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208話 君達は悪くないよ




 このダンジョンの主人であるユアンは、サーシャが鳩尾を殴りつけて気絶させたが、当然この場には奴が生み出したモンスター達もおり……


 知性ある執事オートマタばかりだったので、ウチのモンスターに羽交い締めにされてもなお、主人を守ろうと暴れ叫んでいた。



「くそっ、放せ!! この恥知らず共が!!」


「ご主人様は信頼したからこそ、アンタ達をコアルームに通したというのに……なぜその信頼を裏切るんだ!」


「ご主人様を返せ!」



 まぁダンジョン生まれのモンスターというのは、基本「自分を生み出した魔王」に絶対服従するものだし、主人が敗れた時点で自らも滅ぶ運命だから……


 DNAレベルでユアンを守ろうとするのが当たり前で、敵わぬ相手と分かっていても抵抗する、今の状態は"正常"だ。



 だけど僕は、彼等が<伏龍のダンジョン>と共に滅ぶ前に引き抜きたいし、こんな主人の奴隷として一生を終えてほしくないので……


 こちらの正当性を主張して彼等を納得させ、その上で引き抜きをかけないといけない。



「サーシャ。ユアンを連れて、<恵のダンジョン>へ引き返してくれ。ウチの執事に"お仕置き・Gパターン"と伝えたら、あとは全部やってくれるから」


「了解!」



 そのため自分たちのダンジョンを守り、万が一"僕が引き返せなくなった場合"に備えて、サーシャを向こうへ戻したあと……


 ジタバタと暴れるユアン配下のオートマタに、僕等がユアンを捕らえた理由と、彼等がとれる選択肢について話すことにした。






「まず、君達が主張している"裏切り"についてだが……僕とサーシャは、別にユアンを裏切っていない。アイツにケンカを売られたから、その報復をしただけだ」


「「「「「……………………」」」」」



 高い知能をもち、ユアンの命令を受けて動いていた彼等も……アイツが<未設定のダンジョン>にケンカを売ったことは、知っていたのだろう。


 僕が淡々と理由を述べた時点で口を閉ざし、悔しそうに顔を歪めながらも、抵抗するのを止めた。



「君達も言えないだけで分かっていると思うが……今アイツが受けている仕打ちは、全てアイツの自業自得。もうアイツの周りには敵しかいないんだよ」


「「「「「……………………」」」」」


 そして僕の断言を聞いてうつむき、諦めの表情を浮かべる。



「メグミ様にお伺いいたします。我が主人<ユアン>は、これからどうなるのですか? 残された我々は、貴方様の糧として滅びる運命だと……?」


 だが、おそらく筆頭執事であろうオートマタだけは違い……死を悟った表情を見せつつも、冷静に今後のことを聞いてきた。



「(あ〜ぁ、かなり育っているな。ユアンの命令で色々遂行するうちに、レベルアップしたのか。可哀想に)」


 正直なところ、去年の同時期のウチの子達よりも育っているので、このオートマタがどれだけ修羅場を潜らされたかが分かり、より哀れになってしまったよ。



「ユアンには、自らの言動が招いた事態の責任をとってもらう。アイツに与える慈悲はない。だけど、主人の命令で動いていただけの君達は別だ」


「別……とは…………?」



「さすがに、"ユアンと共に滅びろ"は可哀想だろう。手を振り払うなら仕方ないが……もし君達が望むなら、ウチに所属替えしても構わない」


「なるほど。失礼ながら、一つだけお伺いいたします。所属替えしたあと我々に待っているのは、奴隷奉公か捨て駒として使われる運命ですか?」






「そうだな。ウチにも敵が来るし、倒すとき殉職者が出ることもあるから、一生大切に守ってやる……とは言えない。ただ、ユアンの所よりは緩いと思うよ」


「…………お答えくださり、ありがとうございます」



 こういう場合、(モンスター視点だと)絶対的権力者になる僕が何を言っても、簡単には信じてもらえないだろう。


 ついさっき彼等の主人であるユアンをハメて、現在進行形で殺そうとしているのだから尚更だ。



 だから交渉は、「去年ロミオット達のダンジョンから所属替えしたモンスター」に任せて、僕は彼等に対する誠意を見せることで、スカウトに繋げようと思う。


「詳しい話は、去年所属替えしてウチに来た子達に聞きなよ。君等の先輩になる相手だし、待遇も似たようなものになるから、僕に聞くより分かりやすいでしょ」



 そう伝えた僕は、ユアンが座っていたイスに腰掛けて……<伏龍のダンジョン>を防衛するべく、動き出した。


「君達が決断を下すまでの間、<伏龍のダンジョン>は僕等が守る。と言っても、ここまで追い詰められた状況じゃ半日が限界だから、それまでに決めてね」



 ぶっちゃけ、その気になれば<伏龍のダンジョン>から人間を撤退させて、丸ごと傘下に収めることもできるんだけど……


 そうなると、ここの主人であるユアンを助命しなきゃいけないし、アイツは必ず根に持っていつか僕に牙をむくので、ダンジョンを残す選択肢はない。



 ユアン配下のモンスター達が、選べる道は3つ。


 「このまま人間に滅ぼされる・僕等に反抗して殺される・コチラに所属替えして生き延びる」のどれかだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 所属替えをしたモンスターは、ロミオット達のモンスターで、ハイドンのモンスターは、殲滅対象だったはずでは?
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