341話 鬼畜風味のサポート
〜メグミside〜
降り注ぐ雨で姿を隠して都市<ガロパ>に侵入したマサルは、その後も<スキル図鑑>の能力をフル活用して、報復対象を追い詰めていった。
一見すると「ギフトチートに頼りきり」とも思える戦法だが、要所要所で遮音結界や反射結界を張り、侵入の発覚を遅らせたり……
類稀なる身体能力で休みなく動き回り、僕の体重より重そうな聖剣を扱ったりと、ギフト以外の部分も優れているからこそとれるやり方だ。
「しかし……<業>ってギフトの効果、エグすぎだろう! <恵のダンジョン>で、和解後のマサルを理不尽に扱わなくて良かった〜」
今回は偶然、監視カメラがある場所で、マサルが報復相手に色々喋っていたから、ギフトの詳細を知ることができたけど……
他にもこのレベルの隠し玉があるかもしれない訳で、「ある日突然、鬼畜じみた殺され方をせぬよう、誠意を持って接しなきゃいけない」と改めて感じたよ。
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〜業〜
ターゲットが自分より悪人であり、自分がその人から理不尽かつ甚大な被害を受けた場合、ターゲットを<業>で縛り、来世での序列を下げることができる。
ただしターゲットが自分より善い人だったり、第三者視点で見た被害度が足りないと、術者自身に<業>が降り注ぎ魂を焼かれる。
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なお……このギフトで縛られたゴシップ雑誌出版社の編集長は、「イジメられそうな不器用ゴブリン」に転生する事が決まったし……
長年"権力の座"についていたクソ幹部3人も、「醜い容姿で鈍臭い粗チン」という条件付きで、差別されやすい獣人奴隷として生まれ変わるハメになった。
個人的に、「"粗チン"って条件は要らないんじゃ?」とも思ったけど、マサルはスキャンダル砲を浴びたとき、ついでに真実をバラされていたし……
そういう特徴を持つ人ならではの、恨みがあるのかもしれない。
マサルの無双っぷりは凄いけど、コチラも彼をサポートするために、要所に「霊を取り憑かせたスパイ」を配置して、街門や伝達網を機能不全にしたり……
教会幹部が使いそうな秘密通路を、軒並み<セレクト自販機>で買ったコンクリートで埋めて通行不可能にしたりと、小細工の限りを尽くした。
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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工務店のカタログには何種類ものコンクリートが載っており、その場で簡単に作れるコンクリートもあったから……
待機中のモンスター達にコッソリ作業してもらって、教会幹部が使いそうな秘密地下通路を"出口に近い場所で塞ぐ"という、嫌がらせを発動!
秘密地下通路なんて非常時しか使わないから、ほぼチェックされないし……幹部しか知らない場所ゆえ、警備兵の監視対象からも外れている。
おまけに"出口に近い場所"を塞げば、教会の敷地外ゆえ作業音を響かせても平気だし、幹部連中が「塞がれている」事実に気づくまでの時間稼ぎも可能。
さらに言えば、年寄りかつ運動不足で体力のない幹部連中を、ジメジメした地下通路で往復マラソンさせる事ができるので……
バレない程度に、床にスライムジェルを塗って滑りやすくしておけば、奴等はほぼ確実に転んで尻餅をつき勝手に追い込まれてくれる。
そんなイタズラ心あふれたサポートを行いつつ、僕等はマサルにも伝えたとおり、彼が大暴れしている間に、隙だらけのお屋敷でコソ泥稼業を開始。
あらかじめスパイを忍ばせて、現場班がバレずに侵入できるよう、最低限の準備はしておいたんだけど……
幹部達が保身のために部下を総動員して動き回ったため、そんな事しなくても警備はガラガラであり、棚ボタとはいえ「仕込んだ甲斐がない」と凹むハメに。
でも幹部連中の家族・親戚も、都市<ガロパ>から逃げるために屋敷を出ていて、マジで空き家同然だったから……
本当に仕事がやり易く、モンスター達も大喜びで働いているよ。
彼等には成果報酬として、「大箱一つにつき500ロル分の自販機購入権」をあげる約束をしているため……
少しでも沢山ご褒美をゲットするために、抜群のチームワークでコソ泥稼業に勤しみ、次々と「大箱埋まりました」とメールしてくる。
<−−− ピロリロリン♪ −−−>
「おぉ、また埋まったのか」
そして僕は、<恵のダンジョン>内で彼等の要請を受け次第、<遠隔商談>ギフトで荷物を受け取るだけ。
受け取った荷物は、ウチで待機しているゴーレム達が(不審物チェックも兼ねて)処理してくれるから、実質輸送業者だ。
読んでくださり、ありがとうございます!
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






