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213話 事情を知らぬ者達は




 メグミ視点だと、「教科書戦法モドキしかできない魔王を排除して、自分が指揮官になった」だけだが……


 事情を知らないユアン討伐軍からすると、急に<伏龍のダンジョン>の攻略難度が上がったこの状況は、脅威である。



 貴族社会にケンカを売った魔王<ユアン>を滅ぼすために、敵対している国と停戦協定を結んでまで、ダンジョンに集結したのに……


 虎の子の聖女は、到着するやいなや「見たこともない空爆攻撃」を受けて殺され、22階層まで進んでいたエリート部隊とも連絡がとれなくなった。



 そして各フロアの現場指揮官から、「兵士が腹を壊した」「毒に当たった」「解毒ポーションの在庫が切れた」「動けない」等々ヘルプコールが入り……


 かといって、その前後の階層でも問題が発生したため援護ができず、実質「ダンジョン内の味方が分断状態にある」ことに、司令部は危機感をおぼえていた。



「クソッ、何故なんだ!? これまで順調だったのに、どうしてこんな急に……!!」


「もしかして、これまでは魔王<ユアン>が外出しており、モンスターだけでダンジョンを守っていたんじゃないか?」



「いや……魔王<ユアン>が学生時代のテスト成績は出回っているが、精々"上の中"で、特筆した頭脳をもっている感じじゃなかったぞ!」


「だが、それ以外に説明がつかんのだ。もし人間サイドに内通者がいたとしても、この反撃は異様すぎる!」



 実際は、魔王サイドの援軍(に見せかけた死神)でダメ指揮官が排除され、メグミの戦術と自販機ギフトで買われた武器が猛威をふるっただけなのだが……


 食料品や衣服を売る自販機と武器なんて、メグミのギフトを詳しく知らない人からすれば「同じギフト由来」とは到底思えないし、分からなくて当然である。






「とにかく、追加の戦力を投入して上層階の分断状態を解除するのだ。上の方が断裂していたら、支援も撤退もできずダンジョン内の兵士が全滅してしまう!」


「かしこまりました!」



 これまで数々の戦功をあげてきた老指揮官が、ごもっともな命令を出して、上層階のルートだけでも守ろうとするが……


 本腰を入れて「敵兵間引きバイト」を始めたメグミの猛攻は、これだけじゃ終わらない。



<<<<<<<<<<−−− ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!! −−−>>>>>>>>>>


「「「「「何だ!? 何が起きた!!!?」」」」」



<−−− ドタドタドタドタドタ……! −−−>


「報告します! 敵が闇夜に紛れて奇襲を仕掛けてきました。敵の数は不明。遠方から仕掛けられているので反撃も難しく、使用武器も見当がつきません!」


「「「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」」」」」



 人類の敵である魔王……その中でも、貴族社会(≒貴族である自分)にケンカを売ったユアンに、手のひらで弄ばれていると感じ……


 激しい怒りで言葉を発することさえ出来なくなった司令部の面々だが、ふと"違和感のあるニオイ"に気付いて我にかえる。



「おぃ、この変な香りはどうした? もしかして、毒ガスを撒かれたんじゃないのか?」


「いえ。敵は遠方から攻撃しており、我々の陣内には入っていないため、毒ガスを撒かれる可能性はなく……」



<−−− ドタドタドタドタドタ……! −−−>


「申し上げます。敵に反撃しようと魔法師が放った火が、テントに引火して、火事が発生しました! 消火を試みているのですが、なぜか火が消えません!」



<−−− ドタドタドタドタドタ……! −−−>


「報告いたします! 敵が兵士の幕舎に宝箱を出現させ、欲に目が眩んでそれを開けたバカ共のせいで、宝箱に入っていた油がばら撒かれたとのこと」



「「「「「なにっ!?」」」」」


「その油に火がついてしまい収拾がつかなくなっているので、大火事が起きる前に安全な場所へ避難してください!」






 そう言われたとて、闇夜に紛れた敵の奇襲を受けている状況であり、「安全な逃げ場所」など存在しない。


 かといって油……なのかは不明だが、"燃料っぽいニオイ"は司令部テントの中にも充満しており、火がまわったら惨事が起きると分かる。



「八方塞がりではないか! 何もかも捨てて逃げ出したら、運のいい兵士共は助かるかもしれんが……」


「我等には、惨敗の責任を問われて一族郎党連座となる、不名誉な末路が待っているだけだ。そんなの、受け入れられるわけがない!」



「何か、状況を打開する良い策は……そうだ! 敵の奇襲を食い止めている部隊を除き、今すぐ全員荷物をまとめてダンジョンの中へ入れ!」


「おぃ大佐、なにを血迷って……そうか! <伏龍のダンジョン>は水属性だから、火からは確実に逃れられるし、地下へ逃げれば奇襲も避けられる」



「あぁ。攻略ルートを分断された状況も、大人数で地下へ進行して"数の暴力"でゴリ押せば、解決できるかもしれないな」


「よしっ、その案でいこう! 貴様等、慌てふためている兵士共を誘導して、殺される前にダンジョンへ逃げ込ませろ!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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[一言] 脇目も振らずに逃げれば良かったのに…(ノンデリロボ)
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