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328話 ボロ壁マジック


〜メグミside〜




 マサルからの連絡を受けた僕は、アイツが特攻する前に教会幹部を地獄へ叩き落すべく、仕込みの最終段階に入った。


 まずサーシャの件で調査バレする可能性を防ぐために、一旦退避させたモンスター達を、"とある仕掛け"を使って街中へ戻す。



 すでにあの件の見回り調査は終えており、ゴシップの餌食となった権力者達も無事失脚したので、今ならモンスターを戻しても問題ない。


 せいぜい権力者が住む高級住宅街に、強固な結界が追加された程度なので、平民・貧民区画にいる分には、悪目立ちしない限り大丈夫だ。



「くっ、くっ、くっ……! まさかお偉いさんも、街壁の一部がモンスター化しているなんて思うまい。仕込みは面倒だったけど、手間をかけた甲斐があったよ」


 実は、僕がドッペルゲンガーとオートマタを潜伏させている各街の壁には、貧民区画の一部に穴が空いており、そこに「壁型のモンスター」が挟まっている。



 正確には、丁度いいサイズの壁に「実体のないアンデッドモンスター」を憑依させ、上位のアンデッドを介して意思疎通しているのだが……


 パッと見は本当にただの壁だし、いくら調査といっても、コレを見抜けるレベルのエリート聖職者は貧民区にやってこないため、バレることなく現在に至る。



「マスター。"例の壁"から現場班が侵入し、全員"配置"につきました。いつでも仕掛けられます」


「了解! マサルが特攻する前日にゴシップ爆弾を投下するから、そのつもりで準備させておいてくれ。コソ泥三昧は、マサルが暴れている裏でおこなう」


「かしこまりました。貴族街には監視の目があるので入れませんが、平民・貧民区画で"ゴシップ紙を配達する準備"を進めさせます」






 今回のゴシップ爆撃は、サーシャが報復したときの反省点を活かして、あらかじめ「壁に貼るスキャンダルポスター」の裏に両面テープを仕込み……


 現場で手早く貼れるよう工夫してあるし、当日は「幽霊系モンスター」も数百体お手伝いしてくれる予定だから、さらに華々しく打ち上げられるだろう。



 そして教会幹部が、自身のスキャンダル対応でてんやわんやとなり、セキュリティーへ気を回せなくなった隙に、マサルが正面から特攻する。


 なぜ「出入り自由の穴」が街壁に開いているのに、マサルをそこから侵入させないかというと、単純に「アイツの存在はクソ目立つ」から。



 こういう方法は、誰の目も届かないところでヒッソリやるから成立するんであって、一度でも注目を浴びるとガチガチに警戒されてしまう。


 もしそうなると、僕等は今後どの街へも自由に出入りできなくなり、活動に大きな支障が出るので……


 ヒーローにはヒーローらしく、正面から正々堂々と入ってもらう方が好都合なんだよ。



 もちろん最悪の場合は、目立たぬよう配慮したうえで、マサルを"街壁の穴"から逃す可能性もあるけど……


 そのような事態になったら、「二度とこの作戦は使えない」と諦めるしかなくなるだろう。



「マスター、昨日印刷所から届いた分のゴシップ紙です。明らかに不相応な代金を払っていますが、宜しかったのですか?」


「うん。口止め料と危険手当込みの報酬だから、あの金額で大丈夫。喜んでいたかい?」



「はい。火が出そうなほど激しく"揉み手"し、印刷機が壊れるまで刷り続けますんで今後ともご贔屓に……と述べていたそうです」


「くくくっ。なら良かった。金さえ出せば協力してくれる、貴重な人材だ。繋がりを失わぬよう、礼を尽くしてくれ」


「かしこまりました」






 依頼した当初こそ怯えていたものの、「黄金色に輝く菓子」を見せるやいなや速攻で乗り気になり、24時間体制でゴシップ紙を刷ってくれた印刷屋は……


 渡されたのが裏金ゆえ、税金を納める必要もないと気付き、さらに上機嫌になったそうだ。



 もし僕等との繋がりがバレたら、即刻"裏切り者"として酷い殺され方をするので、自重するよう伝えてはもらったが……


 スタッフ全員が、口止め料として年収以上の金をもらい、脳内麻薬ドバドバの状態だから、しばらくはドンチャン騒ぎするだろう。



「メグミ君、お疲れさま〜。ゴシップ投下の仕込みは順調?」


「うん。今は、今日納品された分のゴシップ紙を、"ユアンのギフト"で現場班へ送っているところ」



 紙はかさ張るから、そのまま持ち込むのは自殺行為だけど……僕には以前ユアンから奪った<遠隔商談>ギフトがあるので、それを使って届ければ楽ちん。


 現場班にも、あらかじめ「マジックバッグ機能が付いたリュック」を複数個持たせているため、彼等も当日までの保管には困らないだろう。



「そっか。当日は私が<恵のダンジョン>の通常業務もやるから、メグミ君は報復に注力してね♪」


「ありがとう! ただでさえ薄い教会幹部の頭髪が、ストレスで綺麗さっぱりハゲあがる程、強烈な一発をくれてやるよ」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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