220話 壊れたくても壊れられない
〜ユアンside〜
メグミ先輩……いや、鬼畜野郎<メグミ>に騙された私は、手足に枷をはめられた状態で暗闇に閉じこめられ、薄汚いゴキブリに全身をはい回られた。
しかも何故か局部の辺りにゴキブリが集中して、<ピー>と<ピー>を齧られたり<ピー>に入られるという、屈辱を味わわされる。
「グスッ……グスッ…………」
こんな目に遭わされるくらいなら、いっそ気が狂って廃人になってしまった方が、何も感じない分楽だと思うが……
私の自我が崩壊しそうになる度、オートマタがニュッと現れて何かを注射するせいで、強制的に精神を落ち着けられてしまい壊れることができない。
以前さらって奴隷化した人間で遊んだときは、もっと軽いコースでも発狂して、ギャーギャー騒いだあと「会話が通じない廃人」になったのに……
これほど酷い目に遭わされてもなお、"正常"でいなければならない私は、なんて可哀想な魔王なのだろう。
「(中等学舎の遠足で庶民の生活圏を巡るまで、ゴキブリなど見たこともなく清潔な環境で育った私が、まさか庶民上がりのクズにこんな事をされるなんて!)」
重罪を犯した貴族の娘が、稀に貴族籍を剥奪されて売春奴隷に落とされる刑を受け、野次馬から「穢れろ!」と罵られながら遊郭へ連行されたりするが……
今私は、まさに彼女達と同じ絶望感を味わっていると思う。
<--- カチッ。ガチャッ --->
「(ん? 明かりがついたぞ! 誰か入ってくる。もしかして…………メグミか? いや、このニオイと鼻息は…………オーク?)」
「「「「「「「「「「フゴォォォォォ〜〜! フゴォォォォォ〜〜! フゴォォォォォ〜〜!」」」」」」」」」」
『皆様、大変長らくお待たせいたしました。只今より、皆様を踏み台にして成り上がろうとした、自分勝手な魔王<ユアン>への罰を執行いたします』
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」
おぃ、ふざけんな!
罰を受けなきゃいけないのは、私をこんな理不尽な目に遭わせたクソ魔王<メグミ>であって、被害者の私じゃない!!
『ご覧のとおり、舌を切っておりますので喋ることはできませんが、まだまだ元気ですので数日は保つと思われます』
『皆様に配慮して画面には映していませんが、先程までゴキブリハーレムで<ピー>されていたので、感度が高まっており本番に突入しても大丈夫でしょう』
『なおゴキブリハーレムの様子もご覧になりたい方は、自己責任である事を承知のうえで、添付してある別録映像をご覧ください』
えっ、本番?
それにコイツ等、何を言って……まさか…………!
『それでは、最初のお仕置きに参りましょう! 購入者様のご希望にそって、棍棒サイズの<ピー>を持つオークジェネラルを、10体用意いたしました』
『彼等は、半日間<ピー>させてもらえなかったので飢えていますが、いい子達なのでユアンを死に至らしめる事はありません。では、どうぞご覧ください!』
3体のオートマタによるムカつくアナウンスの後、私に行われたのは、「拷問」という言葉すら生温い凄惨な私刑だった。
「ガアアァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」
ヨダレを垂らすほど飢えた巨大なオークジェネラル10体に、<ピー>の原型がなくなるまで回されて、泣き叫ぶハメになったり……
回復魔法で治療されたと思ったら、私の大事な部分を切り取って鉄板で焼き、そのまま食わされたりと、到底"マトモな奴"じゃ考えつかないラインナップだ。
「(クソがっ! もし私の舌が一瞬でも治れば、この怒りを口に出して伝えることができるのに! なぜ、回復魔法をかけられても"舌だけ"治らないんだよ!)」
途中でオートマタが「<呪いの剣>で切ったから〜」云々言っていたし、私だって<呪いの剣>で切られた肉体が、魔法じゃ治りにくい事くらい知っている。
だが……知識として知っているのと、納得できるかどうかは大違いだ!!
『では次に、"ユアンがさらい隷属化した人間から採取した糞尿で、奴を洗うお仕置き"を執行いたします。少々絵面が汚くなりますので、お食事中の方は〜〜』
「アァァ〜〜〜アァアァ〜〜〜ガアアアァァァ〜〜〜〜!!!!」
『お目汚し、失礼いたしました。それでは、次のご要望に移りましょう。手足の爪を100セット程、剥いでは治療し剥いでは治療し……いたします』
「ガアアァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」
『爪剥ぎ中に全身の洗浄も終わりましたので、続いて"鏡の前で自身の姿を見せながら生皮を剥ぐお仕置き"に移ります。コチラも少々グロいですので〜〜〜』
「アハハハハハハハハハ〜〜〜〜!! ギャアァァァハハハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
何故、私はまだ生きているのだろう?
そしてオートマタが"お客様"と呼んでいる、「気の狂った私刑を希望したり、私の惨めな姿を見て笑っているゲス」は誰なのだろう?
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






