249話 幼児最強説
「ふふっ。メグミ君……砂龍のことが可愛いのは分かるけど、親バカで表情筋が緩みまくっているよ〜。そのまま水飲んだら、ユルユルでこぼれちゃいそう」
「あっ、ゴメンゴメン! すぐに直します!」
砂龍と二人仲良くモニターに映っている、風龍のステータスを確認していたサーシャが、いつの間にかコチラを向き笑っている。
どうやら僕は、知らず知らずのうちに愛情を爆発させ、モテの正反対である「不細工でキモイ笑み」を晒していたようだ。
「ウチの風龍も<人化>をマスターしたし、一緒に発表会させない? この子達の体型に合った可愛い服も、用意しなきゃいけないしさ〜」
「たしかに! 砂龍。風龍と一緒に<人>になってくれるか?」
『ワカリマシタ!』
元気よく返事をした砂龍は、「セーノ!」で風龍とジャンプしてボンッと爆ぜ、5歳くらいの愛らしい男の子になった。
風龍も同い年くらいの幼女に変わったので、たぶん「生まれて間もない幼さ」が人化にも現れているのだろう。
「ヤバッ。これはメグミ君じゃなくてもデレるわ。"萌え"の暴力!」
風龍ちゃんの愛らしさを見て、サーシャも理性が吹き飛んだらしく、目がハートマークになっている。
特定の子だけを過度に可愛がるのは、他のモンスターが拗ねて忠誠心を薄れさせる原因になるので、組織運営でやっちゃいけない典型パターン。
だけど今回は、他の部屋からこの様子を見ているサーシャ配下のモンスター達も、庇護欲をくすぐられているようだし……
連れてきたウチの執事君たちも、「オートマタにこんな豊かな感情あったんだ」というくらい、"萌え"の虜になっているので、例外ってことでOKだよね?
「マスター。僕もっと強くなりたいから、修行再開します! 終わったら、いっぱい褒めてくれると嬉しいです!」
「もちろん褒めまくるよ! 砂龍、頑張っておいで!!」
「はい!!」
人化によって幾分流暢な言葉を紡げるようになった砂龍は、僕に「修行再開」を宣言した後、再び龍の姿へ戻り風龍と仲良くレベリングし始めた。
あのサイズなら、「管理モニターを突いただけで壊す」心配などないし……砂龍は幼いだけで、知能のポテンシャルも高いモンスターなので……
勇者が来て「引きこもり生活」が始まったら、人化状態で僕の隣に置いて、10年後の総司令官を育成するつもりで、教育するのもアリかもしれない。
「メグミ君。セレクト自販機をお願いします! 風龍ちゃんのお洋服とか生活雑貨を買ってあげたいの♪」
「了解! 勇者が来るまでに、"データを書き換えられる状態"に戻しておきたいから、ババッと選んじゃって! 僕も、男の子用のモノを一式揃える!」
「分かった!」
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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幸いな事に、スーパーのカタログを見れば子供用品は一式揃うので、服・靴・歯ブラシ等、異世界の上質なモノを砂龍に与えられる。
サーシャ配下の風龍は女の子だから、髪飾りなんかも買ってあげると、喜ばれるかもしれないな。
そんなこんなで親バカと化した僕とサーシャは、砂龍と風龍がレベリングに励んでいる間、スーパーのカタログを舐めるように物色し……
厳選した100種類の商品を<セレクト自販機>に並べて、在庫切れにならぬよう、予備も含めて心ゆくまで買い漁った。
途中、ウチの執事君とサーシャ配下のオートマタが、「親バカ警報発令中!」というアナウンスを、容赦なく流しやがったが……
あの子たち愛らしすぎるんだもん、仕方ないじゃん!!
もちろん砂龍・風龍に限らず、ウチの子とサーシャ配下のモンスターは全員愛おしいんだけど……
(僕より強いのに)何故か守ってあげたくなる、幼子パワーには抗えないんだよ!!
「マスター。心の中で砂龍への愛を叫んでいるところ、申し訳ないのですが……モンティート様より、"勇者が学園都市を出た"とメッセージが届いております」
「あっハイ。執事君ありがとう。仕事させていただきます! (この子も、躊躇なく毒舌を吐くようになったなぁ〜。感慨深い)」
「勇者が寄り道せずに超スピードで襲来する」と仮定しても、到着は明後日以降になるはずなので、今日の修行はスケジュール通り進める。
そして明日以降は、勇者パーティーの襲来に備えて守りをかため、いつ何が起きてもいいように立ち回るよ。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






