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338話 パーティーメンバーとの再会


〜マサルside〜




 <裁きの聖剣>で利き腕と鼻・唇を斬られて、おぞましい顔でうめく騎士団長に、見覚えのある取り巻きが慌てて駆け寄りポーションを振りかけるが……


 当然、傷は1ミリたりとも治らない。



 自然治癒力を使えば治せるから、今回の場合、外科手術で切断面を縫合して抗生剤でも飲んでおけば、一応"血は出ない状態"になるだろうけど……


 傷が塞がっても痛みが癒えることはなく、己の罪を悔い改め真人間にならない限り完治させることはできないので、ぶっちゃけほぼ人生終わりだ。



 さっき殺した編集長と違って、コイツは来世まで"裁き"を持ち越さずに済むので、一番現実的な救済方法は、今すぐ首を刎ねて殺してやることだろう。


『あの剣、元勇者<マサル>が持っているあの剣が原因だ! あの剣で斬られた傷は、メチャクチャ難解な条件をクリアしない限り治せなくなる!!』



 ポーションで治せない傷を不審に思った鑑定士が、騎士団長の傷口を調べて、鑑定結果を大声で喋ってしまったので……


 騎士団長が怨みを持つ者達にサクッと殺されて、最善の方法で苦難から逃れる道は絶たれたかもしれないけど。






「聞いたとおりだ。お前達に恨みはないが、俺の進路を妨害するなら、コイツと同じように"手か足を1本"いただく。それが嫌なら10秒以内に消えろ」


 軽く脅してカウントダウンを始めると、待遇の悪い末端兵から波をうったように逃げ出し、取り巻き以外は5秒で俺の視界から外れた。



 そして"1本"飛ばしてまで、責任を取らされて降格される可能性が極めて高い騎士団長に、付いていきたいと思う取り巻きもいなかったようで……


 往生際悪く数秒ためらったものの、取り巻きA・B・C・D・Eはネズミのようにそそくさとその場を去り、俺の視界には「血まみれの騎士団長」だけが残される。



「3……2‥‥1‥‥0。はいアウト。お前、"もう1本"カットね」


 この重傷で足まで斬ると、逃げ切れずに今夜どこかで死んでしまい、苦痛が短期間で終わるかもしれないので、2本目の腕をいただく。



<−−− スパンッ! −−−>


「ギャアァァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」



 さすがに3本目は可哀想だし、いつまでもコイツに構っていて本命に逃げられたら元も子もないので、コイツへのケジメはこれで終了!


 止血してくれる部下すらいなくなり、このままだと早々に失血死してしまうから、「情けの簡易止血(傷口を炭化するまで焼く)」をほどこして前へ進む!






 その後も、逃げた兵士達から俺の噂を聞いたのか、俺の姿を見かけた者は皆腰を抜かし、泣きながら這ってその場を離れていった。


 さすがに無関係の一般スタッフまで斬る気はないから、大抵は見逃すが……


 色々と悪どい証拠が上がっている奴と遭遇したときは、二度と悪さができぬよう、遠慮なく利き手を肘から飛ばしたよ。



 そして、(奴等にとっては)恐怖の鬼ごっこが始まって数十分……奥にいた幹部共は、部屋の隠し扉から地下道を通って逃げようとして、失敗し……


 部下を盾にして時間を稼いだうえで、「見つかったら終わり」のかくれんぼを始めたっぽい。



 隠し扉から外へ続く道はメグミ殿にバレていたらしく、気配が外へ出ていきそうで俺が焦ったとき、彼からメールで「封鎖済みだから大丈夫」と連絡がきた。


 高ランクモンスターを数体配置したのか、コッソリ土で埋めたのか、詳細は分からないけど……


 元勇者である俺が暴れている場所へ、戻って来ざるを得ない状況って事は、鉄壁のガードを敷いてくれたということだろう。






<−−− スパンッ! スパンッ! スパンッ! −−−>


「「「ギャアァァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」」」



 おかげで時間を気にせず進めるわけだが……スキャンダル砲を見て、「自分の不正も暴かれるかも」と焦った連中が、軒並み教会に詰めており……


 部下に嫌われて"俺の居場所"を教えてもらえないため、不注意で鉢合わせては"1本"飛ばされ、不運な奴は2本目もサヨナラしている。



 俺は普通に、幹部連中が"かくれんぼ"している場所を目指して、歩いているだけなのに……


 なぜ教会の外へ出て難を逃れず、建物の中で逃げ惑い自ら手足を献上しに来るのか、不思議で仕方ないよ。



「まぁ俺としては、教会の風通しが良くなって公共の利益に繋がりそうだから構わないけどね。ところで……お前も手足を飛ばされにきたのか? ジン」


 ジンは、俺が勇者をやっていた頃のパーティーメンバーで、教会から派遣された修道士兼お目付役として、女性陣からも疎まれていたオッサンだ。



 言葉では脅したものの、ジンは融通がきかず「仲間の意見<<教会の意向」な野郎だっただけで、特に不正に加担した痕跡もないし……


 女性陣の"ハブり"を黙認しておいてなんだが、別に悪い奴じゃなかったと思っている。


 ただ当時は、ハーレムパーティーに一人だけ混ざっている場違いなオッサンを、心底「邪魔。空気読めよ」とウザがっていた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 逃げ惑う標的達。 クソビッチ共みたいに認識阻害の魔法でもかけられてるのかな? マサルが懸念してるように窓とかから外に逃げればいいのに建物内に留まってる辺り。 もちろん、モンスターで物理…
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