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324話 マサルの旅立ち




 80期誕生の件で魔王界は多少ゴタついたものの、勇者の話題に比べると先輩魔王の関心は薄く、十数名が意見を出し合って「暗黙のルール」が決まった。


 そのルールも突飛なものではなく、「もし80期が情報を教会側へ流したらリンチ」とか、「80期の情報漏洩で餌食になった魔王は助ける」みたいな……


 80期が見習い期間を終えて合流した直後に、起こりそうなトラブルに対して、あらかじめモメぬよう方針を決めた程度にとどまっている。



「まぁ彼等の関心は、"僕や停戦協定を結んだマサルがどう動くか"に向いているからなぁ〜。その結果次第で80期への対応も変わるし、今決めるのは無理か」


 すでにサーシャが行った報復は、経緯や被害状況まで皆が知るところとなり……


 マサルとの戦いで消耗した<恵のダンジョン>も、着実にダンジョンポイントを稼いで、最盛期のランキング順位まで戻している。



 また80期誕生の情報収集を、抜かりなく行っていたこともバレた以上、多くの魔王は「本格的な報復まで秒読み状態」と認識しているだろう。


 そして彼等の読みは合っており、<ガロパ>の街にある教会本部へ攻めこむ算段のマサルは、すでに<スキル図鑑>の使用を終えて回復待ち。


 僕も教会幹部のスキャンダルネタを山程抱え、いつでも爆弾投下できる状況だ。



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〜スキル図鑑〜


相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。


ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 それにマサルが攻めこむ時は、僕だってスパイ戦術とユアンから奪った<遠隔商談>ギフトを駆使して色々やるから、アイツも想定より苦労しないはず。


 なぜか結界が脆くなっていたり、堅牢なはずの門の鍵が空いていたりと、予想外のラッキーが積み重なって、快適にTUEEEできるんじゃないかな?



「マスター。マサル殿から連絡がありました。心身のリフレッシュが済み貧血も治ったので、今夜<恵のダンジョン>を発つとのこと」


「そうか。夜に動くほうが居場所を特定されにくいし、寒さ対策さえできていれば、灼熱砂漠を歩くより楽だもんね」



「はい。出発後は、昼間休んで夜動き、街へ立ち寄ることなく目的地へ向かうとのこと。スピーディーに動くので、その活動時間でも5日で到着するそうです」


「了解! マサルには、"コチラもタイミングを合わせて動くから、決行予定日の3日前からメールで連絡をとりたい"と伝えてくれ」


「かしこまりました」



 マサルが動くとなると、僕も本格的に「報復の仕込み」を始めないといけないな。


 ドッペルゲンガーやオートマタを目標地点に配置させて、金で懐柔してあるゴシップ系の出版社に、コッソリとスキャンダル満載のブツを刷らせる。


 多少抵抗はするだろうが、チクろうにも既に賄賂を受け取った後なので同罪だし、「頒布はコチラでやる」と言って匿名性を守ってやれば働くだろう。



 というか……サーシャが"赤子ポイ捨て"の報復で、関係者達のスキャンダルをばら撒いたとき、奴等は嫌がりつつも金貨一袋で堕ちたので……


 今回も「黄金のお菓子」を食わせてやれば、目の色を変えて印刷機を稼働させるはずだ!






 執事君経由で現場班へ指示を出し、バタバタと報復活動の準備をしていると……アッという間に、マサルが旅立つ時間となった。


『メグミ殿。短い間でしたが、本当にお世話になりました。あとダンジョンの備品を壊しちまって、マジですみません』


 直接会うのはリスキーなので、最初から最後までマサルとはモニター越しの付き合いだったが、それに憤慨する事もなく律儀な奴だ。



「備品の件は気にするな。あの映像を見れば誰だって怒るし、マサル殿の腕力が規格外なせいで、イスや机が耐えきれなかっただけだ。すでに弁済も受けたしな」


『そう言ってもらえると助かります。充電器も持ったしちゃんとメールするんで、また"報復するとき"よろしくお願いします! あと……』



 ん、どうかしたのか?


『ケジメをつけ終えたら、また<恵のダンジョン>に戻ってきていいっスかね? 冷静に考えて俺、他に住める場所無いんで』


「勿論だとも。マサル殿の家は自動清掃される機能付きゆえ、いつ帰ってきても快適に過ごせるぞ。もちろん、見聞を広めたいなら旅に出てもいいがな」



『ありがとうございます! マジでお世話になりました!!』


 神殿のモニター越しに別れを告げたマサルは、溢れんばかりの闘志を抑え、宵闇に身を隠して出ていった。



 <恵のダンジョン>周辺は、監視の目こそないもののギフト持ちの監視圏に入っている可能性があるので、少し離れてから空を飛ぶつもりなのだろう。


 決して"背中を預けられる間柄"じゃなかったけど、いざ去られると寂しいな。


 まぁいいさ、報復戦が終わったら再び帰ってくるのだから。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] いつも面白く楽しませて貰ってます この感想で作者のモチベが1でも増えていただけたら嬉しいです 作者さんがんばれ♡がんばれ♡作者さん(のお話)大好き♡がんばれ♡ え?作者より下半身に不自由し…
[気になる点] マサルの元パーティーメンバー。 特にクソビッチ共をマサルが本当に殺れるのか。 何だかんだで情深いからなぁ…マサル。 性病でボロボロの奴等を哀れに感じて見逃す可能性も十分あると思う。 …
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