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271話 勇者<マサル>も勘違い


〜勇者<マサル>side〜




「うわっ、早速"バイト代の召し上げ"来たよ……。"1泊=10万バイト"とか、何処の高級ホテルだっつーの!」


 <手形フロア>で休息をとれた事で、体力的に余裕がある状態だったため、思わず突っ込んでしまったが、<恵のダンジョン>の鬼畜仕様はいつものこと。


 それを再度思い出した俺は、諦めて1日でココを突破する覚悟を決めた。



 こんな事もあろうかと、余裕をもって<アルバイトフロア>で"10万バイト"多めに稼いでいたため、1泊分の代金なら支払えるが……


 24階層でダンジョン内通貨バイトを使い切るとか不安だし、支え合える仲間がいない以上、この先「バイト無しじゃ突破不可能な場所」が現れたら詰む。



「ふんっ。この書き方からして、出てくるのはマズ飯・ゲテモノ・激辛系だろ? 食った事ないから分からねぇが、そんなの日数をかけたところで変わらんよ」


 それに「ダンジョンマスターが制限時間内に食べきれたメニュー」と書いてあるので、魔王<メグミ>が食えたレベルの料理しか出てこないのだろう。



 そう思って「早食い部屋」に入り、自分の手形を認証すると……レベル1の料理が運ばれてきた。


「フゥ〜、やっぱり激辛系か。想定した中では当たりの部類だし、明日のケツ事情さえ無視すれば何とかなりそうだな」


 制限時間も30分と書かれているので、きっとレベル1は"お試し"なのだろう。






<−−− レベル1のメニューは、イモ虫がたっぷり入った激辛火鍋です。クリーミーなイモ虫と、熱々激辛スープのハーモニーをお楽しみください −−−>


「ちょっと待った! ゲテモノ×激辛のコンボは、さすがに卑怯だろう! 魔王<メグミ>は、本当にコレを食ったのかよ!?」



<−−− では、チャレンジスタート! 制限時間以内に食べられなくても、挑戦者には完食していただきますのでご了承ください −−−>


「チッ! 問答無用ってことか……。どうせ食わされる事には変わりねぇし、レベル1から失敗すると後がヤバイぞ」


 寄生虫対策の聖魔法をかけて水魔法で鍋の温度を冷やせば、多少は「食える代物」になるだろうし、ココは覚悟を決める場面だ!



 そう思って、たっぷりどころか「イモ虫」と「激辛スープをよく吸う具材」しか入っていないクソ鍋を、根性で掻きこむが……


「おぇっ。辛さと泥臭さのコラボレーションが最悪だ。ボットン便所の中で激辛料理を食っている気分になるぜ」



 イモ虫が栄養価の高い食材として、一部地域で食われていたことは、日本にいた頃から知っていたけど……それは、あくまでも"泥抜き"したもの。


 ここまでドブ臭とジョリジョリした食感に汚染された代物を、「料理」と呼んで食う奴はいねぇよ!!






「ゼェ……ゼェ……ゼェ…………」


 そうは言っても、俺だって伊達に勇者をやっていた訳じゃない!



 水魔法が使えない状況まで追い詰められ、その辺の泥水を啜ったことだってあるし、命懸けの戦いを思えば料理モドキくらい……


 と気合を入れて、なんとか30分以内に「イモ虫がたっぷり入った激辛火鍋」を完食した。



<−−− 残り時間7分でチャレンジ成功、おめでとうございます。"レベル2の料理"へ、5時間以内に挑戦してください −−−>


「OK。5時間猶予があるって事だな。だからと言って、"早食い部屋"の中でモンスターを喚び出すことはできない以上、1時間以内の休憩に抑えるべきだろう」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜<早食いフロア>のルール説明〜


その4:早食い部屋には、必ず1人(または1体)で入ってください。

もし不正が発覚した場合、内部の者が全員死亡するまで部屋のドアが開かなくなります。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 早食いチャレンジ中じゃなければ、「水やポーションを飲んでコンディションを整えるのはOK」なルールだし……


 舌と胃の傷を癒して、冷たい水で舌の感覚を麻痺させてから、次のクソ料理に挑もう。






 その後、丁寧に傷付いた舌と消化管を癒し、水分補給とトイレを済ませた俺は、徹底的に対策した後、「"レベル2の料理"へ挑む」と宣言した。


 すると給仕担当のゴーレムが、壁の「受け渡し口」から皿を受け取り、テーブルまで運んでくる。



<−−− レベル2のメニューは、養殖ゴキブリの辛々炒めです。素材の味を活かして調理しておりますので、存分にお楽しみください −−−>


「楽しめるかっ! このゴキブリ、9階層の<汚物フロア>で飼育された特級呪物じゃねぇかよ!!」



 敵を知り己を知ればとブツを鑑定したところ、おぞましい真実を知ってしまい、なおさら食べる気力が湧かなくなった。


 ルール説明に、「人間に食べられないモノは出てきません」とか書いてあったが、アレを作った担当者をこの場に呼びだして丸一日説教したい気分だ!



<−−− では、制限時間30分でチャレンジスタート! 時間以内に食べ切れなくても、挑戦者には完食していただきますのでご了承ください −−−>


「ふざけんなっ! これ絶対、ダンジョンマスター食ってねぇだろう!!!!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
鑑定してしまったせいで更に酷い事実に気づいてしまった勇者…いけるのか…?汚物ゴキの生食なんて…
[一言] きっと作者なら食えるはずだヨイ
[一言] やっぱりここで躓くかぁ… 初見じゃ拷問用フルコース料理と思わないからなぁ。 万能スコップ<俺の出番だな ペナルティがどうなるかは置いといて。
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