表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

340/937

340話 元勇者、鬼になる!


〜マサルside〜




 ジンと別れた後、俺は<裁きの聖剣>を片手に建物の中を進み、幹部連中が隠れたと思われるエリアへたどり着いた。


 勇者相応の探知能力をもつ俺が、なぜ奴等の居場所を断定できないかだが……教会幹部って、収入と家柄だけは超一流だからな。


 代々貯めこんだ資産を使って揃えた、隠遁系の護身用魔道具が高品質すぎて、これだけ近くにいてもなお正確な居場所を把握できないんだよ。



 もっとも……隠れるのが上手いだけで、本体が其処にいる事実は変わらないから、炙り出すやり方はある。


 例えば、こんな感じで……



「腐食手裏剣・花乱舞!」


<−−− スパパパパパパパッ! −−−>


「「「ぎゃああぁぁぁ〜〜〜〜!!!? 痛いっ、痛いぃ〜〜っ!!」」」



 腐食液を塗って、「刺さると、傷口から肉体を腐らせる効果」を持たせた手裏剣を、風魔法をまとわせ貫通力を高めて四方八方へ投げればいいだけ。


 ここは幹部しか入れないエリアだから、無関係なスタッフに被弾する可能性もゼロだし、心置きなくクズ狩りできるよ。



「ラッター大司教・ノエル司祭長・ヘリップマン大司祭、発見! どうだ? 生きながらにして、肉体を蝕まれる感覚は。結構キツイだろ?」


 60超えの爺さんが、ガキのかくれんぼみたいに、クローゼットの中に潜んでいたのには驚いたが……3人セットで見つけられてラッキー。


 たぶん魔道具の数が足りなくて、各自の所有物を持ちより重ねがけする事で効果を高めていたんだろうけど、その方針がアダになったな。






「こっ、この……裏切り者がぁ!!!! 貴様さえ不審な動きをしなければ、誰一人苦しむ事なく暮らしていけたのに! 貴様は、悪魔の化身だ!」


「神は決して貴様を赦さぬぞ! 必ず天罰がくだり、我等を謀った罪を裁いてくださるだろう」


「そもそも神様も神様だ。なぜ数多いる異世界人の中で、このようなゴミを勇者として喚び出したのか! お願いですから責任をとってください!」



 追い詰められた時こそ、その人の本性が分かるというが、コレは酷い……1ミリも自分を省みず、他力本願なうえ、剣を向けられてもなお俺を下に見ている。


 挙げ句の果てには、信仰している神にまで責任追及を始めたぞ。


 神様だって、お前等みたいな汚職者に仕えられて不満タラタラだろうよ。



「まず、裏切るもなにも……おれは無理やり勇者召喚されて、なし崩し的に勇者となり教会に所属しただけで、自分の意思で入信なんざしてねぇ」


「なにっ!?」



「それに神が赦さないのは、民に寄付金を求めながら汚職の限りを尽くし、聖職者にあるまじき穢らわしい心を持った、お前等の方だと思うぞ?」


「くぅ……っ!」



「つーか"畏れ多い存在"って布教している神様に、くだらねぇ追及してんじゃねぇよ! 神様は、政治家でもお前等の便利ロボットでもねぇっての」


「むぅ……」






 とりあえずコイツ等は、死ぬ前に一度深く反省する必要があると思うので、<業>ギフトで来世の序列を下げることにした。


 権威の誇示と保身に一生懸命なコイツ等にとっては、それが一番の罰になるからだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


カルマ


ターゲットが自分より悪人であり、自分がその人から理不尽かつ甚大な被害を受けた場合、ターゲットを<業>で縛り、来世での序列を下げることができる。


ただしターゲットが自分より善い人だったり、第三者視点で見た被害度が足りないと、術者自身に<業>が降り注ぎ魂を焼かれる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「お前等の来世は、そうだなぁ……教会が"半人"として蔑んでいる、獣人の奴隷として生まれてもらう。あぁ、"醜い容姿で鈍臭い粗チン"って特性付きで!」


「「「…………!?」」」



 言葉だけなら、「戯言」と断じて余裕ぶっていられたかもしれないが、眼に見える鎖が降ってきて、己の胸元に吸い込まれる様を見たら、何も言えない。


 その"神聖な儀式"っぽい発動モーションを見て、やっと「取り返しがつかない枷を背負った」と理解した奴等は……


 ピーチクパーチクよく動く口を閉ざして、青ざめた顔で震えたうえ、3人揃って腰を抜かした挙句、チョロチョロと黄色い水たまりを作りやがった。






「はい、チーズ!」


<−−− パシャリ! −−−>



「教会幹部が揃ってお漏らし!? 悪行を極めし者の末路とは! って感じで、写真付きのゴシップ紙をばら撒いてもらおっと♪ 売れるといいなぁ〜」


 その際、多少話を盛っちまうかもしれないが……それはお互い様だし、「死人に口なし」ってことでOKだろう。



「なぜっ? 貴様にそんな能力はなかったはずっ!」


「そりゃあ俺だって、急に喚び出された場所で警戒していたし、アンタ等が鑑定する前に"一番重要そうなギフト"は<偽装>したもん。当然じゃん」


「「「…………」」」



 放心するのは勝手だけど、「ジジィ3人が呆然とする姿」に俺の時間を奪うだけの価値はないから、そろそろ処分していいよな?


 小便臭い遺体は持ち帰りたくないから、<裁きの聖剣>でダルマにしたあと首もチョンパして、小便に浸かっていない首だけ"証拠として"持ち帰るか。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ