292話 3龍の呪い
土龍さんの希望に従って、<セレクト自販機>の商品に「カニ雑炊パック」を追加し、他の自販機とともに会議室へと設置。
一口に"カニ雑炊"と言っても、原材料から作るパターンと、カニと米に調味料キットを加えるパターン、出来合いの物がパックされた物と、様々あるが……
モンティート先輩は、すでに電子レンジを購入しており、「簡単で保存がきく食料」を好むので、この場合「レンジでチンできるパックのやつ」一択だ!
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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<−−− ガサッ、ガサッ、ガサッ…… −−−>
「おぉ、メグミ殿も来たか! 先に仕入れを済ませるゆえ、もう少し待っていてくれ!」
僕が大慌てで身なりを整え、土龍さん達を誘導した会議室へ向かったところ、彼等は全員総出で自販機を連打し、諸々の商品を購入していた。
室内には、彼等のかけ声と銅貨・商品が落ちる音が、絶え間なく響いている。
「土龍さん。僕もお手伝いするの〜!」
その様子を見て、同行させたウチの砂龍も(楽しそうだと思ったのか)加わり、十数分間カオスな状況が続いたけど……
彼等は自称"農民"だし、モンティート先輩は自身のダンジョンで畑を運営していたりもするので、(とても序列1位とは思えないが)コレが正解なのだろう。
「ふぅ〜、いい汗をかいたわい。それで……契約について、先に説明して欲しんじゃったか?」
「はい。お手数ですが、よろしくお願いします!」
僕と土龍さんが1対1で戦ったら、間違いなく土龍さんが勝つので、以前は僕も(身を守るために)モニター越しでしか対面しなかったが……
散々モンティート先輩にお世話になっておきながら、それじゃ失礼だと思い、少しずつ土龍さんとの距離を縮めて今では同じ部屋で話す仲に。
サーシャの身に危害が及ぶ可能性は、どうしても許容できないので、まだ彼女は土龍さんと直接対面させていないけど……
<集金箱のダンジョン>の風龍が、土龍さんにメチャクチャ懐いており、度々「一緒に遊ぼう」と誘ってくるので、サーシャが同行する日も近いかもしれない。
「承知した。まず契約についてじゃが、ここに"3体の属性龍"の血を混ぜ込んで作った契約書用の紙がある。見てみろ」
「…………。見た目は"少し黄色っぽい上質な紙"ですが、なんというか……不思議な威圧感がありますね。持つだけで気圧される感じだ」
「うむ。黄色っぽいのは、単にウチの主様が<土属性の魔王>だからじゃ。火属性なら赤、水属性なら青っぽくなる」
「なるほど」
「そしてこの紙に、其方の血で「停戦に関する諸々の契約」を記し、其方と勇者<マサル>の2人がサインと血判を入れれば、晴れて契約成立じゃ!」
「分かりました。もし、何方かが契約を破ったら?」
「その場合は破った側に、この契約書を作るとき血を提供した3龍の"呪い"が降りかかる。いくら勇者<マサル>とはいえ、解呪は至難の業だぞ」
「そうでしょうね」
引きこもり魔王の僕はともかく、外で活躍していた勇者<マサル>なら、"土龍さんと1対1"で戦えるかもしれない。
だけど3体の属性龍が血を提供し、条件付きでかけた呪いを解けるかと言われると……常識的に考えて無理だろう。
というか、もしアイツがそんな事をできるチート野郎なら、<恵のダンジョン>は数日で攻略され、今頃僕も誅殺されて骨になっている。
「今回は主様の指示で、"実際にこの紙を作った職人"も連れてきた。主様の眷属の一人だ」
僕の反応を見て満足気に笑った土龍さんは、後ろで隠れていた土属性の精霊を手に乗せて前へ出し、紹介してくれた。
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ノーム
ランク:S
維持費:30000ポイント/日
詳細:土を司る大精霊。高い戦闘力を持つだけでなく、土属性のモンスターをサポートするのも得意。
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ふふっ、ちょっとビビっていて可愛い。
恥ずかしがり屋な子なのかな?
「ウチも、サーシャの所に風精霊<シルフィー>がいるので、その子のお友達みたいな感じですかね? 優しそうな子です」
あっ、同じ精霊の話題を出したら急にソワソワし出した。
この感じは……たぶんシルフィーと遊びたいけど、他所のダンジョンマスターに頼めず、困っているんだな。
今は取り込み中だからダメだけど、時間ができたら砂龍や風龍みたいに、<農民>同盟の精霊達とシルフィーを遊ばせる時間を設けるね。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






