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256話 勇者をクビになった者の末路


〜勇者<マサル>side〜




『この"ドングリ"由来の自信のなさが、性病まみれになるまで色恋に狂い穢れてしまった、勇者<マサル>の悲しい真実であると、我々は推察しております』


『『『『『『『『『『ププッ! クスクスクス……』』』』』』』』』』



『そんなわけあるかぁ!!!! 俺は純粋に恋をして、彼女達もその想いに応えてくれただけだ〜!!!! テメェ等、マジでブッ殺すぞ!!!!』


 あまりの言い草にブチ切れてしまい、魔王の術中にハマりかけた俺だったが、次に流れてきた言葉で冷や水を浴びせられ、現実と向き合うしかなくなった。



『こちらの情報誌にも、勇者<マサル>に喰われたという"被害者の声"が載っており、彼女達も口を揃えて"小指勇者"と、<ピー>の下手さについて言及……』


 下品なデマと共にモニターに映された、この世界でバカ売れしているゴシップ誌の一面。


 そこには俺を貶める冤罪の数々と、魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>による、でっちあげの証言が並んでいたのだ。



「(ふざけんな。俺はDVも強要もしてねぇ! 愛によって交わった女性の数は、ちょっと多いかもしれねぇけど……全員合意のうえだし満足してくれたぞ!)」


 おそらくコレは、俺の独断専行を教会幹部が「裏切り行為」と判断して、俺を追い詰めるために流したガセネタ。


 魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>はいい娘だし、きっと無理やり言わされたか、証言自体を偽造されただけだろう。






「(とはいえ、これで教会との決別は確定的になったな。魔王<メグミ>の先祖も、こんな感じで"存在を抹消された"んだろうか?)」


 俺だってもう大人なので、教会の意向に背けば給料を出してもらえなくなり、後ろ盾もなくなって、勇者として活動しにくくなる事は分かっていた。



 それに……神官としての使命よりも金&権力の方が大事な、教会の幹部連中が、自分たちの正当性を主張するために俺を悪者にするのも、予想通り。


 だが寝食を共にしたパーティーメンバーを利用して、嘘100%の証言をでっちあげ、俺を街にも入れないほど貶めるのは、流石にやり過ぎだ!



 もし数百年前に魔王<メグミ>の先祖が、似たような目に遭って「人類に仇なす者」認定されていたら……


「どちらが、本当の悪魔なんだか」



 少なくとも俺には、「平凡に暮らしていた地球人」の日常を自分たちの都合で奪い、勇者と持ち上げてコキ使いまくった挙句……


 容赦ない手のひら返しをする連中の方が、無理やり魔王にされて人類と対決するハメになった魔王より、よほど悪辣に感じる。



「(つっても、俺を<ドングリ勇者>扱いしやがった魔王<メグミ>には、俺以上に縮こまるまで拳骨をプレゼントして、身の程をわきまえさせてやるけどな)」


 いくら「雑誌に載っているから」といって、本人が気にしている「4cm」なんてプライベートな情報を、人前で暴露してんじゃねぇよ!!






「(とりあえず……この"汚物溜め"から出ない事には、俺は延々と"短小クソ野郎"扱いされるハメになる。イラついてないで一歩一歩着実に進め!)」


 遮音結界を耳周りに張ることで、不快な音声をシャットアウトした俺は、グチョグチョ・ドロドロしている肥溜めの中を、ひたすら歩く。



 途中"這う体勢"を強要されたり、ウ○コ塗れの散弾攻撃を受けたときは、頭に血がのぼって反撃したくなったが……


 ここで争って心身共に消耗するのは、それこそ魔王<メグミ>の思う壺なので、<能力玉>をフル活用して、なんとか危機をのり切った!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜スキル図鑑〜


相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。


ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「で、10階層のボス部屋を踏破した訳だけど……オイルスライムって、こんなに臭い油まみれだったっけ?」


 俺の記憶が正しければ、オイルスライムから採れる油は"食用油"として利用され、巷の主婦が好んで使っていたはず……。



『おめでとうございます! 中ボス部屋を踏破した侵入者様には、<汚物フロア>育ちのオイルスライムから採れる、スライム油をプレゼントいたします!』


「要らねぇよ!」



『他所のスライム油とは差別化された、オンリーワンの素材ですので、お好きなだけすくい取っていただき、壺に入れてお持ち帰りください』


「だから、要らねぇって!」



『なお壺は有料となっておりますので、ご購入の際は、料金表をご覧のうえお金を用意して、担当者である私にお声がけくださいませ』


「要らねぇっつってるだろう! それに壺の価格がボッタクリ過ぎなんだよ! なんで糞油を入れる容器を、金貨で買わなきゃならねぇんだ!!」



『<恵のダンジョン>では、特定の商品を除いて"砂漠価格"でサービスを提供しております。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします』


「…………。お前の主人、絶対根性曲がっているだろ?」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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勇者とオートマタの漫才の方がオアシスの住民に受けそう
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