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251話 ダンジョン掘り掘り




 ジリジリと精神を削られながら、勇者パーティーの襲来を待ち続けること10日……ようやく勇者<マサル>が、ウチの警戒圏に姿を現した。


 しかし、本来なら一緒にいるはずのパーティーメンバーが同行しておらず、なぜか奴一人である。



「勇者の仲間は、魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>・修道士<ジン>の4人だよな? 全員"教会からの派遣"だしケンカでもしたのか?」


 だが……いくら勇者のチカラが規格外とはいえ、パーティーメンバーの助力ナシで、僕のダンジョンに潜るのは厳しいんじゃ……。


 もしそれが可能なら、あっと言う間に世界中のダンジョンが勇者によって滅ぼされ、今ごろ魔王なんて消滅していると思う。



「ステータスは……クソッ、やはり見えない。特殊な隠蔽系ギフト持ちだ! モンティート先輩でさえ、詳しいステータス情報を掴めなかっただけはある」


 ただ……これまでの戦歴や外見情報から、「パーティーメンバーと分業する、聖剣使いの勇者」であることは分かっているため……


 ステータスを覗けないこの状況では、聖剣使いと相性がいい仕様に、<恵のダンジョン>を寄せるのが最適解だろう。






 サーシャに勇者襲来の知らせを送り、<恵のダンジョン>を「対勇者仕様」に切り換えたあたりで、勇者<マサル>はウチの敷地内に入った。


 アイツは「民に優しい勇者」と評判だけど……<恵のダンジョン>と共存している、オアシスフロアの民に対して、どういう姿勢で臨むか分からないので……


 "神に逆らいし魔王の同類"扱いで、彼等に殺意を向けられても実害が出ないように、フロア丸ごと32階層と入れ替えてある。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


0階層:地上部。オアシスフロア(現在、32階層と入れ替え中)

1階層:天国と地獄フロア(通行料徴収)

2階層:砂漠フロア

3階層:クイズ付き立体迷路

4階層:灼熱の岩石フロア

5〜6階層:クイズ付き立体迷路(分断仕様)

7階層:毒ガス砂漠(イッシャクムカデ担当)

8階層:毒ガス迷路(スライム担当)

9階層:汚物フロア

10階層:中ボス部屋(オイルスライム担当)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「つまりアイツは、いきなり<天国と地獄フロア>に挑むわけだ。このフロアは、豪運持ちでも"キレイな身体"じゃ出られない仕様なんだけど……」


 一体どうやって、単独で"この難所"を乗り切るつもりなのだろう?






 そんなことを考えていたら、勇者が聞き馴染みのある祈りを唱え始め……ダンジョンの管理機能が"操作不能"になった。


「マジかよ!? アイツ……"女にダラシない種馬野郎"って噂なのに、童貞専用ギフトの<聖者の祈り>使えたんだ……」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜聖者の祈り〜


純潔を守りとおし、"長い間"修行を積んだ聖職者だけが得られるギフト。


ダンジョンの改造阻害や、ダンジョン攻略時のステータスアップなど、熟練度によって叶う範囲が広がる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 まぁそんな事を言い出せば……僕もサーシャと年中イチャラブしているのに、そこら辺の聖職者より優れた<聖者の祈り>を使える、チート持ちなので……


 「あり得ない」と全否定はできない訳だけど、ハーレムパーティーに一人だけ男の修道士を加えていたから、てっきり"自力じゃムリ"なのかと思っていたよ。



「でも、まぁ……セルフ<聖者の祈り>はいい。対応できる範囲内だし」


 元々「地上で祈る非戦闘員のオバサン聖女」ではなく、「戦闘もこなせる童貞修道士」が来ると理解したうえで、ダンジョンの改築に臨んだわけで……


 <聖者の祈り>を唱えた者自身がダンジョンへ乗りこみ、お荷物になる事なく暴れ回る前提で備えているから、担当者の変更くらい今更だ。






 それに……これまで"オバサン聖女同伴で来た軍"も、<天国と地獄フロア>では多大な被害を出したし……1階層が難所なのは、変わりない事実である。


 そこをどうやって乗り越えるかが、勇者の実力を判断する指標となるわけで……って、おい!!!!



「<天国と地獄フロア>に入ることなく、スコップで床を掘り始めた……だと…………!? いや、そんなヤワな床じゃないはずなんだけど……」


 勇者<マサル>は、<天国と地獄フロア>の入り口にあるルールに目を通したあと、悩むそぶりすら見せずに床を掘り始めた。



 ウチに限らずダンジョンの床……というか備品・建造物には、修復機能が自動付帯されているものだし……


 充分な量のポイントさえあれば、<恵のダンジョン>も損壊部分は自動修復される。


 にも関わらず、勇者<マサル>がスコップで掘った床はなぜか修復されることなく、サクサクと掘り進められ、1時間で2階層へ降りられる穴が空いた。



「ハァ〜。そもそも"あの床"って、ショートカット防止用の頑丈な素材で造ったはずだけど……あれも一種のギフトなのか?」


 とりあえず、勇者<マサル>に鬼畜すぎるフロアをぶつけると、入り口手前で床を掘りショートカットする……という事だけは理解できたよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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ペナルティ無しで掘れるならダンジョン意味がない しゅうりょ~う お疲れさまでした。
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