245話 メグミ、なす術もなく……
「メグミ君。<集金箱のダンジョン>の魔改造終わったから、休憩しにきたよ〜♪ って……あれ? どうしてそんなに殺気立っているの?」
ヤバイ!
つい頭に血が昇って執務机をガンガン殴っていたら、仕事終わりのサーシャがコッチに来た気配に、気づけなかった!
「えっ? いや、何でもない……」
「むぅ。秘密はナシだよ! どれどれ〜。おぉ〜、コレを見て怒ってくれたんだね♪ メグミ君、ピュアで可愛すぎる!! 好きぃ〜!!!!」
うわっ!
無理やりモニターを覗かれたと思ったら、サーシャにガシッと抱きしめられ、頬をスリスリと擦りつけられた。
「(相変わらずいい匂いだな……ってダメダメ! 今は勇者襲来に備えて警戒しなきゃいけない状況だし、欲情している暇なんてないのに!)」
とは言ったものの、ウチのモンスター達はいつの間にかサーシャに躾けられており、こういうとき「主人を売る」のがデフォルトだし……
僕もサーシャも、"課金で対応可能な事前準備"は終えた後だから、"忙しい理由"が弱すぎて断れないんだよね〜。
「サーシャ様、お部屋の用意はできております。有事の際はベルで呼ぶので、マスターとの甘美なひと時をどうぞお楽しみください」
「執事君ありがとう! さっそく甘えさせてもらうね♪」
あっ……考えている間に速攻で売られて、据え膳状態にされてしまった!
「あの、サーシャさん? 僕たち今、ものすごく忙しい状況なんだから……」
「ん? 大丈夫だよ。3時間くらいだし♪ 本当にヤバイなら執事君が止めているはずだけど、皆ニコニコ笑顔で見守っているだけでしょ?」
「(それは、君達の判断基準がズレているからです!!)」
もちろん寝室にドナドナされた僕への快楽攻めが、たった3時間で済むはずもなく……
サーシャの"甘い暴走"は、夕食の用意を済ませた執事君が、「食事抜きは可哀想だ」とベルで呼んでくれるまで続いた。
<−−− カチャカチャ、カチャカチャ −−−>
「モグモグモグ……う〜ん。やっぱり炭酸水とステーキの組み合わせは最高だねぇ〜。メグミ君もそう思うでしょ?」
「えっ? あははは…………。ソウデスネ」
ウチではサーシャが暴走するたび、僕が起き上がるのも厳しいほど搾り取られてしまうので、以前は僕がダウンする度にベッドで介抱されていた。
だけどセレクト自販機で、「要人を拘束するためのイス」という「尋問器具なのかSMグッズなのか分からない代物」を購入して以来……
どれだけ力を抜いた状態でも、ベルトで固定すれば座位を保てるので、いつも通り座って食事ができるようになっている。
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〜セレクト自販機(Sランク)〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
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ダウンする期間が減った代わりに、「仕事に響くから自重しよう」という、サーシャの心理的ハードルもほとんど無くなり……
女豹化によって搾り取られ、「幸せのヨボヨボ魔王」になる頻度は増えているのだが。
「ところでサーシャ、<集金箱のダンジョン>のポイント課金は上手くいったの?」
「うん♪ 私も8割方ポイント使って、魔王ランキングの順位が大幅に落ちたから、ヤジが酷かったけど……改造自体は上手くいったよ!」
「そっか。なら勇者襲来と同時に、人間側が<集金箱のダンジョン>を潰そうとしてきても、最悪の事態は免れそうだね」
「ふふっ、そうだね〜。空席になっていた"ラスボス枠"に、SSランクモンスターの<風龍>を据えて、防備もかためたし……たぶん大丈夫だと思う!」
「サーシャも、遂にSSランクモンスターを買ったのか! そういえば、ウチの<砂龍>に実践経験を積ませたかったんだ。明日、<風龍>と一緒にやらない?」
「勿論やる! ウチの風龍は"穏やかな性格の女の子"だから、ソッチの砂龍といがみ合う可能性も少ないし……"主従×2"のダブルデートってことで♪」
あの、サーシャさん……砂龍と風龍の仲を深めるのは、同盟ダンジョンのラスボス同士、"必要なこと"だと思うけど……
さすがに2日連続ハッスルし過ぎて、腕すら持ち上げられないほど枯れたら仕事にならないので、僕とは"健全なお付き合い"に留めましょうね?
ウチの執事君たちは、<ゴーレムマスター>持ちの貴女に弱いんだから……その気になられると、僕は枯れ枝になるまで干からびちゃうんですよ!
まぁ、嫌じゃないけどさ……。
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〜ゴーレムマスター〜
ゴーレムを愛し、ゴーレムと共に生きる者へ与えられるギフト。使役するゴーレムの攻撃力・防御力が2倍となる。
また日頃から側に置くことで、目をかけたゴーレムの成長速度が早くなり、自然にレベルアップする場合もある。
ゴーレムの成長率には劣るものの、側に置いたオートマタの能力も上がる。
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読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






