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343話 <粗>の恨みは怖い


〜マサルside〜




 幹部が隠れているであろうエリアをくまなく巡り、壁や家具を「風魔法をまとった手裏剣」でズタズタにしながら、標的を探し続けること40分。


 ついに幹部名簿に載っている奴全員を、<業>で縛って「絶望的な来世」へ送り、俺の復讐は一段落した。



 奴等は全員、来世で「種族トップクラスの粗チン野郎」になり、ヒエラルキー最底辺で這いつくばって生きていくだろう。


 もっとも……底辺すぎて彼女ができず、粗チンを披露することなく一生を終えるかもしれないので、「(ある意味)救済付き」とも言えるが。



「しかし、拘束や誘導をしたわけでもないのに全員"ココにいた"って事は、本当に似た者同士だったんだなぁ〜」


 これだけいれば、一人二人は「地位より命が大事だ」と考えて、スキャンダル砲を撃たれた直後に、都市<ガロパ>を去っていてもいいもんだが……



 示し合わせたかのように全員教会へ集まり、真っ向勝負じゃ勝てない相手(俺)が命を狙いに来たと知れば、隠し通路を通って逃走をこころみる。


 そして逃げ道を塞がれた事に気づいた後は、バラけて逃げれば数人は殺されずに済むかもしれないのに、「幹部専用エリア」で魔道具片手にかくれんぼ。



 「自分は、些細なことでも命を落とす武術素人の弱者だ」と気付いておらず、護られる事を「当たり前」と捉えているからこそ、ナチュラルに傲慢なのだ。


 それゆえ常に「自分は死なない前提」で動いてしまうし、隠し通路を塞がれてもなお、「幹部専用エリアは絶対安全圏」と無意識下で考え……


 教会から脱出しようとせず、「全員で固まって幹部専用エリアで息を潜める」などという、ツッコミどころしかない行動をとってしまう。






「まぁ俺としては、"全員まとめて葬れてラッキー"ってところだけど。もうココに用はないから、メグミ殿に報告だけして牢獄へ向かおう」


 メグミ殿は、ダンジョンの運営費を稼ぐために「報復対象とその親族から、私財を奪う」と言っていたから……


 もぬけの殻となったココにも、喜んでモンスターを送りこみ一稼ぎするだろう。



 高級家具や食器が、探知を兼ねた手裏剣攻撃で破損してしまい、見た目は事故物件仕様になっているが……


 奴等が潜めるスペースのないポーション棚や、飾られていた宝杖等は無事なので、軽く漁るだけでもそれなりに旨みはあるはずだ。



「あれ? 書類が出しっぱなしになっている。辻褄合わせを試みた不正の証拠か? いや、これは……勇者召喚の限界について?」


 会議室と思われる部屋の高級机に、所狭しと資料が並べられており、俺に関係ありそうな記述があったため読んでみると……


 「リソースの関係で、同時期に勇者は多くて2人までしか存在できず、その状態で勇者召喚を試みても失敗する」と書かれていた。



「そういえば、メグミ殿もそんな事を言っていたな。教会は、次の勇者を擁立しないと信者からバッシングされてしまうので、僕等の命を狙ってくる……と」


 <恵のダンジョン>と<集金箱のダンジョン>に非人道的な嫌がらせが集中し、縁を切った俺にもハニトラ美女を送りつけてきたのは、それが原因か!



「あれ? この資料にだけ、メチャクチャ付箋が貼られている。内容は…………国一つを生贄とした、勇者枠増設計画だと!!!?」


 内容は"フィクション物語"を宗教チックにしたような、「信じる者はバカを見る」系のホラ話だが、アイツ等……まさかコレを本気で信じたのか?


 そしてスキャンダル砲や俺の襲来がなかったら、関係が悪い国を天災に見立てて生贄とし、"俺の代わり"を生み出そうとしていたと。






「<業>による縛りが緩すぎたかな。虐待が趣味の権力者がいる家へ、嫌われる要素しかないオプション付きの奴隷として、全員放り込むべきだった!」


 とはいえ……国一つが犠牲になるくらいなら、薄汚れた教会幹部の全滅など安いもんだし、「俺がケジメをつけた事」にも意味はあるのかな。



「ここにある資料は、教会関係者に見られちゃダメだ! 後任の幹部がまたロクでもねぇ企みをして、慎ましく暮らす民が犠牲になるかもしれない」


 この場で燃やすか?


 いや、内容の把握が不十分な状況だし……とりあえず持ち帰って、読み漁ったあとメグミ殿に譲渡しよう。



「本棚にある資料も、全部押収しておかないと危険だな。勇者関連の闇すぎる資料は、全て俺が持ち帰る!」


 やっぱり本当に悍ましいのは、メグミ殿のような魔王じゃなくて、自分達の都合のためなら無関係な人を平気で害せる、アイツ等みたいな人間だよ。



「フゥ〜。読むだけで気分が悪くなっちまった。牢獄へ始末をつけに行くのは、カップうどんを食べて気分転換してからにしよう」


 騒動の中心人物である俺が、敵地で呑気にうどんを食べるなんて、非常識なのは理解しているけど……


 この資料のせいで精神的にドカンと来てしまい、少し間を置かないと十分なパフォーマンスを発揮できないから、10分くらいの休憩は仕方ない。



 こんな事もあろうかと……お湯を入れて出来上がった状態で、時間経過のないアイテムボックスに入れておいた、カップ肉うどんが1個あるので……


 それの甘いダシでも啜って気分転換し、「隙のないコンディション」に戻したあと戦線復帰する。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 国一つ分生贄に捧げるのは魔王でもやらねーぞ!
[一言] マジでなぁ…私怨によるリンチテロが、逆に大量虐殺を未然に防いだ英雄ムーブになったじゃねぇか! どっちが魔王だよと、故•教会幹部に本気で言いたい。 そしていよいよクソビッチ共との再会。
[一言] 飛人道的ヨイ!
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