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231話 冷静さ=信心の薄さ




 <未設定のダンジョン>に名前をつけて、ユアン討伐の労をねぎらい、新たな門出に乾杯するメグミとサーシャ。


 しかしその裏では、彼等の予想だにしない事態が巻き起こっていた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「認めん、儂は断じて認めんぞ! おぞましき魔王の中に、勇者と関わりがある者がいるなど……!」


「だが、報告者は"その勇者"本人だぞ? "自分がいた世界の武器"を間違うとは思えんし、事実と認めて議論を先へ進めるしかなかろう」



「そうだ! ゆゆしき事態だと儂も思うが……実際問題、勇者の報告にあった武器は、我々の世界には存在せぬモノ。受け止めねばなるまい」


「歴代勇者の中には、教会に逆らって出奔したバカもおるしのぉ。素奴等の子孫が、闇に堕ちた可能性だってある」



「だが……っ!!」


「静かにしろ! ここは神聖なる会議の場だぞ!」


「くぅ……っ! 申し訳ございません」



 勇者パーティーの報告を受けて、緊急会議の議題を急遽変更した教会幹部の多くは、未だ現実を受け入れられず激昂中。


 彼等の常識では、「勇者を生み出す世界の者」は「もれなく自分達の味方」であり、敵になるなんて想像もしていなかったのだ。






 しかし教会のメンツがかかっている以上、いつまでも声を荒げ、唾と感情を撒き散らす訳にはいかない。


 それゆえ(内心では神など信じていないが、金のために仕事をしている)冷静な幹部を中心に、今後の方針を決める議論が始まった。



「教会を裏切った勇者の記録は、戸籍共々抹消する決まりだ。もし素奴等の子孫が闇落ちしていたら、追跡は難しいぞ」


「ううむ。まさか、裏切り者の存在を後世へ伝えぬようにする策が、裏目にでるとはな……。だが、まだ特定の目は残っている」



「本当か!?」


「あぁ。勇者<マサル>が証拠付きで報告を上げてきたように、その魔王は異端だ! ゆえに目立つし、マサルに調査させれば特定できるだろう」


「なるほど! 彼奴に調査させて炙り出せば、始末もスムーズに任せられるし安心だな」



「だが、勇者<マサル>自身が裏切った場合どうする? 討伐相手は同郷の者ゆえ、絆されるかもしれんぞ」


「わざわざ証拠付きで報告してきた以上、裏切りはないだろう。それに……もし勇者<マサル>が情けをかけたとて、他のパーティーメンバーが納得するまい」



「うむ。股を開けばコロコロ意見が変わる女はともかく、教会で長年修行を積んだ修道士<ジン>は信頼できる。奴がいる以上、マサルの裏切りはないはずだ」


「そうだな。では勇者パーティーが帰還次第、この件の調査および該当魔王の討伐を任せることにしよう。もし万が一、奴が裏切ったら……」


「なぁに……次の勇者を召喚して育てた後、聖騎士団と共に出撃させて、魔王共々討ち取るまでよ」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜勇者side〜




「ハァ〜。それで、"帰還早々"書庫にブチ込まれたわけね。帰ったらまとめて取る予定になっていた、俺の休日は何処へ行ったんだよ?」


「今は緊急事態ゆえ、そんな事を言っている場合ではございません! 大至急、許されざるクズ魔王を探し出して、討伐してきてください」


「アンタ、前にも似たようなセリフを吐いてなかったか?」



 強制的に呼び戻されたと思ったら、今度はまた、休日返上でタダ働き強制かよ!


 マジで、やってらんねぇ……。



「こちらの机に置いてある資料が、人間サイドが知りうる"活動中のダンジョン"の全てになります。勇者様のご活躍を、期待しております!」


「…………。(ウゼェ。文字通り"山積みになっている資料"を、全部見るのかよ……。信用しているんだか、していないんだか……ハッキリしねぇなぁ)」



 報告を上げた途端呼び戻された件についても、まだムカつきが収まらないってのに、人を「いくらこき使ってもOKなサブスク勇者」扱いしやがって!


 とは思うものの……教会に歯向かうって事は、この世界じゃ全ての国を敵に回すのと同義だし、住める場所がなくなっちまうから……


 「諦めて従う」しか選択肢がねぇのが、辛いところだ。






「さてと……銃を使った奴は、どう考えても魔王<ユアン>より有能だから、聖剣一振りで飛ぶような雑魚魔王じゃないだろう」


 こんなに沢山ある資料を、一つ一つ見ていたらキリがないし、名の知れた上位ダンジョンの情報から漁っていくか。



「へぇ〜。魔王<ユアン>が、魔王の序列を表す"ランキング順位"を売ったお陰で、どのダンジョンが力を持っているのか一目で分かる。こりゃあ良いや!」


 まずは序列一位……俺たちの認識でも超有名な、魔王<モンティート>が支配する<欲望のダンジョン>から調べてみよう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 上層部への不満こそあるものの、今まで必要最低限しか教えてもらえなかったダンジョンの詳細情報に、厨二心をくすぐられ……


 日課である仲間(美少女)達との<ピー>すら忘れて、熱中し始めた元「なろう愛読者」の勇者<マサル>。



 彼が、比較的上位に位置する<恵のダンジョン>の資料に目を通すまで、あと少し……。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[良い点] なろう愛読者w [一言] 彼は女性達共々、〈恵のダンジョン〉に永住すれば良い。
[一言] 勇者の子孫が奨学金で通ってたということは…
[一言] ユアンからの情報があるから恵のこと込みでわかるのか。 マサルは勇者の血筋がその後どうなるかもわかるわけだな
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