342話 コレだけは譲れない
〜マサルside〜
ぶっ殺モードに入った俺は、ラッター大司教・ノエル司祭長・ヘリップマン大司祭の首をはねた後も、立ち止まらず索敵を再開し……
「刺さると、傷口から肉体を腐らせる効果」を持たせた手裏剣を、風魔法をまとわせ貫通力を高めて四方八方へ投げる事で、(物理的に)敵を炙り出した。
「お前の来世は、そうだなぁ……激臭ワキガで皆から遠巻きにされる、粗チン奴隷に生まれ変わるって事で! 良かったなぁ、一応ギリ人間のままだぞ〜」
「なっ、ふざけんな! 教会の貴公子と讃えられ、ダンスパーティーでも絶えず声をかけられてきたこの俺が、そんな低スペックな下民プギャアァァ!!!?」
「心の醜さが表に出るだけじゃねぇか。それに他者を遠ざける属性だから、イジメられる心配も(ある意味)ないし、平和で良き」
まぁ脇が臭すぎて主人からも疎まれ、一生"肥溜め掃除"しか任されないかもしれないが……そこは「人生を賭けた運試し」って事でヨロシク。
「ん? メグミ殿からメールだ。なになに……報復活動お疲れさまです。窓から飛び降りようとしている幹部がいるから、捕獲した方がいいよ……ってマジか」
この「幹部専用エリア」は、マンションの5階に匹敵するくらい高所にあって、秘密通路から階段を降りない限り、安全には逃げられない造りなのに。
だけどよく考えると、<業>で縛られて「負け組確定の来世」を押し付けられるくらいなら、飛び降り自殺で今世から逃げた方がマシだ。
権力の座に執着している幹部連中が、潔く自殺するとは思えないけど……きっと死神(俺)の襲来に怯えて、パニックになっているのだろう。
「OK。ドロップアウトしたきゃ、すればいいさ。だが……自殺程度で、俺の報復から逃げられると思うなよ。腐食手裏剣・花乱舞!」
<−−− スパパパパパパパッ! −−−>
「「「ぎゃああぁぁぁ〜〜〜〜!!!?」」」
丁度よく"宿主"も確保できた事だし、飛び降りた幹部の魂はコイツ等の魂とガッチャンコして、まとめて<業>締めしてやるよ!
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〜魂遊び〜
条件を満たしたターゲットの魂を、同じ属性の他者に寄生させ、歪な魂を生み出すことができる。
ただし死にたてホヤホヤの魂にしか効果はなく、「似た者同士」の宿主にも一定の楔を打ち込まないと、発動条件を満たせないうえ……
闇に呑まれた者がこの能力を使うと、自身の魂も歪んでしまうので、使用難度は極めて高い。
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普通の人間は<魂遊び>なんてしないし、死にたてホヤホヤの魂に遭遇する機会も殆どないから、オリジナルの持ち主は「死にギフト」とか言ってたけど……
このエリアには「似た者同士」の醜い権力者が複数人いるし、俺は修羅に愛されていて「死にたてホヤホヤの魂」もよく見かけるから、充分"使える"よ。
「あの時はたしか、破産寸前だったギフト持ちの商人から、1000万ロルで登録許可を買ったんだったな。今思うと、安い買い物だった」
おかげで醜く足掻くクソ幹部を、"歪な存在"として来世へ送れるし、魂合体で発狂した幹部がいい見せしめになって、他の連中も脅せるもの。
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〜スキル図鑑〜
相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。
ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。
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「2人分の魂だから、<業>も慎重にかけないといけないな。お前の来世は、そうだなぁ……小柄で弱い粗チンのオークに転生だ!」
「…………!!!?」
オークは溢れんばかりの性欲を満たすために、同じオスであろうと強者が弱者を襲って欲を満たす、エグい種族特性があるのだが……
弱い個体とはいえ、オークの生命力は絶大。
人間の犠牲者と違って、何年経っても死ぬことすらできず……ヒエラルキー最底辺の扱いを数十年受けるのが、デフォルトである。
えっ、なぜ全員に「粗チンの呪い」まで付与するのかって?
そんなもん……ゴシップ紙の目立つ欄で色々バラされて、傷ついた俺の気持ちを、コイツ等にも味わわせなきゃ、やり切れねぇからに決まっているじゃん!
「器が小さい」と言われても、コレだけは譲れねぇ!
誰にだって「隠したいコンプレックス」はあるのに……それを容赦なく世間にバラした連中には、「相応の報いがあるべき」と思うんだ。
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






