345話 マサルと元カノの再会
〜メグミside〜
「殺人現場で肉うどんを食う」という、ちょいサイコ味がある行動をとったマサルは、ダシまで一滴残らずすすったあと行動を再開。
教会を出て、降りつける豪雨で体についた返り血を流し、迷う事なく魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>が収監されている牢獄へと向かった。
スキャンダル砲を浴びたタイミングで、アスタリア先輩によって仕込まれた洗脳に気づき、「無惨な姿になった自分」と強制的に向き合わされた3人は……
ケンカ別れして各々自宅へ帰ったところで、教会幹部が彼女達をスケープゴートにする為に派遣した憲兵によって捕縛され、牢獄に収監。
その独房でも柵越しにギャーギャーと互いをののしり、騒ぎ声のうるささにキレた獄卒によって、獄舎の中でも"一番不衛生な独房"へと移され……
当たり前のように住み着いているネズミ・ゴキブリ・ハエに卒倒したり、カビと血で汚れた床に囚人飯を置かれて大泣きしたりと、まだまだ元気な様子だ。
ただ精神的にはショックの臨界点を越えたのか、メンヘラ&他責思考が加速して、獄卒のストレスは増えるばかり。
殴って力尽くで黙らせようにも、性病の症状が全身に出ておりグロいので、「殴った拍子に感染するかも」と躊躇してしまうみたい。
3人の中でも、頭一つ抜けた「枕営業のスペシャリスト」だった槍使い<サラ>は、他の二人よりも症状の進行が少しはやく……
すでに鼻がボロリと落ちており、本来であれば寝たきりになる程弱っているものの、さすがは体育会系の槍使いというべきか。
まだ魔法師<リーナ>・斥候<キラリ>をののしる力は残っており、不潔な床に座りたくないがあまりに、徹夜で立ったまま……
喉が枯れるまで二人を罵っては、己の不運(笑)を嘆いて泣いている。
そんな「この世の地獄」みたいな場所に、決別したとはいえ元彼のマサルが向かって、穏便に済むわけもなく……
彼が獄卒を気絶させて鍵を奪い、獄舎の最奥にある彼女達の独房へ近付くやいなや、姦しい三重奏がキンキンキンキンと鳴り響いた。
ちなみに……アバズレ3人の様子を観察するために、牢獄にも監視カメラは仕込まれており、僕もリアルタイムで状況を把握できるのだが……
奴等は見た目も性格も酷すぎて、「食欲が失せるレベルのグロ映像」が流れている状態なので、普段の監視は(ストレスを感じない)ゴーレム君に任せている。
「アンタがぁ〜、アンタさえ裏切らなければ〜〜! 私はこんな目に遭わなかったのにぃ〜〜〜〜!!!!」
「責任取りなさいよ! 今すぐ、慰謝料として一生遊んで暮らせるだけの金を置いて、どこか僻地へ行って死ね!!」
「<ピー>だけじゃなく、器まで小さくてひん曲がっているクソ男が! アンタにかけた人生の時間と労力、全部返せ!!!!」
各々主張があるようだが、コイツ等と会う前に修道士<ジン>とも再会している、マサルがこの不協和音を聞いてどう思うか?
彼の表情は変わらないものの、心の中では十中八九「金と時間を返して欲しいのはコッチだよ」と呆れはて、ジンと奴等の対応を比べて幻滅していると思う。
「とりあえず、来世では全員"バスト絶壁"コース確定な。あと顔デカと親ガチャ失敗、短足・ワキガ・スソガ・足クサ・ブサイクの縛りも加えておく」
当然、マサルがアバズレ3人組の要求を飲むはずもなく……淡々と<業>によるエゲツない縛りを追加して、3人組の来世を終わらせていく。
"粗チン扱い"の報復が"絶壁"なのは、まぁ何というか……色々失礼だが、魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>が来世でも詰むのは確実だろう。
3人はマサルの元彼女であり、彼と寝食を共にしたパーティーメンバーでもあるものの、教会幹部と同じく<スキル図鑑>の存在を教えられておらず……
その中に含まれている<業>ギフトについても知らないため、マサルの発言を「戯言」と受け取って、さらに鼻息荒く罵倒し始めた。
「アンタみたいな出来損ない勇者が、そんな神様みたいなこと出来るわけないでしょ!? 冗談は顔だけにしなさいよ!」
「ホント、粗チン男の僻みって醜い。勇者をクビになったアンタに価値なんてないんだから、大人しく金だけ置いて引っこみなさい!」
「金もだけど食料もよ! アンタのせいで私はこんなに惨めな目に遭い、ツヤツヤだったお肌も傷ついてしまったんだから! というか、ここから出せ!!」
アバズレ3人組の言動については事前に把握していたため、「マサルがコイツ等とよりを戻す」可能性は、まず無いと思っていたが……
もしかしたらマサルの前でだけハニトラモードになり、同情を誘って目的を遂げようと、浅ましく動くパターンもあったため、実はほんの少し心配だった。
でも、マサルには気の毒だけど……こんな連中の姿を見て「やっぱり愛おしい」と思うマゾヒスト男は、滅多にいないはずだし……
少なくとも彼はそのタイプじゃないので、3人の姿を見て、僕は(申し訳ないと思うとともに)安心しちゃったよ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






