表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

252/938

252話 マサル流のダンジョン攻略


〜勇者<マサル>side〜




 ゲスすぎるルールが書かれた木の板を眺めたあと、昨夜考えた作戦に従い、ギフト玉を食って<天国と地獄フロア>を突破する。


「ふぅ〜。狙い通り、<万能スコップ>一発で掘れて良かったぜ」



 <天国と地獄フロア>は、<恵のダンジョン>の中でも特に悪質なことで有名で、これまで数え切れない程の死者を出してきた。


 ただ命の危険があるだけなら、どこのダンジョンだってそうだし、半端な実力で潜る奴も悪いから、自業自得なんだけど……



 あのフロアは、<ウ○コ砲>を顔に向けて撃たれたり、他者から見える状況で泣くまでケツバットされて、徹底的に心を折られるらしい。


 それだけでなく、参加料徴収や飲食物のボッタクリ販売で金までむしり取られるというから……近付かない方が身の為だ。



「<天国と地獄フロア>以外にも悪辣な階層は山ほどあるから、本音を言えば、<万能スコップ>で全階層ぶち抜きたいところだけど、無理だよなぁ〜」


 たとえば、今いる2階層<砂漠フロア>。



 ここはフロア全体が"サラサラの砂"で出来ているため、スコップで掘るそばから砂が穴に入りこんでしまい、掘り進めるのが難しい。


 しかもクソ暑い気候のせいで、肉体労働したときの消耗度合いが凄まじいから……ペース配分を考えると、とてもじゃないが"縦貫通"などできないのだ。






 そもそも<万能スコップ>自体、以前「奴隷買い→解放」の対価として登録してもらった、可愛い女子のギフトだから……


 使用時は<スキル図鑑>で作った"ギフト玉"が必要になり、制限時間も3時間なので、長期戦になりそうなココの攻略で多用するのは難しい。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜スキル図鑑〜


相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。


ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「まぁ、ドラゴンローブを身に纏えば暑さは軽減できるし……備えゼロで突撃した軍の一般兵よりは、はるかに楽なんだろうけど」


 いずれにせよ、夜ナシ設定で灼熱地獄と化している<砂漠フロア>に長時間滞在するのは、時間と体力のムダだから急いで先へ進もう!






 最低限の消耗で<砂漠フロア>を乗り切った俺は、続く3階層<クイズ付き立体迷路>も、ギフト玉の力を借りて突破。


 4階層<灼熱の岩石フロア>も、亜空間にいる火属性のモンスターを喚ぶことで、一度も地面に足をつけることなくクリアした。



「ここまでのフロアマップは、教会……いや、あそこはダメだな。冒険者ギルドへ送っておこう。それが一番、一般人の犠牲者を減らせるはずだ」


 そういえばこのダンジョンは、育成ポイント獲得用の餌として、スラム街出身の貧民を囲っていたんだよなぁ〜。



 普段は地上で自由に暮らさせ、俺みたいな戦力が来たときはフロアごと引っ込めるっぽいから、それなりに大切にはしてもらっているんだろうけど……


 敵の腹の中で生きる貧民達は、本当に幸せなのだろうか?



「こればかりは、実際に会って話してみなきゃ分かんねぇ。俺は、そんな生活まっぴらゴメンだけど、その日暮らしの連中だと価値観も異なるだろうし……」


 ここの魔王<メグミ>も、勇者の血を引いているとはいえこの世界で生まれ育った"現地人"だから、俺とは根本的に考え方が違う。



 <恵のダンジョン>は悪なのか……それとも俺が、教会に洗脳されて色々誤解しているだけなのか……


 結局のところは直接話すまで分かんねぇし、今回はちゃんと相手の言い分も聞いて、自分の頭で考え結論を出したい。






 その為にも、奴等がいるダンジョンの奥地へ辿り着かなきゃいけないので、ダンジョン攻略に思考を戻した俺は、この階層で休憩を取ることにした。


「ヒュージスライム、ホーリーキャット……出てこい」



 5階層からは、いつ毒ガスや汚物溜めの中に落とされてもおかしくないので、先へ進むときは、10階層の中ボス部屋まで一気にクリアしないと危険なのだ。


 それゆえ、まずは"比較的安全"な5階層の入り口付近で、味方のスライムに包まれて仮眠をとり……


 起きたら超特急で中ボス部屋まで駆けぬけて、最小限のリスクで先へ進む。



「お前達は、ダンジョンのモンスターが俺の寝首を取りにこないか見張っていてくれ! 一応、聖結界は張るけど……安全マージンは確保しておきたいんだ」


「…………(了解デス)」「カシコマリマシタ」



「サンキュー! じゃあ、監視ヨロシク。<サンクチュアリ>展開! お休み〜」


 単独行動しているからアッチの方がご無沙汰で、下腹部が疼いて仕方ないのだが……こればかりは我慢するしかねぇよなぁ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 一応会話する気あったんだ。 忠告無視してダンジョン攻略を始めた時点でどっちにしろ手遅れなのに。 会話する気なら一階で呼びかければよかったのにね。 結局力で叩きのめして上から目線で自分の正義を…
[良い点] スライムやネコでシコれよ
[気になる点] むしろお前が来たからダンマスもダンジョンの(商売に行けない)住民も(商品が来ない)周辺住民も困らせてるんよなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ