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301話 地固めに勤しむ




 教会幹部が悪の総本山みたいなっている証拠映像は、彼等にとっても衝撃的だったのだろう。


 次の日の朝には噂が広まり、<オアシスフロア>の住民は「教会幹部、絶対にブチ殺す」と一致団結した。



 とくに憤怒していたのは、ブクブクに肥え太ったジジィ幹部に、「<オアシスフロア>の貧民女など、色気のカケラもない汚物ばかり」とバカにされた……


 年頃の乙女達と、奥さんを蔑まれた(というか、間接的に"そんな女しか抱けない男"扱いされた)働き盛りの男性陣。



 着の身着のまま<オアシスフロア>に流れてきたときは、飢えて痩せこけていた彼等も、ウチの環境下ですっかり元気になり……


 ちょっとした富裕層くらい衛生的な生活もおくれているので、今じゃ「ピチピチ肌の女性陣」と「ドッシリ筋肉のついた戦士」にクラスチェンジ。



 そりゃあ"春を売る"仕事をしているお姉様方と比べたら、ウチの女性陣にイモ娘感があるのは否めないけど……


 少なくとも、腐ったヒキガエルみたいな教会幹部に蔑まれるほど、残念な娘はいないと思う。



 ケガをして治療費が払えず冒険者落ちし、ココに流れ着いた連中や、後天的な要因で五体不満足になった人は……


 ウチの財政状況が良くなったあと、彼等が神殿で祈りを捧げたタイミングで高級ポーションを与えて治療させたから、ジジィ幹部より自活能力も高いしね。



「マスター。出稼ぎに行った商隊を発見し、至急帰還するよう伝えました。映像を見せたら、彼等も激昂していたそうですよ」


「そうか。ひとまず彼等の命は守れそうだな。良かったよ」






 とはいえ……自助努力ばかり求めていると彼等だって疲れちゃうし、何かの拍子に隙をつかれて<オアシスフロア>壊滅って未来もあり得る。


 ゆえに僕も<恵のダンジョン>を改造して、<オアシスフロア>の住民が自衛じやすいよう、サポートしなきゃいけない!



「まず検問は必須だ。邪神ルール的に、入り口からコアルームまでは必ず繋がっていなきゃいけないから、<オアシスフロア>を切り離すのは無理だけど……」


 現在みたいに、「<恵のダンジョン>の攻略を試みる人」が全員<オアシスフロア>を通り抜ける構造じゃなく、素通りできるルートも用意するべきだ。



 その上で<オアシスフロア>との境には複数の検問を設け、悪人が侵入できぬよう徹底するべきだろう。


 <オアシスフロア>に入らなくても攻略に支障が出ないなら、特定の人物が入れない構造にしたところで、邪神ルールには触れないはずだしね。



「あと"天井部分"も改造するべきだな。現在は、上空からの襲撃を警戒してドーム状になっているけど、それだけじゃ不十分!」


 丈夫な素材で空襲対策しつつも、<オアシスフロア>の住民が自衛しやすいよう、「砂漠に生まれた要塞都市」を目指して魔改造してやる!



 そう意気込んだ僕は、<オアシスフロア>の住民に一言断りを入れた後、彼等の居住空間を大幅に広げて、自衛しやすいドーム型要塞を創り上げた。


 もちろん居住空間は今まで通りであり、その上で自衛しやすい環境が整い、敵の侵入リスクも軽減されたので……


 現状、住民からの反応は悪くない。






 と、ダンジョン改造に集中しすぎて周りが見えなくなっていた僕に、一度<集金箱のダンジョン>へ戻り仕事を終わらせてきたサーシャが、声をかけた。


「ふむふむ。あとは"配給制"でもいいから、塩を融通してあげるべきだと思うよ。以前みたいにさぁ〜」



「えっ、お塩? でもさぁ、自販機で"唐揚げ"とか"ハンバーグ"とか買えるし、気軽に塩分がとれる環境は整っているよ?」


「うん。そりゃあそうなんだけどね……。敵が<オアシスフロア>を人間社会から締め出そうとした以上、次は"塩"を干してくると思う」


 まぁ、人間にとって無くてはならない物だしね。



「別に塩を干されたところで、<オアシスフロア>の生活が苦しくなる訳じゃないけど、住民達の心情的には"怖い"でしょ? だから心理戦対策に♪」


「なるほど。僕等はセレクト自販機が使えるし、好きな物を自力で揃えられるから平気だけど、一般人が塩を止められたら精神的には嫌かもしれない」



 かといってセレクト自販機は、「選んだ商品が全自販機で共有される」という特性上、表には出せないし<オアシスフロア>に置くこともできない。


 もし彼処に置いたまま、商品棚にスマホや武器をセレクトしてしまったら、僕の優位性が吹き飛んでしまうもの。



 それゆえ僕は、以前<オアシスフロア>に出していたセレクト自販機を、「本当にヤバイ商品も選べる」と分かった時点で引っ込めたのだ。


 代わりに他の自販機を増やしたり、公共施設を造り住民を労わったから、彼等からの反発は少なかったけど……そろそろ復活させるべきかもしれない。



「分かった。自販機経由はムリだけど、敵が締め上げてきそうな必需品を安定供給できる体制を整えて、住民の安心を買うことにするよ」


「うん♪」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 今更だが、図書館て、有料かな?無料かな? 商人とかは、貸出不可で有料とか?
[一言] 近場の街じゃなければ、当分ばれないと思うんだがなあ
[一言] あ〜、胡椒売れなくなったのね 肉は塩につけて保存するだけだから、食べる時には腐ってる。香辛料でごまかし でも、地面で育つ野菜は貴族の食べ物として相応しくない! 高いところで育つ葡萄はOK と…
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