293話 停戦協定成立
これから結ぶ契約の仕組みについて理解でき、契約破棄するつもりがないなら、ペナルティーも気にしなくていいと分かったので……
僕は血をインク代わりにして契約書をしたため、土龍さんに誤字脱字の確認をしてもらった後、<オアシスフロア>の拠点にいる勇者<マサル>へ送った。
ちなみに……アイツが住んでいる拠点のうち、トイレ・風呂・寝室以外は監視カメラが付いており、24時間体制でオートマタが見張っている。
それについてはマサルも承知しており、「露出プレイをしたくなった時以外は、諸々配慮する」と、地味に不快な返答も得ている状況だ。
そして僕からアイツへ物を送るときは、オートマタに頼んで、ベルを鳴らしてもらうルールになっているため……
たとえアイツが、"監視できない部屋"で<ピー>に励んでいる最中であっても、容赦無く「贈り物だぞ、コラ!」と伝えることができる。
<−−− チリンチリ〜ン♪ チリンチリ〜ン♪ チリンチリ〜ン♪ −−−>
というか……オートマタの忠誠心が凄すぎて、郵送時のアナウンスベルは、マサルが荷物を受け取るまで延々と鳴るので……
家賃タダとはいえ、住人の性格によってはストレスを感じるかもしれない。
もっとも……マサルはそんな繊細さんじゃないので、呼び鈴が鳴って1分もしないうちに、寝室から出てきて受け取りボックス(=宝箱)を開けた。
「ふわぁ〜。おっ、何だ……契約書? あぁ、もう停戦契約の準備できたんスね。え〜っと、やり方は……」
自家発電中に"こんにちは"するリスクだけが心配だが、今回は普通に寝ていただけだったらしく、マサルは目を擦りながら手順を調べて契約書にサイン。
そして契約の要となる血判を、躊躇うことなく押した。
「メグミ殿、余計なお世話かもだがのぉ〜。今後、契約書に血判を押させる際は、監視カメラがあるか目視できる場所でってのを、徹底した方がいいぞ」
「えっ? 土龍さん、それは何故ですか?」
「この勇者は自らカメラの前に出てきて、その場で指を切り血を出したが……狡い奴じゃと、見えない所で他者の血を使って不当に契約を逃れたりもする」
「あっ、なるほど! 迂闊でした。今後は気をつけます」
「うむ。メグミ殿は根が素直ゆえ、そういう可能性を思い付きもしないのじゃろうが、この界隈は魑魅魍魎ばかり。くれぐれもカモられぬようにのぉ」
「はい。ご忠告ありがとうございます!」
不用心すぎて土龍さんに注意されてしまったが、惨事に繋がる前に、言ってもらえる場所で失敗できてよかった。
そして……そういう狡い行為をしなかった、マサルの誠実性も再確認できたし……結果論ではあるが、この契約で得たものは多いと思う。
多少やらかしてしまったものの、大事に発展することなく「勇者<マサル>との停戦協定」を結び終えた僕は、契約書を一枚回収。
そしてもう一枚は、マサルに"絶対になくさぬよう"念押しした上で、アイテムボックスに入れ保管してもらった。
『ところでメグミ殿。昨日から気になっていたのですが、称号欄に<教会に狙われし者>というワードが付き、幾つか呪いが飛んできました』
えっ、お前そんな事になっていたの?
『呪いに関しては、今のところ弾き返せているので良いとして……アイツ等が急に態度を変えた理由が、気になります。何かご存知ですか? あと……』
はい、何でしょうか?
『停戦を結び終えて再度ステータスを確認したところ、称号欄に<対の勇者>というワードが……。もう新たな勇者が生まれたって事ですかね?』
いや、完全に僕のせいだと思います。
君に言われて確認したら、僕の称号欄にも<対の勇者>という文字が加わっていたので。
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メグミ(17)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター・勇者
HP:49952/49952
MP:77365/77365
スキル:剣術C・狙撃F・噛みつきE・火魔法S・水魔法S・風魔法S・土魔法A・氷魔法D・回復魔法S・聖魔法SS・闇魔法B・遠視F・物理耐性B・精神耐性A・呪縛耐性C・お笑い耐性E・アイテムボックスA
ギフト:自販機作製S・統率A・聖者の祈りA・看破B・火魔法の才B・水魔法の才SS・土魔法の才C・風魔法の才C・ゴーレムマスターB・透明化E・魅惑の蝶D・龍の涙C・若返りC・変身E・鑑定C・偽装C・水分身D・改造阻害E・遠隔商談E
その他:称号(蟻マスター・異端児・超新星・ゲス鬼畜・ドラゴンキラー・水龍殺し・モンスターの天敵・ジジィ狩り・魔王を狩る魔王・クズキラー・報復ソムリエ・教会の天敵・対の勇者)
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「勇者? ほほ〜ん。なるほどのぉ……主様から、"勇者の血筋が覚醒した"とは聞かされていたが……メグミ殿は"魔王でありながら勇者でもある"のか」
あっ、土龍さんにステータスを見られた!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






