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216話 彼等に足りないもの


〜メグミside〜




 ダンジョン内に、15万人を超える敵兵を閉じ込めたはいいものの、ソイツ等をどう始末するか。


 一番安全なのは、敵が上層階にいるときからガンガン奇襲を仕掛けて、奴等を眠らせず錯乱させるやり方だけど……


 それじゃあ"数の力"で強引にバリケードを破り逃げられてしまうので、奴等が5階層に入るまでは泳がせて、完全に退路を塞いだあと仕掛けることにした。



「くくくっ。見張りも残さず全員で進むなんて、愚かだよね〜。通過後の階層に射撃特化の長い通路を設ければ、それだけで脱出不可能な要塞の出来上がり♪」


 セレクト自販機で入手できる「勇者が生まれた世界の武器」には、射程距離が2kmに達する<ライフル>という凶器も含まれており……


 通路にわずかな傾斜をつけてアシストしてやるだけで、敵の矢・魔法は届かないけど、コチラは隠れ場所もない相手を撃ち放題できる、鬼畜環境が爆誕する。



 また、敵が盾や肉壁を使ってなんとか其処を突破しても、進んだ先には似たような通路が延々と用意されているため……


 理不尽の権化である勇者でも来ない限り、奴等に脱出する術はない。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜セレクト自販機(Sランク昇格後)〜

以下の店で扱っている物の中から好きな商品を100点選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。

データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1日以上経っていないと行えない。


・雑貨屋

・ドラッグストア

・工務店

・スーパー

・武器屋


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 そして肝心の殲滅方法だけど……統率が取れている軍隊は、個々の戦闘力が低くても全体だと粘り強く、マトモに戦うとウチの消耗も大きくなるため……


 指揮官と末端兵を仲違いさせて、末端兵の手で「兵法を学んだエリート軍人」を殺してもらい、15万人を"烏合の衆"に変える方針でいくことにした。



 それだけの人数がいれば、地頭がいい下っ端も存在するだろうけど……「先人達が命を削って生み出した戦術」を知らないと、簡単に罠にハマるし……


 意見を主張する者が増えるほど、ソレをまとめて全体行動へ移すまでに時間がかかるようになるので、マクロ視点だと"指揮官不在"は致命的なんだよ。



「でもそんなの、学問を修めていない兵士は知らないし……彼等と指揮官の間には、"身分の差"という壁が立ちはだかっているから、元々"争いの種"はある」


 あとはダンジョン内という「誰を殺しても、皆で口裏を合わせればバレない特殊な環境」で、その種に水を与え育ててやれば……


 いずれ大きな反乱が起きて、「自分よりいい思いをしておりムカつく相手」である上層部は全員殺され、残った兵士達も"指揮官不在"で詰むだろう。



「と思って、回復魔法師を狙い撃ちしたり、ポーションの在庫を削いだ訳だけど……さすがにチョロ過ぎない? ここまで簡単だと、逆に不安になってくるよ」


 命に関わるモノを上層部が独占したら、自分達だけ豪華な食事を食べたり偉そうに命令した時より、末端兵の機嫌を損ねるはず。


 という僕の予想が的中する形で、上層部は「エリートの命を守ること」を最優先に行動して、奴等と末端兵の溝は一気に深まった。



 ちょっと頭の回る指揮官なら、反乱で自分の首をかかれないためにも、形だけは部下を気遣い、陰でコッソリ「自分用のポーション」を確保するものだが……


 エリートの特権階級意識というものは、時に「学舎で教わった兵士心理」を塗り消してしまうようで、「特別扱いされて当然」という気持ちがバレバレである。






 「この分なら、もう少し溝を深めるだけで成果が出る」と判断して、末端兵が飲む泉の水を腐らせたり、ポーション瓶(in毒)を排出し続けたところ……


 毒で弱って脱落する仲間を見捨てたくない兵士達と、食糧の残量から行軍可能な日数を把握しており、「軍全体の利益」をとった上層部の対立が激化。



 そして軍から給料をもらっている訳でもないのに、軍のお偉いさんに命令され続けた冒険者が、毒で仲間を失い怒りの声を上げたことをキッカケに……


 "特権階級"と"駒"の対立が明確化して、互いが互いを"敵"と認識するようになった。



 司令部からの命令や、軍規違反が見つかった者への懲戒は、厳しくなるばかりであり……


 末端兵も、エリート達の食事を作るとき「汗を拭いたタオルの搾り汁」を入れたり、飲み水に微量の毒を混ぜたりと、"殺意むき出し"なので……


 今夜か明日の夜には、軍内部でのゴタゴタが起きて、エリート達の素首が掲げられ、15万人超えの軍隊は「ダンジョンの餌」になり下がるだろう。



 彼等から得られる殺戮ポイントが入る先が、僕やサーシャのお財布ではなく<伏龍のダンジョン>なのは気に食わないけど、敵の殲滅が第一優先だからね。


 僕は自分の利益にとらわれて、命のかかった場面で目標を見失ったりしないよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
「通路にわずかな傾斜をつけてアシストしてやるだけで、敵の矢・魔法は届かないけど、コチラは隠れ場所もない相手を撃ち放題できる、鬼畜環境が爆誕する。」 これって、上り坂+途中から油を流す+火を放つで人間…
[一言] >理不尽の権化である勇者 自己紹介かな?
[一言] 勇者は、メグミが適わない武器で、制圧してくるんじゃないかと、不安になるよ
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