表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

325/938

325話 懐かしのアレ


〜勇者<マサル>side〜




 夜もふけ皆が寝静まる頃、メグミ殿に別れを告げて<恵のダンジョン>を抜けた俺は、音を立てぬよう忍び足で走り続け……


 10km程進んだ辺りで飛行系モンスターを召喚して、教会本部がある都市<ガロパ>まで、俺を乗せて運ぶよう命じた。



 <−−− ヒュ〜〜〜〜〜〜〜 −−−>


 夜の砂漠というのは、灯り一つない暗闇で静寂に包まれているため、風魔法で体を包むように膜を張り、寒さから身を守れば快適に移動できる。



 夜の砂漠とハッカ油を組み合わせたり、俺の命を狙うモンスターの迎撃も考えなければならない、<恵のダンジョン>攻略と違って……


 今進んでいるのは"普通の砂漠"なので、そこまで心身のキャパを削ることなく、風魔法一つで対処可能なのだ。



「つっても寒いから、全身カイロ装着だけどな。あぁ〜、ありがてぇ。懐かしい日本語で、アピールポイントや使い方が書かれたカイロ。まさか買えるとは!」


 メグミ殿から「欲しい物があるなら遠慮なく言え」と、優しい言葉をかけていただいたので、俺はお言葉に甘えて"懐かしの日本製品"を注文したのだが……



 その殆どが、「何それ?」と言われる事もなく翌朝届いたので、本当に驚いたよ。


 中でも「貼るタイプのカイロ」は、安くて持ち運びやすく機能性も充実しているので、下手にギフト玉を盛るよりコレで済ませる方が楽だと思う。






「マサル。コノシロイノ、アタタカイナ。ヤカレテイルワケデモナイノニ、アタタカクテ、ヘンナカンジダ。キニイッタ」


「くくくっ。文明の利器ってやつさ。朝まで保つはずだけど、それでも寒いなら遠慮なく言うんだぞ! 無理はすんな」


「ワカッテル」



 運搬役として今回喚び出したレッサードラゴンは、人間を乗せて飛べる体力こそあるものの、極端な暑さ・寒さに弱いモンスター。


 そのため<恵のダンジョン>の極寒地獄では運んでもらえなかったが、この程度の気温なら「風の膜&カイロ」で体調を保て、元気に活動できる。


 つっても……徹夜で強行すると寝不足で俺の脳が死ぬし、昼間は部外者に見つかる危険性も上がるため、夜間限定コースで行くが。



「あっ! 南東の方角26kmに、野宿している"ポイ捨て部隊"を発見。"行きし"だな……。迂回するぞ!」


「リョウカイ」



 赤子ポイ捨てでサーシャ殿に"ヤキ"を入れられて、多少は懲りたと思ったのだが……


 「ソレとコレとは別」と言わんばかりに、<恵のダンジョン>への疫病患者ポイ捨て活動は続行されており、時々そういう部隊を見つけてしまう。



 <恵のダンジョン>にたどり着いた疫病患者は、適切な治療を受けたあと、<オアシスフロア>と同等の新フロアで幸せに暮らせるので……


 そのまま捨てられる方が彼等の為だと思って、「"行きし"の部隊」はスルーするけど、帰還する運搬兵を見つけた時は、上空から徹底的に焼き払っているよ。


 上司の指示とはいえ、明白な悪事に加担した輩を見逃す気はないし、メグミ殿も対応できるときは、配下のモンスターに食い殺させているからな。



 たぶんポイ捨て部隊の数が多過ぎて、処理できなかった運搬兵が帰路につき、俺の探索網に引っかかるのだろうけど……


 それでも既に三度誅殺したし、全てを処理している<恵のダンジョン>の負担は、相当だと思う。






「ん……空が明るくなってきたな。今日はもう降りよう。運んでくれてサンキュー!」


「ワカッタ。マサル。ヨブトキハ、マタ、シロイヤツヲハレ」



「くくくっ、安心しろ。カイロの予備は5箱分用意してあるし、幾らでも貼ってやる!」


「サスガダ」



 なぜかカイロを気に入ったレッサードラゴンの召喚を解除して、近場の岩陰に隠れた俺は、魔道具のテントを張って身を隠し……


 その中でカップラーメンの封を開いて、魔法瓶から湯を注ぎ、ズルズルとカレー味の麺をすすった。



「うめぇ〜! やっぱり、カップラーメンは最高だ! 身体に悪いと理解していても、止められない止まらない〜♪」


 他にも、<恵のダンジョン>で買い込んだ懐かしの日本飯は、俺の心に潤いを与えてくれ……


 そのお陰か、命懸けの報復作戦を敢行しようとしているのに、恐怖や焦燥感によるメンタルの消耗はまるで無い。



「…………。もう一つ食ってもいいよな? うん。今は非常時だし、このシーフード味も食っちまおう!」


 難点があるとすれば、自分への言い訳で食事量が爆上がりしてしまい、しかもカップラーメンばかりなので、カロリー爆撃がエグいことか。



 とはいえ……俺は勇者として鍛えているから、腹回りに脂肪がついて三段腹になったりしないし、動いて消費すれば大丈夫だろう。


 最悪ヤバくなっても、野菜系の惣菜も<恵のダンジョン>で仕入れてきたので、それを食って体調改善すればいいだけだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>カップラーメンばかりなので、カロリー爆撃がエグいことか。 カップ麺が健康に悪いのは塩分量のほうの問題で 標準の食事の摂取カロリーで言えばご飯一杯分程度ですよ スープの種類によっては高カロリーのものも…
[一言] 260話で、マサルは簡易テントを使ってる 魔道具のテントは、別に持っていたのか、新たに買ったのか、どっちかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ