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198話 炎上した新米魔王


〜ユアンside〜




 人生最大の窮地を脱したものの、依然としてヤバイ状況に置かれている私は、不眠不休でモンスターへ指示を出し、敵軍の兵士を削りにかかった。


 <伏龍のダンジョン>は運営の負担を減らすために、基本オートモードで稼働するよう設計してあるのだが……



 緊急事態に備えて、ボタン式で稼働するトラップも、1階層につき10ヶ所ずつ設置してある。


 現在はオートマタと協力してそのボタンを上手く使い、不要なモンスターを囮に使って兵士をおびき寄せ、モンスター共々殺しているところだ。



「そうは言っても、相手は17万人の大軍だからな。トラップの種類と場所が全て知られ、マップに書き込まれるのも時間の問題だし……すでにその節がある」


 私はギフト持ちだけを恐れていたが、人間の真に怖いところは数と知恵であり、トライアンドエラーで攻略するのに長けている点だと改めて思い知ったよ。



「ご主人様、7階層が敵に突破されました。手動トラップの配置も、おおよそ知られたと考えていいかと」


「チッ! 分かった。引き続き、8階層で人間を削れ。あと下層で体力を持て余している高ランクモンスターを、上層へ放り込んで暴れさせてこい」


「かしこまりました」



 高ランクモンスターが敵を分断する形で暴れれば、人間側は動揺して進軍が遅れるし、今後も余計な警戒で神経をすり減らすことになる。


 逆に、ウチの戦力である高ランクモンスターを早期に狩られてしまう可能性もあるが、負傷した時点で撤退させ下層で休ませれば、リスクは限定的だし……


 人間が下層まで攻めてくる頃には、アイツ等も万全の状態まで回復して、またフル稼働させられるだろう。






「ふぅ〜。ドラゴンの奇襲でビビった人間が、散り散りに逃げていく……。いい気味だ! 時間稼ぎも出来たことだし、掲示板で魔王の動向をチェックするか」


 一息ついた私は、トラップの稼働や囮作戦の指揮を全てオートマタに任せて、日課の掲示板チェックを始めた。



 魔王界の動向を知ることは情報販売者として必須だし、ゴシップ紙を見て余計な書き込みをした奴がいないか、内心ドキドキしていたからだ。


 そして……嫌な予感は当たり、私がスタンピードミッションでスケープゴートにした魔王たちが、とあるスレッドで報復の相談をしているのを発見する。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


325 名前:ロミ(68期)

 コアルーム直前まで追い詰められたのに、突然敵が引いていったと思ったら、今ユアンのダンジョンが攻撃されているのか〜。

 ざまぁ!!!!

 悪いことしちゃいけねぇなぁ〜、いけねぇよ!!


326 名前:ダンダ(62期)

 俺のダンジョンも、敵が引いてなんとか生き残れたぜ!!

 あのクソガキには、10000個くらい灸を据えてやらなきゃな。

 コアルームまで乗り込んで、ニュースに載っていたイケメン面、原型が分からなくなるまで殴り潰してやる!


327 名前:ウィン(32期)

 お前等、急いては事を仕損じる。

 俺たちは死ぬギリギリまで追い詰められたんだから、まずはダンジョンの復旧から始めないと!

 大丈夫。

 ユアンのダンジョンには既に15万人超えの敵兵が押し寄せているから、奴がフリーになる日は来ないし、リカバリーしてから報復に動いても遅くはない!


328 名前:ダンダ(62期)

 たしかに。

 でも、最低限の報復はしておかないと気がすまないぜ。

 全スレッドでの個人情報開示はマストだwww


 伏龍のダンジョン

 魔王:ユアン(79期)

 所在地:ルールベル皇国・ドゥーヌ側の上流

 地点番号:DF2542-6


329 名前:ロミ(68期)

 了解!

 即、拡散するっス!!


330 名前:ウィン(32期)

 全スレッドでの情報開示ウケるwww

 ついでにニュースに出ていたアイツの過去や、兄弟殺しの経緯なんかも晒してやろうぜ!

 皆で叩いて、<伏龍>から<伏せた犬っコロ>に改名祭りだ!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「クソッ。小物のくせに粋がんじゃねぇよ!」


 <伏龍のダンジョン>の所在地は、私を貶めようとした何者かの手によって、冒険者ギルドの掲示板にデカデカと張り出されてしまったため……


 今さら魔王掲示板で拡散されたところで、出回っている情報量に変わりはなく、コチラの足を引っ張るものでもない。



 しかし魔王ランキングで"下の下"まで落ちた、ゾンビ魔王共が「報復! 報復!」と粋がり、集団で後輩イジメに勤しむ姿を見るのはムカつくし……


 コイツ等のせいで私の印象がさらに悪くなることを思うと、不愉快すぎて今夜は眠れそうにないよ。



「ちょっとモンスターを出張させて、奴等のダンジョンにトドメを刺してこようかな? いや……メグミ先輩の言ったとおり、リソースを割く余裕はない」


 非常に腹立たしいが、今は黙ってサンドバッグになるしかないので、この苦境を切り抜けてからじっくりと、奴等に"分相応"という言葉を分からせてやろう。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、リスクはあるけどトドメさして色々奪い取ればリソースの足しになるんじゃないのかな……? 誘導されてるなぁw
[一言] 今後もしユアンが魔王掲示板でメグミに援軍を要請したら、そのやりとりを見た他の魔王たちにより、メグミ(&サーシャ)も何らかの形で巻き添えをくらうかも知れないな。 メグミも一応その可能性を考慮し…
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