289話 2人の勇者
当座の仕事を全て片付けた僕は、<山吹の泉>に入って疲れを癒し、そのまま高級ベッドにダイブして爆睡態勢に入った。
モンティート先輩が土龍さんを派遣してくれるまで寝て待てば、勇者とのゴタゴタも全て片付き、また平穏な日々が戻ってくる。
そう思うと、心の重荷がスッと取れるとともに脱力感が湧いてきて、「3日くらいプー太郎生活しても許されるんじゃ?」とすら思えてきたよ。
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〜十色の泉〜
乳白色で美しい10の冷泉が、枯れる事なく湧き続ける泉。
色は付いているが飲むこともできる。
・桜の泉(思い人と一緒に飲むと恋が実る)
・紅の泉(精力増強作用がある)
・山吹の泉(肩こり・腰痛を回復させる)
・山梔子の泉(MPを微回復させる効果がある)
・白花の泉(HPを微回復させる効果がある)
・青竹の泉(フレッシュな気分になれる)
・若梅の泉(頭の回転がはやくなる)
・常盤緑の泉(目の病気に効く)
・露草の泉(リラックス効果がある)
・葡萄の泉(香り高く美味しい)
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「いや……メグミ君が入るのは<紅の泉>だし、その後は<桜の泉>をジョッキ飲みして、私と二人でベッドインだからね? 一人休みはナシだよ?」
「えっ、サーシャ……さん?」
「という訳で、レッツゴー♪」
「うぅっ、別の意味で脱力感がエグい。これじゃあ3日は起き上がれないかも。もうお婿に行けないよ〜!」
「アハハハハ。私が貰ってあげるから安心しなって♪ はい、メグミ君。白子のポン酢和えだよ〜。あ〜ん♪」
「あ〜ん♪ ありがとう。(でも白子って……この後、またラウンドこなそうとしているよね? サーシャさん、僕すでに枯れ果てているんですが……)」
「どういたしまして♪ あらら、お鍋噴きそうだからちょっと見てくるね!」
「は〜い」
休もうと思ったところでサーシャに突撃されて、強制混浴後そのまま喰われた僕は、脱力感で腕すら上げられなくなり、彼女に介抱されていた。
「(ハァ〜。なぜ同い年なのに、サーシャだけこんなに元気なんだろう? もしかして僕、老けるのが早いタイプなのかな?)」
一応僕には<若返りギフト>があって、肉体的に不能になる可能性は低いけど、若いうちから枯れ果てるんじゃ先が思いやられる。
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メグミ(17)
種族:魔人族(魔王)
職業:ダンジョンマスター・勇者
HP:49952/49952
MP:77365/77365
スキル:剣術C・狙撃F・噛みつきE・火魔法S・水魔法S・風魔法S・土魔法A・氷魔法D・回復魔法S・聖魔法SS・闇魔法B・遠視F・物理耐性B・精神耐性A・呪縛耐性C・お笑い耐性E・アイテムボックスA
ギフト:自販機作製S・統率A・聖者の祈りA・看破B・火魔法の才B・水魔法の才SS・土魔法の才C・風魔法の才C・ゴーレムマスターB・透明化E・魅惑の蝶D・龍の涙C・若返りC・変身E・鑑定C・偽装C・水分身D・改造阻害E・遠隔商談E
その他:称号(蟻マスター・異端児・超新星・ゲス鬼畜・ドラゴンキラー・水龍殺し・モンスターの天敵・ジジィ狩り・魔王を狩る魔王・クズキラー・報復ソムリエ・教会の天敵)
〜若返りギフト〜
強いモンスターの肉を食べることで肉体年齢が若返る。
壮年になった頃からアクティブとなり、成人したころの肉体年齢に戻ると鳴りを潜めるため、幼少期に戻ることはできない。
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「って、あれ? いつの間にか、称号欄に<教会の天敵>なんて文字が付いているぞ。これ、どういう事だ?」
そりゃあ勇者<マサル>に停戦協定をもちかけて、教会の"勇者枠"を一つ削った僕は、アイツ等にとっちゃ邪魔者だろうけど……
まだ停戦協定の話は表に出ていないはずだし、マサルを捨てたのだって教会の判断だから、恨まれる筋合いなんて無いのに。
「そういえば、以前"停戦協定の話"が出たとき、モンティート先輩が"リソースの関係で、勇者は同時期に2人生きていたらいい方"とか言っていたな」
だけど僕、魔王だけど後天的に覚醒した勇者でもあるから、マサルと合わせて既に2人いるんじゃない?
だとすると、すでにこの世界の"勇者枠"は埋まっており……僕かマサルのどちらかを殺さない限り、教会は新たな勇者を補充できない状況……とか?
「いや、まさかな。僕は魔王だからきっと"別枠"だし、追加補充の難易度が高い状況でアッサリ勇者を切り捨てるほど、教会もバカじゃないだろう」
だけど、もし本当にそんなカオスな状況になっているなら……
「執事君、念のために教会の監視を強めてほしい。特に"発言権のある教会幹部"をマークしてくれ」
「かしこまりました」
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






