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234話 勇者<マサル>の一人旅




 その後も資料を読み進めた勇者<マサル>は、魔王<メグミ>に関する情報を全て頭に叩き込んだあと、押し込められた書庫を出る。


 そして教会幹部の執務室へ向かい、「疑問点があるから調査したい」と、メグミが生まれ育った国であるルールベル皇国行きを希望した。



「ふむ。疑わしい魔王がいるが、資料の情報と行動が一致しておらず疑問が残るので、其奴の出身地へ行って調べたい……ねぇ」


 しかし教会幹部には、「勇者と同郷の魔王がいるかもしれない」という事実を知り、「もしや勇者<マサル>も裏切るのでは?」と疑う者もいる。


 そのため彼のルールベル皇国行きは渋られ、魔道具を使って取り調べのように問いただされた後、条件付きでようやく許可された。



「「「「「「「「「「勇者様、此度はよろしくお願いいたします!」」」」」」」」」」


「あ〜ぅん、ヨロシクな。(何が"陰ながらお前を守る護衛を付ける……だよ。どこからどう見たって監視じゃねぇか!")」



 普段マサルのお目付役を務めている修道士<ジン>が、サビ残のオンパレードから解放された事で、気を抜いた隙に風邪をひいてしまい……


 休日出勤させられる状況じゃなかったので、慌てた教会幹部達は、急遽<陰の者>と呼ばれている「教会直属の裏稼業集団」に勇者の護衛を頼んだのだ。



 もちろん長時間行われた詰問に加えて、この対応で勇者<マサル>は機嫌を損ねており、心の中で「クソジジィ共、全員ハゲろや!」と吐き捨てている。


 だが(散々渋られたものの、)無事ルールベル皇国への調査旅行を認められたため、若干"社畜化"しているマサルは、態度を表に出す事なく……


 <陰の者>10名がコソコソ付いてきていると承知の上で、一人旅を満喫するかのように鼻歌を唄いながら、目的地へと向かった。






「よっしゃあ! ルールベル皇国、到着〜!」


 飛行魔法を使って空の旅を楽しみつつ、教会を出てから僅か数日で目的地に着いた勇者<マサル>は、晴れ晴れとした顔でそう叫ぶ。



 彼を護衛&監視するはずだった10名の<陰の者>は、なぜか一人もその場にいない。


 それは何故か?


 答えは単純で……勇者<マサル>が「勝手に見守る分には構わない」と言いつつ、道中本気でぶっ飛ばして、<陰の者>を全員撒いてしまったからだ。



 目的地情報は共有されているので、数日後には<陰の者>も自力でルールベル皇国へたどり着き、マサルの護衛&監視を始めるだろうが……


 それまではマサルは、「遅れる無能が悪いんじゃん!」と彼等に責任を押し付けつつ、久しぶりの"自由の身"を満喫するつもりでいる。



 だからこそ、今回彼は魔法師<リーナ>・槍使い<サラ>・斥候<キラリ>を旅に同行させていない。


 もし彼女達を同行させて<恵のダンジョン>行きを知られたら、「私達も付いていく」と言われて困る……という理由もあるが…………



 マサルは今回、誰にも縛られない状態で動きたかったし、もし彼女達が一緒だと、帰還後「教会のうるさい加齢臭ジジィ共」に彼女達が責められるため……


 「遅ぇよ、ノロマ」と言いつつ<陰の者>を撒いて、自由気ままに……なんて無責任な選択を、選べなかったのである。



「勇者特権で検問はフリーパスできたし、さっそく調査に入るぞ! 今日の宿をとったら、魔王<メグミ>が闇堕ち前に通っていた学校へ行ってみるか」


 アイテムボックスから金貨を出して、街で一番いい宿を確保した勇者<マサル>は、怪しまれぬよう現地の服装に着替えた後、即行動を開始!


 メグミが魔王になるまで奨学生として通っていた、<ラヴィレンス高等学園>へと向かい、聞き取り調査を始めた。






「えっ!? この学校の生徒で闇堕ちしたのって、魔王<メグミ>と魔王<サーシャ>だけじゃないの!?」


「はい。あの子達がいた学年とその下の学年で、ある日突然"一クラス全員"が姿を消し、その後"闇堕ちした"ことが発覚したんです」



 貴族に聞くと"国や御家の事情"で隠される可能性があるため、見るからに金に困っていそうな教師を捕まえて、賄賂を握らせた勇者<マサル>は……


 「魔王<メグミ>が在学時どんな生徒だったのか?」調べるつもりで、教師から情報を引き出し、驚愕の事実を知る。



 ルールベル皇国が「恥だから」と隠蔽しているとはいえ、<ラヴィレンス高等学園>の生徒が、2年連続で"クラス全員"闇堕ちしたのは有名な話だ。


 しかし……その事を知られると、「魔王=絶対悪」の構図が崩れると危惧した教会幹部によって、事実を秘匿されていた勇者<マサル>は……


 調査のために書庫へ押し込められた際も、上位ダンジョンの資料しか読んでいなかったため全く気付いておらず、教師に言われて衝撃を受けた。



「そっ、そうか……。(マジかよ! "クラス全員"闇堕ちってことは、どう考えても"其奴がクソ野郎で力を求めた"訳じゃねぇぞ! どうなってやがる!?)」


 教会で聞かされていた話と全く違う事実に、混乱するマサルだったが、彼とて元"なろう愛読者"。


 召喚元がクズである"なろう系小説"も、数えきれないほど読んでいたため、十数秒で立ち直り頭を切り替えた。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] なろうがいい感じの情報ソースになってて笑える
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