 ヒーロー達の帰還
都市<ガロパ>の襲撃が終わって4日……砂龍・風龍と<農民>同盟の眷属達に護られたマサルが、<恵のダンジョン>に帰還した。
奇襲のために隠密行動する必要があった"行き"と違い、"帰り"はある程度追跡されても構わない(というか仕方ない)ので、スピード重視で動いたのだ。
<−−− ウィーーン −−−>
『メグミ殿。私<マサル>、宣言どおり教会関係者へのケジメをつけ終え、ただいま帰還しました!』
『マサル殿、無事で何よりだ。疲れただろうし、細かい話は後にして、ゆっくりと休むがよい』
『ありがとうございます! ちょっとマジでキツイんで、失礼なのは承知しているんスが、爆睡させてもらいます』
都市<ガロパ>で暴れ回りほぼマナを使い果たしたうえ、この4日間ロクに眠れず、ひたすら<恵のダンジョン>を目指して空を飛んでいたマサルは……
<恵のダンジョン>攻略中に、何轍かしたときと同じくらい老け込んでおり、明らかに疲労が溜まっている様子。
まぁ彼は強いといっても"普通の人間"だし、いつ呪いやトラップが降りかかるか分からない状況で、何日も寝ずに逃げ続けたんだから……
召喚したレッサードラゴンに乗っていただけとはいえ、消耗して当然だ。
『分かった。コチラでも、マサル殿を護るための結界は張っておくゆえ、安心して休むがよい』
『ご厚意に感謝します』
<オアシスフロア>の門をくぐってすぐ自宅へ直帰して、睡眠不足を解消するために眠り始めたマサルを、教会勢力の報復から護るために……
僕は彼の自宅を結界でガチガチに包み、自分達が暮らす最深部よりも、厳重なセキュリティーを張り巡らせた。
これはあくまでもマサルが回復するまでの措置であり、ずっと防御し続けるのは予算の都合上難しいが、彼なら体調さえ戻れば自力でどうにかするだろう。
<−−− ウィーーン −−−>
「マスター、ただいま! ステータスが伸びたよ! 見て見て〜!!」
「砂龍、おかえりなさい。よく頑張ったね〜。いい子だ!」
「エヘヘ♪」
マサルの保護が終わったタイミングで、勇者排除派の眷属と戦い、マサルを護ってここまで連れてきてくれた砂龍が、コアルームへ入ってきた。
砂龍は人化中だから、龍の姿はまだ確認できていないけど……明らかに滑舌が良くなり成長したし、ステータスもガッツリ伸びている。
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砂龍(人化中)
ランク:SS
職業:恵のダンジョン・大ボス
スキル:頭突きS・噛みつきS・爪裂きB(New)・咆哮A・火魔法A→S・水魔法A・土魔法SS・風魔法B・物理耐性A→S・魔法耐性A・錬金A・アイテムボックスD→C・大食いC(New)
ギフト:鉱物の支配者・人化
所属:恵のダンジョン
維持費:30000ポイント/日
詳細:古を司る土属性の龍。近場にある鉱物を取り込んで砂状に変え、それを使って自身の肉体を育てていく特性があり、防御力は使用される鉱物の硬さに比例する。それゆえ土龍より撃たれ弱い事が多いが、身体を構成する<砂>を武器に変え使う場合もあるため、総合力では甲乙つけがたい。オリハルコン等のレア鉱物で身体を構成している場合、頭から尾まで全てが高級素材となるため、倒した者は巨万の富を得ることができる。
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「マスター。僕ね、SSランクモンスターにトドメを刺せたの! 眷属のオジちゃん達が、ガシって押さえていてくれて、そこにガブって!」
「そうか。優しい先輩方で良かったなぁ〜」
「うん♪ 一度戦闘中にミスして、殺されそうになっちゃったんだけど、その時もドカンッて敵を跳ね飛ばしてくれて〜」
「ふふっ、助けてくれて感謝だね。(眷属の皆々様、マジでありがとうございます!!)」
僕は直接、「勇者排除派vs味方チームの暗闘」を観戦したわけじゃないけど……砂龍の様子を見る限り、メチャクチャ先輩方に可愛がってもらったようだ。
僕等の隣では、同じく帰ってきた風龍がサーシャに甘えながら色々報告しているし、2体を護ってくれた土龍さん達には手厚い"お礼"が必要だろう。
「(あちゃー。砂龍の相手をしている間に、土龍さん達がまた<天国と地獄フロア>に入っちゃったよ。あの方々、地味に"地獄体験"好きだよなぁ〜)」
砂龍・風龍と共にマサルを護り、<恵のダンジョン>まで連れてきてくれた<農民>同盟の眷属チームは、皆<天国と地獄フロア>に入りこみ……
降り注ぐ罰ゲームをチート技でねじ伏せては、監視役のオートマタを苦笑いさせている。
「とりあえず、彼等が次入る部屋に"商品カタログ"をセット!」
フルーツをたっぷり使ったケーキや、異世界のブランド肉を使った肉料理等、<セレクト自販機>で購入できる高級食品がズラリと載っているから……
しばらくソレを眺めて大人しくなってもらい、落ち着いたあと彼等の希望に沿った"お礼"で、砂龍達を導いてくれた感謝を伝えよう。
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






