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334話 詰めの準備


〜メグミside〜




 スキャンダル砲を受けて、大慌てで事態収束を図る教会幹部の様子を、オートマタ達とモニター越しに眺めていると……


 マサルから、「雨乞いの儀式成功」と「進行再開」の報告がきた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


3度目の雨乞いが終わって<雨の巫女>の条件を満たせたので、予定どおり都市<ガロパ>への進行を再開します!


ガロパは、前も見えない程の豪雨に包まれるでしょうから、メグミ殿の配下にも「気をつけて」とお伝えください。


俺はガロパ近郊の森でレッサードラゴンから降りて、そこから走って現場へ向かい、一般市民が寝静まるタイミングを狙って正面突破を狙います。


地上に降りたらまた連絡しますので、互いに最善を尽くせるよう尽力しましょう!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 余程"隠密性が強い"ギフトなのか、<雨の巫女>の発動条件はほとんど教えてもらえなかったけど、マサルが「成功」というのだから上手くいったのだろう。


 メールを交わすなかで「巫女?」と問うたとき、なぜか半日ほど返信が途絶えてしまい焦ったが、「他者に隠さなきゃいけない」的な条件でもあるのかな?






 不思議に思ったものの、マサルが言いたくない話をほじくり返す訳にもいかないので、その疑問は心のゴミ箱へ捨てて……


 "夜間活動"をおこなう手筈となっている、現場班のバックアップ作業に移る。



「マスター、印刷屋に急ぎで頼んだ増刷分が届きました。ダメ元ですが、事件当日と近い日にハッチャケると、疑われるリスクが上がるって忠告もしましたよ」


「ありがとう。急に大金を持った人間がハッチャケちゃうのは仕方ないし、そういうリスクも込みの依頼料だから、忠告したならそれ以降は彼らの責任だよ」


「ですね」



 機械系のモンスターゆえ、理性で物事を考える傾向がある執事君も、"様々な人間"の言動をデータとして蓄積したことで、彼等の気持ちが理解できるように。


 あくまでも"理解できる"だけであって、本人の言動は現在も理性100%なのだが、感情を解する心が備わると僕の仕事を代わってもらいやすくなるので……


 なぜか防衛優先タイプなのに年中戦っている、僕にとってはありがたい。



「サーシャ様。お疲れでしたら遠慮なく我等に仕事を任せて、お休みになってくださいね。ダンジョン運営は難しいですが、善処いたしますので」


「うっ、うん。ありがとう。執事君は優しいね〜」



 色んなことを任せた結果、自主性が育ち過ぎてしまい……僕の代わりにサーシャがやってくれている、「オアシスフロア住民のお悩み相談」みたいな……


 理論武装でぶちのめすとマズイ仕事にも興味を示すから、「まだまだ幼い」とも思うけど。






「え〜っと……指輪の入れ物と宝石の梱包材は、とりあえずコレでいいよね? マジックアイテムチェッカーも、各チームに一つずつ渡して……」


 富裕層の邸宅へ泥棒に入る際、一番気をつけなきゃいけないのは、間違えて「位置を特定できるアイテム」を拠点に持ち帰らないこと!



 もし万一にもコレを持ち帰り、誰が盗んだかモロバレになってしまうと……


 アイテムの経由地から敵に隠れ家を知られたり、他の罪も擦りつけられスケープゴートにされてしまうため、決定的証拠をつかませる訳にはいかないのだ。



 金持ちというのは、「自分の資産が奪われること」を最も恐れており、防犯目的で"この類のアイテム"を貴金属に紛れ込ませたりもするので……


 ただ闇雲に屋敷内を漁り「宝石ヒャッホイ!」していると、僕みたいに防衛戦力を持たない一般人は、数日後にはボロ雑巾のような姿で処刑される。



 それゆえ現場班には、各チーム1個ずつマジックアイテムチェッカーを渡して、こういう物を取り除いてから火事場泥棒してもらう。


 ぶっちゃけこの過程をサボったところで、財産を奪われる予定の教会幹部は、マサルに殺されて今夜にはこの世を旅立つので、バレない可能性も高いけど……


 遺された家族や親戚が、我が身可愛さで調査を進める可能性だってあるから、マサルの足を引っ張らぬためにも、丁寧に奪う必要がある。






 また屋敷によっては、指輪や宝石を「固定された宝石棚」に飾ってある場合もあるので、傷付けずに持ち出すための梱包材だって必須!


 現場には、指輪・ブレスレット・ネックレス等のアクセサリーを、ササッと入れてガッチリ守れる専用の箱や、宝石と擦れても大丈夫なコットンを送ったよ。



 特徴的な宝石や貴金属は、直接売ると足がつくので売り捌けないけど、僕の場合ダンジョンポイントに換えれば、ノーリスクで"実質"現金化できるし……


 盗品である事が発覚して問題になることもないため、現場班には「最優先で奪ってほしい品」と伝えてある。



 そして現金が入った小袋。


 富裕層はこういう所にも、「位置を特定できるアイテム」を仕込んでいたりするし、用心深い奴だと袋に縫い込んである場合もあるので……


 ウッカリ袋ごと持ち帰らぬよう、回収用のお財布はコチラで用意しなければならない。



 一言で「火事場泥棒する」と言っても、意外と大変なのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 火事場泥棒って大抵衝動的なもんなんだけどな…
[一言] そして痕跡の消し方が上手すぎて逆に誰の仕業か特定されると。 ある意味犯人特定自体は今さらの話だけど、外で活動してる部下達が使う中継拠点もあるだろうから、そっちの安全確保に関しちゃ確かに大事な…
[一言] 他の魔王がメグミやサーシャの火事場泥棒作戦を安易にマネしようとして失敗する様子も見たくなってきた。
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