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214話 良かったね、ユアン




 <伏龍のダンジョン>を、お客さんが誰も寄り付かなくなる鬼畜仕様に変え、敵が協力して作りあげた攻略ルートを、ブツブツとぶった斬る。


 そしてその後、外が暗くなる時刻まで待って、レイス&ゴーレム部隊を勝手口から静かに外へ出し、敵をグルリと取り囲んで銃を連射させたところ……


 形だけ見張りをしていた末端兵は、声を上げることすらできずに吹き飛び、かなりの敵兵を間引くことができた。



「昼間のうちに、<伏龍のダンジョン>の攻略難度を鬼畜設定にしたおかげで、司令部が作戦会議を始めて、監視の目がなくなった兵士共がサボったからな」


 ついでに、貧乏そうな末端兵の幕舎に「ギンギラギンの豪華な宝箱」を出現させ、開けたら内容物のガソリンが爆散する仕掛けをキメて、炎による自爆を誘発。



 これは結構な賭けだったけど……8割以上の発見者が欲に抗えず、上官への相談なしにコッソリ宝箱を開けたうえ……


 勝手な行動がバレて懲戒されぬよう、ヤラカシ後も上へ報告せず素知らぬ顔をしてくれたので、敵拠点がガソリン塗れになり助かったよ。



 もし誰も開けてくれなかったら、レイスを敵陣へ侵入させて開けさせようと思っていたけど……


 僕自身が元貧乏人で、なりふり構わず成り上がったタイプだから、自然と彼等の気持ちが分かるし、それを利用するのも上手いのかもしれない。






 そんなこんなで、勇者が暮らしていた世界の文明の利器を多用して、モンスターの犠牲をほとんど出さずに、敵の間引きをしていたところ……


 火事のなか逃げ惑っていた敵が、一気にダンジョンの入り口へと集まり、押し合いながら階段を降りて、内部へ侵入してきた。



「あらら、全員でダンジョンに突撃してきたか。<恵のダンジョン>だったら、<天国と地獄フロア>で身ぐるみ剥いで終わっていたな」


 でも角度のある狭い階段を、我先にと押し合いながら降りた兵士の中には、圧死したり階段を踏み外してケガする者もいたので……


 多少は奴等の保有ポーションを削れたし、いい感じにストレスが溜まってギスギスし出したから、そこまで悪くない出だしだと思う。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜天国と地獄フロア〜

現金を投入することでルーレットに参加でき、「扉解放」を引いた者だけ先へ進める。

侵入者が10名集まらないとチャレンジできず、「扉解放」を引けるのはその内の一人だけ。

当たった一人が先へ進むと、人数が9名に減るので……新たな挑戦者が来ない限り、ルーレットは動かない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 ちなみに、死にかけの兵士以外いなくなった地上では、ウチの子達がバリケードを作って入り口を封鎖し、敵兵を外へ出られないようにしているよ。


『コノ死体、タクサンオ金持ッテマス。マスター、ヨロコブ』


『ポイント要ルカラ、息アル奴ハ、必ズトドメ刺ス。コレ大事』



『お前たち。目の前の現金より消火活動を優先してくれ。敵が持ちきれずに置いていった物資を、燃やさず回収できたら、それだけで大儲けだ!』


『『『『『『『『『『ハイ。ワカリマシタ』』』』』』』』』』



 知能が高くて僕の好みを知っているオートマタが、略奪部隊の全体指揮をとり、他の子達もそれに従って懸命に働いてくれるので……


 僕の元には回収された「使えそうな物資と現金」がドサドサ届き、<伏龍のダンジョン>の保有ポイントも爆増して、魔王ランキングで上位におどり出た。



「うわぁ〜。案の定、魔王掲示板で暇な先輩方が大騒ぎしている。ヘイトが僕へ向かないように、"仕事してます"感あふれるコメントを書いておこう」


 それにしても……良かったね、ユアン。



 今やお前の魔王ランキングは、同期の中で1位・全体でも上位に入るレベルだし、侵入者を全て始末したら僕の順位も抜けるかもよ♪


 まぁ本人は、「オークジェネラルに<ピー>されて裂けた傷口」をおろしニンニクで消毒され、次のオークジェネラルに貸し出されている頃だから……


 ランキング順位を見る余裕などないし、僕を抜いても煽ることすらできずに、「激グロ映像のモデル」として一生を終えると思うけど。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜魔王掲示板〜


104 名前:メグミ(78期)

 幸いな事に奇襲が成功して、万単位の敵兵を間引けました!

 <伏龍のダンジョン>は教科書的すぎるし、ハッキリ言って「新しく作り直した方がいい出来」なので……

 今回得たポイントは<伏龍のダンジョン>強化に注ぎこみ、先輩方のご負担が少しでも減るように、多くの敵兵を屠ります!

 また状況が動きましたら、このスレッドで報告させていただきますので、引き続きご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「と書いておけば、"ダンジョンの設計すらマトモにできないユアンの無能さ"に話が流れて、僕に"儲けすぎ。お裾分けしろ"と言ってくる奴はいないだろう」


 ぶっちゃけ、ここでヘイトを爆発させている先輩のダンジョンよりは、<伏龍のダンジョン>の方が優れていると思うけど……


 彼等は、僕から「ボッタクリ価格の情報商材(=ユアンの末路を収めた映像)を買ってくれる顧客」だから、余計なことは言わず"良い後輩"に徹するよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] 「教科書的すぎる」って意外と便利な言葉だったようだな… 今回それが強く印象に残った。
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