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303話 内政と外政




 サーシャの指摘を受けて、取りやめていた塩・コショウ等の販売を再開したところ、予想以上にオアシスフロアの住民達は色めき立ち……


 なけなしの銭を叩いて、当面のあいだ必要な量の塩を注文した。



 (この世界では)塩以上に高級品であり、食べなくても死なないコショウは、塩に比べると売れるスピードも緩やかだけど、それでも愛好家は結構いて……


 特に「肉を食べるのが大好きな男性陣」が、奥さんにジト目で睨まれつつ、小遣いをチャリンチャリンと宝箱に入れ、大事そうに購入していくよ。



「執事君。受注対応は大変そう? コストパフォーマンスは合っているかな?」


「大丈夫ですよ。暇を持て余している高知能なモンスターは多いですし、彼等が"ご褒美の唐揚げ"目当てにやってくれますから」


「そうか。("報酬=唐揚げ"って、なんかブラック労働で搾取している気分になるけど、本人達が満足なら問題ないよね)」



 執事君の涼しい表情を見る限り、本当に余裕がありそうなだし……このやり方が定着したら、他の物資も受注販売しようかな?


 靴や歯ブラシ等の生活必需品は、住民全員が買おうと思えば買えるように、原価ギリギリの値段で。


 逆に、美容液や鮮魚等"なくても困らないもの"は、福利厚生を考えつつも多少利益を乗せて値付けすれば良い。






 そして<オアシスフロア>の住民が行商できない現在、彼等と同じ物を同額で仕入れられる僕は、彼等と競合して恨まれることなく商いできるので……


 ユアンから奪った<遠隔商談>ギフトを使い、各都市に潜伏するドッペルゲンガー達に、塩の販売を依頼。



 自販機で一番安く売っている塩は、この世界の塩と違ってキレイに精製されており、普通に売ると怪しまれるので……


 あえて少しお高めの岩塩ブロックを選び、それを身分確認をされない程度に売る感じで、バサバサ捌いてもらった。



「"ドッペルゲンガー×塩の密売"の相性、メチャクチャ良いですね! 岩塩の質とドッペルゲンガーの容姿を変えれば、1日で多店舗巡れるし」


「うん。そうだね」



 執事君が感激しているとおり、「容姿を偽ること」に特化したモンスターであるドッペルゲンガーと……


 身分証ではなく"商品の質"と"金"のみで判断される、塩の密売ビジネスは、メチャクチャ相性がいい。



 街の規模にもよるけど、ある程度人が集まっている所には当然"そういう店"も数店舗あるから、そこへ顔と品をコロコロ変えて出向き……


 せせこましく稼ぐことで、全体で見れば<オアシスフロア>の収益以上に稼ぐことができている。



 あくまでも"彼等に任せる偵察業務が緩いとき"限定の副業ビジネスだし、やり過ぎると、買い取り側の帳簿に違和感が出てきて怪しまれちゃうから……


 ビジネス規模の拡大は現実的じゃないし、<オアシスフロア>みたいな安定感もないけどね。






「それに……稼ぎの代償として、僕は70以上の街と<遠隔商談>ギフトを使って、やり取りしなきゃいけなくなった。ハッキリ言って大変だ!」


 勇者襲来の件で諜報の重要性を改めて思い知らされ、「塩を売れる条件が整った街」だけでも、70ヶ所以上にドッペルゲンガーを派遣していた僕は……


 久しぶりに"自分自身で"肉体労働に勤しむハメになり、背中と腰の気怠さや地味にキツイ筋肉痛に、悲鳴をあげていた。



「アハハハハハ。まぁダイエットになっていいんじゃない? バイトとは時給が段違いだし、ポジティブにいこう♪」


 自分の仕事の合間に<恵のダンジョン>を訪れ、この肉体労働を手伝ってくれているサーシャは、なぜか"同じ仕事量をこなしても"ピンピンしており……


 僕だけ「運動不足のオッサン」みたいに、呻いている情けなさである。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


メグミ君、<遠隔商談>で"箱"を出して〜。


さっきウチのダンジョンで今年の初収穫をしたから、君達にもお裾分けするよ♪


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「あっ、モンティート先輩からも"箱寄越せコール"がきた!」


 土龍さんにバレて以降、僕は<農民>同盟と仲間内限定で、"奪ったギフト"も堂々と使っているのだが……


 僕が経由することで、<農民>同盟メンバー間の物流もスムーズになり、僕等にもその恩恵が降ってくるように。



 <遠隔商談>ギフトはEランク制限のせいで、これまで3日に一度しか使えなかったのだが……


 アスタリア先輩から取引を持ちかけられ、「ギフトランクを上げる特殊スクロール」を3本ゲットしたことで、Bランクとなり無限使いできる状態となった。



「おぉ、採れたて野菜とお米・小麦のセット! 僕は自炊しないから使えないけど、サーシャは要るよね? って、痛たっ……腰が…………」


 もちろん無制限で使えるのは大変ありがたいのだが、こう足腰の痛みが続き自分の"モヤシ加減"を再認識させられると、微妙な気分にもなってくる。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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