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188話 疑惑の場所でコンニチハ




 潜入調査の方針をかためた僕は、さっそく「オートマタ1体+ドッペルゲンガー10体+護衛兼運び屋」のチームを、3組編成して……


 それぞれルールベル皇国の首都、<ラヴィレンス高等学園>がある首都近郊の学園都市、ユアンの父親が治めているルティーユ領へと向かわせた。



 2年に渡って、皇太子を含む60名の生徒が一斉に姿を消し、「魔王になった」と噂されているのだから、警備が厳格化していないか心配だったけど……


 相変わらずルールベル皇国の賄賂文化は健在であり、役人にちょっと賄賂を渡しただけで、3カ所とも検問を突破できた事には驚いたよ。



 逆に言うと……警備がこの有り様では、ライバル魔王の手下も入り込んでいる可能性が高いし……


 どこに潜んでいるかも分からないため、「検問突破が楽な代わりに、"街中の危険度"はメチャクチャ高い」という意味なんだけど。



「暑〜っつ! もう無理、こんなのずっと着てられないよ〜。ギブアップします!」


「あははは。説明書にも、こまめに休憩をとって水分補給はかかさずに……とか書かれているから、ずっと着る物じゃないんだと思うよ。普通」



 検問を突破して街中へ潜入したオートマタ達は、今回その特徴的な"金属スキン"を隠すために、今サーシャが断念した「動物着ぐるみ」を着用している。


 彼等は呼吸をしないし、内部の温度が多少上がっても苦しくならないので平気だが、なぜこんな商品が自販機のラインナップに入っていたのか……


 勇者様が生まれた国では、どういう使われ方をしているのか、非常に気になるところである。



「でも、コレを着るだけでフワモコの獣人になれるんだから、需要はあるんじゃない? 主に、夜着て遊ぶ方で♪」


「ゴフッ! こんなの着たままハッスルしたら、暑さと息苦しさにやられてダウンしちゃうよ。いや、でも……勇者様の祖国だから、意外と皆平気なのかも?」



 もしかするとサーシャの言うとおり、勇者様の祖国では、皆コスプレ目的で着ぐるみを愛用しており……


 だからこそカタログにも、「これだけ高クオリティーでラインナップの揃った商品」があったのかもしれない。






「マスター。学園都市へ向かった調査団から、報告が上がってきております。重要と思われる内容ですので、ご確認ください」


「了解!」



 本気で着ぐるみを"夜の方"に活用できないか、考え始めたサーシャに戦慄しつつ、スマホ経由で送られてくる首都の様子を眺めていると……


 別働隊の報告を精査していた執事君が、コチラへ一つの報告を上げてくれた。



「どれどれ……へぇ〜。失踪した学生の実家、理由明かされぬまま処分撤回……ねぇ」


 この世界では「魔王になる=闇に堕ちる」とほぼ全ての人が思っており、魔王を輩出することは、国にとっても非常に"恥ずべき事"である。



 それゆえ、関係者が「魔王落ちした」と噂されるだけでも、周りからの評価は下がるし……


 魔王落ちした証拠でも出ようものなら、聖人だろうと問答無用で連座させられるのが通例だ。



 ルールベル皇国の場合、去年は「魔王落ちした奴」の中に皇太子がいたため、皇家の威信を落とさぬために「何かの間違いだろう」と処分保留になった。


 しかし今年は失踪者の中に皇族がいなかった事もあり、貴族から「実家の取り潰し」を求める声が多く上がっており、処分も秒読み段階まできていたのだ。



 しかし……なぜか突然、その処分が理由も明かされぬまま全撤回されただけでなく、失踪者の実家の中から"勢いづく貴族"が現れたらしい。


 通常ならあり得ない挙動を見せているその貴族家は、特に目立った功績を上げた訳でもなく、幸運な人事が重なった結果栄達したとのこと。



「で、それがユアンの実家……と。実家が所属している派閥の上位貴族や、敵にならない同級生の実家にも、不可思議な昇格の形跡はあるが……ブラフだな」


 実家のみが昇格すると悪目立ちするから、カモフラージュに使っただけだろうし、全ての根源は"アイツ"に決まっている。






 モンティート先輩から頂いた情報に、「ユアンは父親の暗殺も企んでいた」と書かれていた事を踏まえると、今さら親孝行って線は薄いだろう。


 十中八九、アイツは自分の利益のために(殺そうとしていた)父親と連んで、裏で暗躍した可能性が高い。



「あっ、メグミ君。首都にいる調査隊が、他魔王の配下と思われるドッペルゲンガーを見つけたって! やっぱり、他にも調査の手が入っているみたいだね」


「そうか。というか……コッチにも即バレたな。サーシャ。モンティート先輩から、"調査お疲れさま♪"ってメールが届いたんだけど……」


「うわぁ〜。思った以上にバレてる」



 そりゃあ即日裏取りして、僕との取引に使えるレベルの情報を仕入れられるんだから、モンティート先輩の配下だって街に入り込んでいますよね〜。


「ハァ〜。お礼メール返そっと」



 僕等が潜入調査の素人である以上、早ければ即日バレて撤退に追い込まれる可能性も、考えてはいたけど……


 ここまで早く先輩にバレて、心優しいアドバイスメールをもらうとは思わなかったよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
[一言] というかこれはユアンの父親は既に殺されてユアンのドッペルゲンガーがなりかわっていそうだな。 殺そうと思っていたんだから情は無いし、ダンジョンマスターという弱みをさらけ出して父親と手を組むかと…
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