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263話 背後から撃たれた勇者




 勇者襲来に際して、アイツが所属している教会に探りを入れたところ、すでにクビが決定し、次期勇者の召喚話も進んでいることが分かった。


 僕のご先祖様もこうやって使い捨てられた可能性があると思うと、イラッとするけど……


 権力を持つ組織なんて腐っていて当然だし、先に独断専行で動き回ったのはアイツの方なので、「切られても仕方ない」とも感じる。



 また「勇者<マサル>切り捨て」を正当化するために、教会は数々のネガキャンを打ち出しており……


 「こんなクズならクビにされて当然。教会は被害者!」という世論を、作り出そうと必死だ。



 そしてアイツに逆風が吹くと、これまで<ピー>する間柄だった魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>も、見事に手のひらを返し……


 教会主導のネガキャンに参加することで、今後の立場を確保し、次期勇者とのパーティーにも再び組み込んでもらえるよう、保身全開の動きを見せた。



「"監視役"だった修道士<ジン>が、パーティー内で一番の穏健派となり、アバズレ3人をなだめている時点で、末期だよな〜」


 もちろん修道士<ジン>だって、元から教会派なので、勇者<マサル>の独断専行に対しては批判的だが……


 それでも一本筋は通して認めるところは認めているあたり、きちんとした人物だと思うし、皮肉な話だが、彼が「勇者の一番の理解者」だったのだろう。



「もし万が一、勇者<マサル>がこのダンジョンから逃げられても、待っているのは地獄だけ。生かして返す気はないけど、どうするつもりなのかねぇ〜」


 全方面"詰んでいる"アイツが、ムカつくほどのイケメンボイスで、17階層の歌唱ミッションをクリアしているのを見ると……


 コンプレックスが疼いて「イケメンは爆発しろ!」と思うと同時に、ダメな事だが、若干の同情心がわいてしまうのだ。






「あっ、全ミッションクリアで17階層突破……。もう少し手こずってくれても、良かったんだけどなぁ〜。まぁ18階層へ潜ったところで……」


『ヘックシュン!! 何だ? うわっ、身体が痒いぞ! オェッ……今度は"巨大ゴミ箱"かよ。さすが"嫌がらせダンジョン"として名高い場所だぜ……』



「ふふっ。さっそく"洗礼"を受けたみたいだね」


 極寒地獄から灼熱地獄へいきなり移動したことで、身体が適応できず……慣れるまで動けないし、18階層は18階層で地獄だ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜18階層:ゴミ箱フロア〜

オアシスフロアの住民が捨てたゴミを、溜め込んでいるフロア。

制限時間内にゴミの中から、"鍵"となるオーブを探して台座に置かないと……天井からゴミや、9階層で余った汚物が降ってくる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ココは……暗闇の中でオーブを探すうちに、ガラス瓶やペットボトルの破片が、装備の隙間から肉体に食い込み……


 元気にはい回るサバクゴキブリ達も、スキンシップで侵入者を歓迎してくれる、色んな意味でゾッとするフロアなのである。



『テント……は張れねぇな。こんな環境で野宿したら、寝ている間にゴキブリが口に入って喉に詰まり、一生モンのトラウマになっちまう』


 勇者<マサル>も性欲オバケである点以外はマトモなので、あらゆるゴミが蒸されて悪臭が充満し、ゴキブリ天国となっている<ゴミ箱フロア>で……


 自前の高級テントを張って、身体を休める気にはならなかったようだ。



 残念ながら19階層も休むのには向かない場所だし、21階層からは"本格的な進行妨害"が始まるので……


 今後のことを思うと、ココで休んでおくのが正解なんだけどね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜19階層:凹凸フロア〜

上下にうねるツルツルした細長い道が、侵入者の進路をさえぎるフロア。

道の幅は約1m、高低差は約3m。

フロアの底には油が溜まっており、床の摩擦係数を極限まで小さくしているうえ……定期的に、モンスターが引火させる。


〜20階層:中ボス部屋〜

アントリオンの”巨大アリ地獄”が其処彼処にある空間で、上空から攻撃してくるナイトメアバードと戦うフロア。

当然"夜モード"の砂漠なので、フロア全体が暗闇に包まれており、かじかむほどの寒さが全身を襲う。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「とりあえず、17階層の情報を一まとめにして……寝る前に送っておくか」


 実は現在、僕は勇者の進行を妨げつつ、定期的にその情報をまとめて<農民>同盟へ売る、副業をおこなっている。



 勇者がいるせいで身動きがとりづらい現状では、情報販売も貴重な収入源になるし……


 先輩方も勇者<マサル>の力は認めているので、「援助」ではなく「対等な取引」として、高値で買い取ってくれるんだよ。



 <農民>同盟のメンバーは5名もいるから、報酬代わりに有益な情報を返してくれる先輩だっているし、全員優しいので話していて疲れない。


 以前モンティート先輩がまとめ買いして、同盟メンバー全員に回してくれた「お爺ちゃん携帯」もあるので、手軽にメールし合える仲だしね。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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